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現地から生レポート! オーストラリア&ニュージーランドの最新情報と取引ポイント

先進国の中で、高金利通貨としてスワップ目的の投資家に人気! オーストラリアとニュージーランドの“いま”を生レポート!

第3回

豪州在住の侍ディーラーこと津田穣氏の“最新”現地レポートを、全5回に分けて情報発信します。オセアニア通貨の取引ポイントや、現地の経済事情についてレポートします!(2013年5月24日掲載)

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2013年5月24日(金)

 オーストラリア

豪ドルは日本のみならず海外投資家にも大変人気のある通貨です。“トリプルA格である国の安全通貨”としてのステータスに加えて、豪州準備銀行(RBA、中央銀行)は今月0.25ポイント利下げを行い政策金利を2.75%としましたが、先進国では依然として最高位の金利水準であり、FXではスワップポイントを狙った豪ドル円の取引が活発です。
ドル円やユーロ円の取引に比べて金利差を利した長期保有で運用される方が多いようです。

最新のオーストラリア情報

  • 22日に発表された5月のWESTPAC消費者信頼感は97.6(前月比-7.0%、前回104.9・-5.1%)と過去17カ月で最大の下落となりました。
  • 21日に公表された5月のRBA理事会議事録では「利下げが成長促進とインフレ目標達成に向けて適切だった。5月理事会で緩和余地の一部を活用すべきと判断した」と述べています。
  • 16-18日にAFR/Nielsen pollが行った政党支持率の世論調査では二大政党間では労働党支持率46%(前回43%)、野党保守連合(自由党・国民党)54%(前回57%)と労働党がやや挽回し、首相適任ではギラード支持46%(前回42%)、アボット支持46%(前回50%)とこれまたギラード首相とアボット保守党党首が横並びの状況です。
  • 15日、日本政府が豪州との経済連携協定(EPA)交渉で、オーストラリアから輸入する冷凍牛肉の関税について、現在の38.5%から約30%に引き下げる方向で最終調整に入ったことが分かりました。焦点となっている農産品の関税削減で日本側が一部譲歩することで、2007年から続く交渉は6月にも基本合意する見通しです。これにより豪州産冷凍牛肉価格が1割近く下がる一方、自動車の関税については、豪州側が当面、維持することを要求していて、最終協議が続けられています。
  • 連邦予算案発表を受けて格付け会社ムーディーズ、S&Pはともに“財政黒字化はやや遅れるが赤字は対GDP比率では比較的低水準であり、慎重な財政政策をコミットしている点を評価し”トリプルA格の据え置きと“見通し安定的”を確認しています。
  • 豪州政府は14日に発表した2013/14年度(2014年6月30日までの1年)の予算案では、12/13年度の財政収支を194億豪ドルの赤字、13/14年度は180億豪ドルの赤字と予想。昨年10月時点ではそれぞれ11億豪ドル、22億豪ドルの黒字を見込んでいました。豪ドル高や商品相場の下落で歳入が落ち込み、12/13年度に見込んでいた財政収支の黒字化が15/16年度にずれ込むとの見通しを示しました。また2012/13年の成長予想を3.0%(前回予想3.0%)、2013/14年度予想を2.75%(同3.0%)としています。
  • 第1四半期豪州から中国への輸出が2割拡大―10日、オーストラリア統計局の第1四半期貿易統計データによると2013年3月、オーストラリア―中国間貿易総額は、2012年同期比10.6%増の10.1bioA$でした。1月-3月の貿易総額は、2012年同期比13.3%増の30.0bioA$に達しています。第1四半期貿易額の内訳は、オーストラリアから中国への輸出が、2012年同期比20.2%増の20.0bioA$。中国からオーストラリアへの輸出が、前年同期比1.7%増の9.9bioA$となっています。
  • RBAが10日発表した“四半期金融政策報告書”でインフレ見通しの引き下げや来年も成長がトレンドを下回るとみられることが、5月に利下げを実施した要因だと指摘。GDP予想は2013年が2.5%、2014年が2.5-3.5%と見込んでいます。基調インフレ率については年末までに2.25%になると予想。2014年は2-3%の目標レンジ内で推移するとの見通しを示しました。

豪ドル/円の取引ポイント!

中長期的な見方

  • 豪ドルは2010年10月に初めて1AUD=1USDのパリティーを達成後は相対的に優位にある景気格差・金利格差に加えて折からの資源ブームにサポートされた資金の流入てパリティーの上での取引がメインとなりました。ただ資源ブームのピークアウト観測と金融緩和サイクル継続を受けてパリティー維持が徐々に困難になりつつあります。
  • 一方米国が量的緩和を縮小/停止する局面が到来すれば、豪ドルは対米ドルで軟化することが予想されます。また史上高値である1.10台を超える豪ドル高に対してはRBAの売り介入の可能性も否定できません。
  • 日本経済の構造的変化、つまり経常黒字の減少傾向と日銀の強力な緩和姿勢を背景とした円安地合が中長期的に継続することが予想されること、更に円建て資産から豪ドル建て資産へのシフトが今後も活発化するものと予想され、豪ドル円は堅調地合を継続するものと予想します。

足元の動き


(豪ドル/円 日足チャート)

  • 豪ドルはRBAの追加利下げ観測や資源ブームのピークアウト観測から引き続きベアセンチメントが継続するでしょう。今週のバーナンキ議長の議会証言で同議長はハト派姿勢を堅持しましたが、ここまで豪ドルサポートとはなっていません。
    前回底値を97セント近辺と申し上げましたが、93-95セント当たりにダウンサイド修正せざるを得ません。
  • ムードで動く豪ドルにまだ下値達成感はなく、昨年の安値95セント台、更には一昨年の安値93セント台を意識した展開が予想されます。ただFRBは引き続き金融緩和策堅持を表明していますし、6月以降RBAが継続利下げに踏み切るかは意見が分かれるところ。シカゴIMMの豪ドルポジションが数年ぶりに売りポジションに転換しているなど市場の豪ドル売りポジションの蓄積を勘案すると、95セントレベルでは買い転換を考えるべきレベルと考えます。
  • 一方豪ドル円も豪ドル安に引っ張られて100円を割り込んでいますが、円の中期的な下落基調は不変と考えますので、豪ドル円の下落速度も遅いでしょう。
    バーナンキFRB議長が「日本の成長支援策を支持する」と表明したのも異例でありドル円をサポートするでしょう。
  • 現在の株高による高いレベルのリスク許容度を考えるとリスク通貨豪ドルに対する投資意欲が激減するとは考えられません。100円以下での豪ドル転換の機会を逸していた本邦個人投資家の買い意欲もあり100円以下は押し目買いの好機と考えます。

注目の経済指標 (5/24~6/7)

5月30日(木)
4月住宅建設許可件数
6月3日(月)
4月小売売上高
6月4日(火)
RBA理事会
6月5日(水)
Q1GDP
6月6日(木)
4月貿易収支

政策金利の行方

5月のRBA理事会おいてRBAは昨年12月以来となる25bpの利下げを実施しオフィシャルキャッシュレートを史上最低レベルの2.75%まで引き下げました。利下げの背景として商品価格の下落と豪ドル高を挙げていますが、やはり緊縮財政への配慮があった点も否めません。さらには米国FRBが超金融緩和を継続し、日本が積極的量的緩和に乗り出し、ECBが史上最低レベルに利下げを行うなど、主要国で金融緩和政策が継続される中にあって、RBAもある程度歩調を合わせる決断をしたのでしょう。
現在当地のアナリストの意見も利下げサイクルが最終局面との見方と、2%を目指すキャッシュレートの低下を読む見方に二分されています。
私見としては1990年代台初頭のリセッション期やリーマンショック後の世界金融危機時と比べて現在の景気状況が大幅悪化しているとは思われず、豪ドルが96セント台まで下落している現状を勘案すれば、今後さらに史上最低の金利レベルを更新して金融緩和を推し進める必然性に欠けているように思います。
6月の追加利下げを市場は2割程度織り込んでいますが、RBAは年後半に向けて内外の経済情勢を注視しながらの据え置きスタンスを取ると考えます。

 ニュージーランド

ニュージーランドは人口445万人の小国ながら震災以降の復興需要が景気を下支えし、相対的な財政状況の良さとNZ債の高い利回りから海外投資家の人気を得ています。
RBNZ並びにニュージーランド金融当局のNZドル高懸念は強いものの、根強い投資家需要に支えられて当面通貨が大きく下落する可能性は少ないようです。

最新のニュージーランド情報

  • ニュージーランド政府が16日発表した2013/14年度(2014年6月30日までの1年)予算案で新たな政策への財政支出を増やす方針を示しました。2012-13年度(2013年6月30日までの1年)の財政赤字は、従来予想の7.3bioNZドルより少ない6.3bioNZドル、13/14年財政赤字予測は2.0bioNZドルに据え置いています。今回示された財務省の予測では、財政収支の黒字転換目標としてきた2014/15年度の黒字幅が75mioNZドルと、昨年12月の予測(66mioNZドル)から上方修正されました。政府はここ2年間、弱い成長見通しや税収の減少から歳出を増やさない緊縮予算を組んできましたが、イングリッシュ財務相は16日の会見で、景気が上向き、財政状況が改善したため、歳出を増やす余地が生まれたと説明しています。
  • 国際通貨基金(IMF)は15日、ニュージーランド経済に関する年次報告書を公表し、ニュージーランド準備銀行(中銀)が住宅市場の過熱に対応するため政策金利の引き上げを迫られる可能性があると指摘しました。過大評価されているNZドルは、世界各国の金融緩和政策が縮小されれば下落するとの見方を示しました。報告書は、ニュージーランドの住宅市場が25%も過大評価されている可能性があり、最近の過去最高値への上昇は債務増加や価格の急激な調整のリスクを高めていると指摘しました。
  • ニュージーランド統計局が14日発表した2013年第1四半期の小売売上高は、前期比+0.5%で市場予想の+0.7%増を下回りました。前期は+1.9%(改定値)でした。自動車関連を除くコアの売上高は+0.6%となりました。業態別では、スーパー・食料品が+0.3、工具などの建築関連・ガーデン用品が+1.2%などとなる一方で、衣料・靴・アクセサリーが-2.4%となりました。比較的温暖な秋シーズンで衣料や靴が買い控えられた影響とみられます。非コアの自動車・同部品は+1.1%でした。
  • 8日ニュージーランド準備銀行(中央銀行)のウィーラー総裁はNZドル売り介入を実施したことを確認しました。中銀が介入を確認するのは1985年の変動相場制移行後で2度目となります。世界的な金融緩和でもたらされた資金の流入やNZドル高で景気回復が損なわれるとの懸念が背景にあるもようです。
    NZドルは先月20カ月ぶり高値0.86台後半に上昇。輸出企業にとって痛手となったのみならず、2年前のクライストチャーチ地震以降ようやく回復し始めた経済を圧迫しています。

NZドル/円の取引ポイント!

中長期的な見方

  • 中期的に見てNZドルサポート要因が材料が目立ちます。
    1)相対的な景気の強さ。2)干ばつによる供給障害とアジア諸国の需要拡大による乳製品価格の堅調。3)NZ国債と米国債の利回り格差247bp(3年債)。4)RBNZの次の動きは利上げとの観測(おそらく来年であろう)。5)カンタベリー地震に関連した再保険がらみの資金流入。
  • NZドル円はNZドルの堅調とドル円の軟調が相殺し合って昨年後半まで57円~68円台で揉み合い相場となっていましたが、昨年10月から始まったドル円の大幅上昇を受けて今年4月は一時86円台まで値を上げました。一方日本の経常黒字の縮小傾向と日銀による強力な金融緩和スタンスにより円の下落は中期的に継続する可能性があります。また日本とニュージーランドの金利格差は拡大傾向にあり中期的にNZドル円をサポートするでしょう。

足元の動き


(NZドル/円 日足チャート)

  • NZドルはドル全面高地合にあって今週約6カ月ぶりの安値80セント台半ばまで下落しました。今週のバーナンキFRB議長議会証言で同議長は金融緩和政策の継続を示しましたが、依然として米ドル高地合が継続しています。
    資源通貨の全面安地合が更に継続する場合にはNZドルも昨年の安値圏75セント近辺への下落が予想されます。ただ相対的に資源価格との関連性の薄いNZドルは資源通貨群の中では相対的な堅調地合を維持するでしょう。シカゴIMM通貨先物ポジションでもNZドルは主要国通貨中唯一買いポジションとなっています。
  • 市場のリスク許容度の増大を勘案すれば資源価格の更なる大幅下落の可能性は低く、相対的金利格差・景気格差で勝るNZドルは再び反発地合となるでしょう。80セント割れでは押し目買いの機会を窺うべきと考えます。
  • ハト派姿勢堅持のバーナンキ議長証言にもかかわらず米ドル金利先高感は根強く、日本のファンダメンタルズ(貿易赤字拡大)や当面の金融緩和策継続からドル円の上昇トレンド継続が予想されます。
  • NZドル下落を受けてNZドル円も83円近辺に下落しており、NZドル続落の場合には4月の安値80円レベルを窺う可能性もありますが、テクニカルにも80-82円台が強くサポートされる展開が予想され、押し目買いの好機ととらえるレベルでしょう。

注目の経済指標 (5/24~6/7)

5月24日(金)
4月貿易収支
5月30日(木)
4月住宅建設許可

政策金利の行方

3月中旬にウイーラーRBNZ総裁は政策金利を年内一杯2.50%に据え置く方針を示しました。しかし市場の見方は“据え置きの後の次のアクションは利上げ”というのが一般的です。主要国中近い将来の金融引き締めが予想される国は見当たりませんが、時間軸を来年に伸ばせば、やはりニュージーランドは“最も利上げに近い国の一つ”という位置づけになります。RBNZはじめ金融当局のNZドル高けん制発言は今後も継続するでしょうが、“口先介入”の効果も一時的でしょう。

プロフィール

津田穣 氏
1978年早稲田大学を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行。ロンドン支店チーフディーラー、本店通貨オプションチーフなどを務める。1995年に第一勧業銀行(現みずほコーポレート銀行)シドニー支店の為替ヘッドに就任。
2007年に退職し、現在もオーストラリアに在住し、現地ヘッジファンドのファンドマネジャーとして活躍する。
豪州在住の侍ディーラーの異名を持つ!

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