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「ドイツ銀行AGロンドン円建てFTSEベトナム指数連動社債」発行日からのFTSEベトナム指数推移と経済状況の変化

  • 外国債券

2012/9/21

FTSEベトナム指数連動社債発行日から、ベトナム経済がどのように変化していったか、その時の経済状況と予想を元に振りかえります。

FTSEベトナム指数終値(参考値) 2007/5/30~2012/9/14

ベトナム国債(5年)利回り(参考値) 2007/5/30~2012/9/14

  • グラフ:bloombergのデータをもとに楽天証券作成

2006年頃の経済状況

ベトナムは、2006年実質GDP成長率が東アジアでは中国に次いで2位となり、世界から注目を集めていた。ベトナムは、今後の経済成長が著しいと目されている『VISTA』諸国の一角を占め、近年の実質GDP成長率も7.0%を超えており、2005年は8.4%、2006年は8.2%を記録。
IMFの予想によれば、2007年、2008年も高成長トレンドを維持し、2007年の予想値が8.0%、2008年の予想値が7.8%となった。新興国の代名詞とも言えるBRICs諸国の実質GDP成長率実績値および予想値と比較すると、実績値ではBRICs 3位のロシアの成長率を上回り、予想値では2007年にはインドに肉薄し、2008年には並ぶと予想され、投資妙味は高いと予想された。

2007年の経済状況

活発な投資と民間消費の伸びに支えられ、実質GDP 成長率は前年を上回る8.5%となった。貿易は、輸出入ともに大幅な伸び率を示し過去最高を記録したが、経済成長に伴う国内需要増により生産財の輸入が増加し、貿易赤字が拡大した。対内直接投資は3 年連続で倍増し、新規・拡張合わせて203 億2,530 万ドルとなった。一方、多額の貿易赤字や高インフレなど新たな問題に直面した。

2008年の経済状況

実質GDP 成長率は6.18%となり、ベトナム経済は2005 年以降3年間続いた8%超えの成長を下回ることとなった。貿易、輸出入ともに過去最高を記録したが、前年に続き生産財の輸入が増加し、貿易赤字は過去最大となった。対内直接投資は前年に比べて3倍強に増え、新規・拡張合わせて602 億7,140 万ドルとなった。一方、2008 年前半は物価高騰、労働者による違法ストライキの頻発といった問題に直面した。米国発金融危機によって米国・EU といった輸出市場が縮小する中、新規輸出市場の開拓や内需拡大が急務となった。また、インフレ抑制のため金利を大幅に引き上げるなどの政策を実施し、株式指数は大幅に下落した。

2009年の経済状況

世界金融危機の影響による輸出の減少と製造業の不振などから、実質GDP 成長率は前年を下回る5.3%となった。貿易は輸出入ともに減少したが、貿易赤字は縮小した。新規・拡張合わせた対内直接投資は前年比7 割減の214 億8,200 万ドルに落ち込んだ。しかし、政府の大規模な景気刺激策が奏功し、2009 年下半期以降、経済は回復に向かい政府は2010 年の実質GDP 成長率の目標を6.5%に設定した。

2010年の経済状況

ベトナム経済は,実質GDP 成長率が前年を上回る6.8%となり,世界金融危機による景気減速から回復した。貿易は,輸出入ともに増加したが,2007 年から続く100 億ドル超の貿易赤字は解消せず,外貨準備高も減少が続く。対内直接投資の認可額は前年から減少したものの,実行額は上回った。日本からの投資は増加しており,特に最近の傾向としてコスト削減を狙った中小企業の進出が目立っている。一方,賃金上昇,ワーカー不足,電力不足などの課題も顕在化した。

2011年の経済状況

ベトナム国家銀行(中央銀行)は2月11日、通貨ドンの対ドルコアレートを1ドル=1万8,932ドンから2万693ドンに切り下げると発表し、即日実施した。コアレートの切り下げは2010年8月以来。また、政府は2011年2月に公布した決議第11号により、強力な経済引き締め策を展開しているが、約4ヵ月経過した今もインフレは収束しておらず、年間のインフレ目標の引き上げを繰り返した。工業生産の水準は依然好調を維持しているといわれているが、高金利の影響は確実に各産業に表れている。個人消費の勢いも失われ、経済の減速傾向が定着しつつある。他方、輸出入額は増加しているものの、貿易赤字の拡大は続いており、新規の外国投資の受け入れも大きく減少した。

2012年~今後の見通し

2012年3月の輸出は、対前月比10.2%増の91.5 億ドルとなり、年初3 か月の合計では、対前年同期比23.6%増の245 億ドルとなった。輸入は、対前月比8.4%増の93億ドルとなり,年初3 か月の合計では,対前年同期比6.9%増の248 億ドルとなった。2012年初から3 か月の貿易赤字2.5 億ドルはここ数年で最も小さな赤字規模だが、生産活動の冷え込みを反映しているとの見方もある。一方、鉱工業生産指数は対前年同期比4.1%増と,ここ5 年間で最も低い伸び率となった。とりわけ,2010 年第1 四半期,2011 年第1 四半期にそれぞれ、対前年同期比で10.6%増,13.4%増の伸び率を見せた製造業が,今年の第1 四半期は3.2%増と伸び悩んでいる。3 月の消費者物価指数(CPI)上昇率は対前月比で0.16%増,対前年末比で2.55%増と、ここ数年来で最も小幅な上昇率となった。これは物価抑制を狙った緊縮政策が効きすぎ、急速な景気後退に陥っていると思われる。また、2012年第1四半期のGDP成長率は4%にとどまった。金利高と前年比伸び率を20%以内に制限するという融資残高規制により、運転資金が工面できず倒産する中小企業が増加したため、政府は慌てて金融緩和と景気浮揚策を打ち出し、経済のかじを切り直した。また、2012年上半期のGDP成長率は前年同期比4.38%にとどまり、第1四半期の4%よりは多少改善したものの、いまだ経済は深刻な不況下にある。11年からの強力な金融引き締め政策でインフレの抑制には成功したものの、その代償は大きく、国内需要は冷え込んだままで、不動産価格の下落から銀行は多額の不良債権を抱えており、12年後半においても景気の本格的な回復は期待できないうえ、12年の成長率は過去20年間で最低水準まで落ち込む可能性もある。

出所・参考:日本貿易振興機構、在ベトナム日本国大使館

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