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現地から生レポート! オーストラリア&ニュージーランドの最新情報と取引ポイント

先進国の中で、高金利通貨としてスワップ目的の投資家に人気! オーストラリアとニュージーランドの“いま”を生レポート!

第4回

豪州在住の侍ディーラーこと津田穣氏の“最新”現地レポートを、全5回に分けて情報発信します。オセアニア通貨の取引ポイントや、現地の経済事情についてレポートします!(2013年6月7日掲載)

バックナンバー

2013年6月7日(金)

 オーストラリア

豪ドルは日本のみならず海外投資家にも大変人気のある通貨です。“トリプルA格である国の安全通貨”としてのステータスに加えて、豪州準備銀行(RBA、中央銀行)は5月に0.25ポイント利下げを行い政策金利を2.75%としましたが、先進国では依然として最高位の金利水準であり、FXではスワップポイントを狙った豪ドル円の取引が活発です。
ドル円やユーロ円の取引に比べて金利差を利した長期保有で運用される方が多いようです。

最新のオーストラリア情報

  • 5日に発表された第1四半期のGDPは前期比+0.6%(予想+0.7%、前回+0.6%)、前年比+2.5%(予想+2.7%、前回+3.2%)と予想をやや下回りました。スワン財務相は依然先進国中は最高水準であるとこと強調する一方、RBAが金融緩和を継続する余地があることを指摘しています。
  • 6月のRBA理事会でRBAは大方の予想通り政策金利(オフィシャルキャッシュレート)を2.75%に据え置きました。ただ声明文では再び“必要とあれば更なる金融緩和”の可能性に言及しており、依然として金利先安感が残ります。
  • 30日に発表された第1四半期の民間設備投資は前期比-4.7%(予想+0.5%、前回-2.1%)と弱い数字となり、資源ブーム頭打ちを印象づけました。一方2013-14年の投資計画は$156.5bioと3カ月前の予想より3.4%増加しており、資源投資減少懸念が若干弱まりました。ただ増加理由を資源生産コストの増加に対応するためと言うネガティブな見方があるのも確かで依然として予断を許せません。一方同時に発表された4月の住宅建設許可件数は前月比+9.0%(予想+4.0%、前回-5.5%)と大幅増加しました。
  • 経済協力開発機構(OECD)は28日、生活の満足度やワークライフバランス、所得などの指標に基づく先進諸国の幸福度を発表し、豪州が3年連続で1位となりました。豪州は2007年以降の世界金融危機にも大きな影響を受けず、昨年までの20年間、平均3.5%の経済成長率を維持してきましたが、要因としては豊かな資源に対するアジアからの需要や、安定した金融システムが挙げられます。2位のスウェーデンは平均余命でオーストラリアと並ぶ一方、可処分所得は2万6,242米ドルと及びませんでした。就業率は74%、生活への満足度もOECD平均を超えています。3位はカナダで同国の就業率は72%、可処分所得は2万8,194米ドルでした。4位以下にはノルウェー、スイス、米国、デンマーク、オランダ、アイスランドが並び、英国が10位。日本は36カ国中21位でした。
  • 27日付のオーストラリア経済紙オーストラリアン・フィナンシャル・レビューは、日豪経済連携協定(EPA)締結交渉で、ギラード豪労働党政権は、日本側からの乗用車関税(5%)の撤廃要求をのめなくなっていると報じました。豪州では先週、米自動車大手フォード・モーターが生産撤退を表明したばかりで、関税撤廃には政治的反発が大きかったようです。
  • 豪経済誌「BRW」の発表した2013年の豪州長者番付によりますと、資源大手ハンコック・プロスペクティングの資源王ジーナ・ラインハート会長が例年通り1位となりましたが、保有資源株の評価損や資源価格の低迷から資産額は220億豪ドル(約2兆2,200億円)と昨年から約70億豪ドル減少しました。2位は小売不動産ウエストフィールドのフランク・ローウイー共同創出者(68億7,000万豪ドル)、3位はクラウンカジノ経営など実業家のジェームズ・パッカー氏(60億豪ドル)、4位は包装最大手ビシーのアンソニー・ブラッド会長(59億5,000万豪ドル)、5位はスイス系大手コモディティー商社グレンコア・インターナショナルのアイバン・グラセンバーグ最高経営責任者(56億1,000万豪ドル)など。
    資源関連の富豪の資産はこの1年で最大30%減少し、番付における資源関連富豪が従来より減りつつあります。
  • 米自動車大手フォードは23日豪州にビクトリア州2つの自動車工場を閉鎖し、2016年10月に豪州での生産を終了すると発表しました。豪州には1925年に進出し昨年は3万7,000台を生産し従業員は3,000人を超えていましたが、販売減少、コスト高、豪ドル高が経営を圧迫していました。

豪ドル/円の取引ポイント!

中長期的な見方

  • 豪ドルは2010年10月に初めて1AUD=1USDのパリティーを達成後は相対的に優位にある景気格差・金利格差に加えて折からの資源ブームにサポートされた資金の流入てパリティーの上での取引がメインとなりました。ただ資源ブームのピークアウト観測と金融緩和サイクル継続を受けてパリティー維持が徐々に困難になりつつあります。
  • 米国が量的緩和を縮小/停止する局面が到来すれば豪ドルは対米ドルで軟化することが予想されます。また史上高値である1.10台を超える豪ドル高に対してはRBAの売り介入の可能性も否定できません。
  • 日本経済の構造的変化、つまり経常黒字の減少傾向と日銀の強力な金融緩和姿勢を背景とした円安地合が中長期的に継続する可能性があり、また円建て資産から豪ドル建て資産へのシフトが今後も活発化するものと予想されるため豪ドル円は堅調地合を継続するものと予想します。

足元の動き

(豪ドル/ドル 日足)

  • 豪ドルはRBAの追加利下げ観測や資源ブームのピークアウト観測、さらには米ドル全面高地合を背景に4月の高値1.05台から5月下旬には0.95台前半まで約1,000ポイント下落しました。ただ1カ月以上の下落相場で悪材料も既に織り込んでいること、RBAの利下げも一服で当面様子見に回ることが考えられること、加えて市場の豪ドル売りポジションの蓄積を考えると足元0.95台で底値確認し、反発する可能性があります。
    一旦底値を確認すれば押し目買いが強まるでしょう。ターゲットは再びパリティー近辺ということになります。

(豪ドル/円 日足)

  • 一方ドル円は約1カ月ぶりに100円を割っており、ドル高がやや修正局面に差し掛かっていることから豪ドル円もなかなか100円を回復できない展開が予想されます。豪ドル円が再び上昇局面となるには、米雇用統計など米景況が回復し、また市場のリスク許容度が再び増加してドル円が再上昇すること、さらに豪ドルドルが底堅い展開となる必要があります。95-96円は再び押し目買いの好機と考えます。

注目の経済指標

6月13日(木)
5月雇用統計
6月消費者インフレ期待指数
6月18日(火)
RBA議事録

政策金利の行方

6月のRBA理事会おいてRBAは金利を据え置きしました。最近発表された小売売上高や住宅建設許可件数が堅調であり、また2013年度の民間設備計画が前回から上方修正されたことから資源ブームのピークアウト懸念がやや薄らいだことも据え置きの背景にあります。
ただ、必要に応じた更なる緩和の可能性にも言及している点は従来と同じです。
資源産業から非資源産業へのシフトや緊縮財政を背景とした金融緩和継続観測はありますが、潜在的なインフレ懸念が払拭された訳ではなく、史上最低レベルの金利水準を更に押し下げていく必要性があるのかは疑問です。声明文でも国内景況に対して過度の悲観的な見方はしておらず、年後半にかけて様子見スタンスを取るものと思います。
また、来年にはいずれ緩やかな引き締めスタンスに転換するものと予想します。

 ニュージーランド

ニュージーランドは人口445万人の小国ながら震災以降の復興需要が景気を下支えし、相対的な財政状況の良さとNZ債の高い利回りから海外投資家の人気を得ています。
RBNZ並びにニュージーランド金融当局のNZドル高懸念は強いものの、根強い投資家需要に支えられて当面通貨が大きく下落する可能性は少ないようです。

最新のニュージーランド情報

  • 5日に発表された第1四半期の住宅建設はカンタベリー地震の復興の動きを反映して前期比+12%と10年来の高い伸びを示しました。
  • 第1四半期の輸出額は、粉ミルク、バター、チーズ製品など乳製品価格が上昇し、前期比0.9%、輸入額は、石油価格の上昇で2.1%増となりました。事前予想は交易条件は前期比1.5%上昇、輸出は0.5%増でした。
  • ニュージーランド準備銀行は30日、4月の外為市場におけるNZドル売り介入の規模は2億5,600万NZドルになったと発表しました。
    為替市場への介入規模としては5年ぶりの大きさですが、市場予想の約3億─5億NZドルは下回っています。
  • ニュージーランド準備銀行のウィーラー総裁は30日、NZドル高に対応するため為替市場への介入を拡大する用意があるとし、このような措置は為替の動きをスムーズにするためのものと述べました。
    同総裁は講演で、金利を低水準に据え置くことと、介入により自国通貨高への対応を進めてきたと指摘。その上で「影響を高める機会があれば、為替面での措置を拡大する用意がある」と述べました。総裁はまた、住宅価格への圧力低下により現在2.5%の政策金利が来年にかけて据え置く可能性が高いとする一方、更なるインフレ圧力の低下とNZドルの上昇は利下げにつながるとの見解を示しました。この発言を受けてNZドルは0.81台前半から0.79台前半、81円台後半から79円台後半に下落しました。
  • ニュージーランド統計局が24日発表した2013年4月の貿易収支は1億5,700万NZドルの黒字となりました。3カ月連続の黒字ですが、黒字額は市場事前予想の5億1,500万NZドルを下回りました。前月は7億3,200万NZドルの黒字です。輸出額は、前年同月比2.2%増の39億5,300万NZドル。輸出の約4分の1を占める乳製品が2.2%増、食肉11.4%増、木材4.1%増、果物11.0%減など。輸入額は7.4%増の37億9,600万NZドルで、変動の大きい石油製品が45.5%増、自動車・同部品16.0%増などです。

NZドル/円の取引ポイント!

中長期的な見方

  • NZドルは中期的に見てサポート材料が目立ちます。
    1)相対的な景気の強さ。2)干ばつによる供給障害とアジア諸国の需要拡大による乳製品価格の堅調。3)NZ国債と米国債の利回り格差247bp(3年債)。4)RBNZの次の動きは利上げとの観測(おそらく来年であろう)。5)カンタベリー地震に関連した再保険がらみの資金流入。
  • 昨年後半までNZドル円はNZドルの堅調とドル円の軟調が相殺し合って57円~68円台で揉み合い相場となっていましたが、昨年10月から始まるドル円の大幅上昇を受けて今年4月は一時86円台まで値を上げました。一方日本の経常黒字の縮小傾向と日銀による強力な金融緩和スタンスにより円の下落は中期的に継続する可能性があります。また日本とニュージーランドの金利格差は拡大傾向にあり中期的にNZドル円をサポートするでしょう。

足元の動き

(NZドル/ドル 日足)

  • 5月上旬からNZドル、NZドル円とも調整反落地合となり、今年4月の高値か0.86台後半、86円台半ばから5月末には0.79台前半、79円台後半まで下落しました。背景は資源通貨全般の軟調地合にあってニュージーランド準備銀行のNZドル売り介入が実施されたこと、さらにはドル円の大幅調整反落も加わりました。
  • ただ6月は徐々に底値を確認してNZドルは反発地合となることが予想されます。米ドル全面高地合の調整がNZドルをサポートするでしょう。一時高まった米国の量的緩和縮小観測の後退から再び金利格差がNZドルをサポートします。

(NZドル/円 日足)

  • 一方ドル円の調整局面が継続するうちはNZドル円の上値は限定的で83-85レベルが上値抵抗レベルとなるでしょう。NZドル円が再び85円をトライするにはドル円が再度上昇トレンドを回復する必要があります。
  • 足元NZドルの下値トライも予想されますが昨年の下値圏0.75レベルや今年の安値圏76-77円レベルは押し目買いの好機ととらえるべきでしょう。

注目の経済指標

6月13日(木)
RBNZ理事会
6月19日(水)
第1四半期経常収支
6月21日(金)
第一四半期GDP

政策金利の行方

従来からウイーラーRBNZ総裁は政策金利を年内一杯2.50%に据え置く方針を示していますが今月はインフレ圧力の低下と更なるNZドル高は利下げにつながると発言しています。ただ不動産の上昇が顕著であり、依然として市場の見方は“据え置きの後の次のアクションは利上げ”というのが一般的です。主要国中近い将来の金融引き締めが予想される国は見当たりませんが、時間軸を来年に伸ばせば、やはりニュージーランドは“最も利上げに近い国の一つ”という位置づけになります。
6月の理事会では引き続き金利据え置きを予想します。
NZドル売り介入を含めてRBNZはじめ金融当局のNZドル高けん制は今後も継続するでしょうが、同総裁発言にもあるようにスムージングオペレーション(相場の乱高下回避)の域に留まるものと思われます。

プロフィール

津田穣 氏
1978年早稲田大学を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行。ロンドン支店チーフディーラー、本店通貨オプションチーフなどを務める。1995年に第一勧業銀行(現みずほコーポレート銀行)シドニー支店の為替ヘッドに就任。
2007年に退職し、現在もオーストラリアに在住し、現地ヘッジファンドのファンドマネジャーとして活躍する。
豪州在住の侍ディーラーの異名を持つ!

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外国為替証拠金取引(FX)は、取引通貨の価格変動や、スワップポイントの支払いにより、損失が生じるおそれがあります。また、外国為替証拠金取引(FX)は少額の証拠金で、その差し入れた証拠金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。また、その損失額は差し入れた証拠金を上回るおそれがあります。

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