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現地から生レポート! オーストラリア&ニュージーランドの最新情報と取引ポイント

先進国の中で、高金利通貨としてスワップ目的の投資家に人気! オーストラリアとニュージーランドの“いま”を生レポート!

第2回

豪州在住の侍ディーラーこと津田穣氏の“最新”現地レポートを、全5回に分けて情報発信します。オセアニア通貨の取引ポイントや、現地の経済事情についてレポートします!(2013年5月10日掲載)

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2013年5月10日(金)

 オーストラリア

豪ドルは日本のみならず海外投資家にも大変人気のある通貨です。“トリプルA格である国の安全通貨”としてのステータスに加えて、豪州準備銀行(RBA、中央銀行)は今月0.25ポイント利下げを行い政策金利を2.75%としましたが、先進国では依然として最高位の金利水準であり、FXではスワップポイントを狙った豪ドル円の取引が活発です。
ドル円やユーロ円の取引に比べて金利差を利した長期保有で運用される方が多いようです。

最新のオーストラリア情報

  • 5月9日に発表された4月の雇用統計は強い結果となりました。
    就業者数+50.1千人(予想+11.0千人、前回-31.1千人)
    失業率5.5%(2012年11月以来の改善、予想5.6%、前回5.6%)
  • 今週豪州準備銀行(RBA)は政策金利(オフィシャル・キャッシュレート)を25bp引き下げて2.75%としました。(史上最低レベル)利下げは昨年12月以来であり、今年に入ってから4回目の理事会で初めて利下げに踏み切りました。
    市場の事前予想は利下げと据え置きがほぼ半々でしたが、国内経済の軟調に加えて来週の来年度連邦予算案発表を控えて、歳入見通しが悪化している現状や、豪ドル高抑制のために利下げを要望する産業界の声に耳を傾けた結果のようです。
  • RBAの声明では、資源投資ブームのピークが今年中に訪れであろうと予測し、豪ドル高が異常に継続している点を指摘しています。
  • 5月6日に発表された3月の小売売上高は前月比-0.4%(予想+0.1%、前回+1.3%)と予想を下回りました。1月が+1.2%、2月が+1.3%と非常に強かっただけにその反動との見方が強いですが、食品や外食が伸びる一方、衣料・靴・アクセサリーや日用品の減少が目立ちました。一方2日に発表された3月の住宅建設許可件数は前月比-5.5%(予想+1.0%、前回+3.0%)とこれまた落ち込みましたが、建設許可件数は毎月ブレが激しい指標であり、全体の流れとしては回復基調が続いています。
  • 4月29日ギラード首相は、今財政年度の歳入が昨年10月の“経済・財政中間見通し”時より120億豪ドル下回り、財政難に陥っていることを明らかにしました。また、この発言に呼応してスワン財務相は「豪州国民は歳入減を緊縮財政で乗り切る。豪ドル高に対するスイススタイルの通貨売り介入は現実的ではない」と述べています。

豪ドル/円の取引ポイント!

  • 中長期的な見方として、豪ドルは2010年10月に初めて1AUD=1USDのパリティーを達成後は一段階取引レンジを上げて1.00-1.10を中心とするレンジに入ったと言えます。基本的には相対的に優位にある景気格差・金利格差にサポートされた資金の流入を背景にパリティーの上での取引がメインとなりますが、時々訪れるリスク回避局面では調整反落地合となる点は留意すべきです。
  • 豪ドル反落局面は新たな豪ドル買いチャンスととられて慎重かつ冷静に対応して豪ドル買いポジションを造成することが得策であることは過去のデータが示しています。
  • 米国が量的緩和を縮小する局面が到来すれば対米ドルの上値は押さえられるでしょうし、1.10を超える豪ドル高に対してはRBAの売り介入の可能性も否定できません。
  • 日本経済の構造的変化、つまり経常黒字の減少傾向と、日銀の強力な緩和姿勢を背景とした円安地合が中長期的に継続することが予想され、円資産から豪ドル建て資産へのシフトが今後も活発化するものと予想します。
  • 足元の動きとしては連邦予算案発表を控えた今週のRBA理事会で利下げが行われたことから頭の重い点が予想されますが、今回の利下げはむしろ利下げサイクルの最終段階と位置付けるのが妥当であり、パリティー割れは中期的に見て押し目買いのレベルと考えます。
  • 先週の強い米雇用統計以来、米国景気回復期待が再び高まっており、少なくともFRBによる資産購入拡大観測は後退しドル円が再び上値を試す可能性があります。
  • 豪ドル円は足元調整反落の可能性がありますが、100円割れないしは100円台は新たな豪ドル円ロングの仕込み時と考えます。

注目の経済指標 (5/10~5/24)

5月10日(金)
~11日(土) ロンドンG7
5月13日(月)
3月住宅ローン件数、4月NAB企業景況感指数/信頼感指数
5月14日(火)
2013/14年度予算案発表

政策金利の行方

今週のRBA理事会おいてRBAは昨年12月以来となる25bpの利下げを実施しました。今回の利下げサイクルを終了と読んでいた小職の見方は外れましたが、やはり“ハト派のスティーブンス総裁再任”という事実を甘く見ていた感は否めません。
2010年の最後の2回の利上げが不要であったと思われるように、当時の急進的タカ派であった同総裁が今度は行き過ぎた金融緩和に走る可能性を懸念します。
米国FRBが超金融緩和を継続し、日本が積極的量的緩和に乗り出し、ECBが史上最低レベルに利下げを行うなど、相変わらず世界的に金融緩和政策が取られる中にあって、RBAもある程度歩調を合わせる決断をしたのでしょう。
ただ今回2.75%という史上最低レベルに踏み込んだキャッシュレートが更なる緩和サイクルに突入したと考えるのは時期尚早であり、むしろ利下げサイクルの最終局面ととらえるのが妥当ではないでしょうか。声明文でも“豪成長はトレンドをやや下回る”としながらも資産価値の増加や消費の活発化に言及しています。さらに、客観情勢としては消費者信頼感は1990年以来の長期平均よりも高く、個人消費は回復基調にあり、何よりも資産価格―株、債券、住宅価格―は上昇トレンドを鮮明にしつつあります。またクレジット・スプレッドが急速に縮小し(信用リスクの減少)、住宅オークション成約率は最近では70%を越え(昨年は50%台)、豪州商品価格は長期平均をはるかに上回り、輸出量は史上最高レベルにあり、豪ドルの対米ドル水準と貿易加重インデックス(TWI)はこの2年間落ち着いたレンジとなっているなど、今後更に金融緩和が進む環境とは言えないでしょう。

 ニュージーランド

ニュージーランドは人口445万人の小国ながら震災以降の復興需要が景気を下支えし、相対的な財政状況の良さとNZ債の高い利回りから海外投資家の人気を得ています。
RBNZ並びにニュージーランド金融当局のNZドル高懸念は強いものの、根強い投資家需要に支えられて当面通貨が大きく下落する可能性は少ないようです。

最新のニュージーランド情報

  • 5月9日
    ニュージーランドの第1四半期失業率は6.2%(予想6.8%、前回6.9%)、就業者数は+1.7%(前期比、予想+0.8%)、+0.3%(前年比、予想-0.7%)と大きく改善し、NZドル/ドルは0.84台半ば、NZドル/円は83円台半ばに再び反発。
  • 5月8日
    NZ準備銀行(RBNZ)のウイラー総裁は「NZドル売り介入を実施、RBNZは更に介入が可能」と述べ、NZドル/ドルは一時0.84台半ばから0.83台半ば、NZドル/円は83円台後半からから82円台後半に急落。
  • 5月6日
    Crown Researchによると3月末までの本財政年度のニュージーランド政府の財政赤字は昨年10月の中間経済・財政見通しで予想された5.22bioドルの赤字よりも少ない4.95bioドルに収まりそうである。これはカンタベリー地震復興コスト増加分192mioドルを算入後の計算とのこと。高所得者を中心に税収の増加が予想を上回っており、歳出サイドはほぼ予想通りとのこと。ジョン・キー首相によるとカンタベリー地震復興コストは10bio~40bioドルに上り、政府は追加分の2bioドルを含めて15bioドルを拠出しますが、このコスト増を見込んでも2014/15年度には黒字転換を果たすとしています。
  • 5月6日
    Bank of New Zealandによると最近のデータ、特に製造業、住宅部門、輸出関連の商品価格においてニュージーランドが豪州に勝っているとのことです。Bank of New Zealandは今年のニュージーランドのGDPを2.9%、来年を3.6%と予想していますが、一方National Bank of Australiaは今年と来年の成長予想を2.4%と3.0%としています。先月の豪州製造業PMIは36.7と2009年のレベルに低下し、一方ニュージーランドの3月PMIは53.4で6カ月連続で分岐点の50を上回っています。
    また、ニュージーランドの3月新築許可件数は前年同月比で+12.1%であるのに対して豪州では+3.9%。RBAの商品価格インデックスは先月-1.5%で前年同月比で-6.5%ですが、ニュージーランドのANZ商品価格インデックスは先月+12.6%で前年同月比では+22.5%。
    RBAの利下げ観測が強いのに反して、将来的にRBNZはRBAよりも先に利上げを行うとの見方が一般的です。このような格差から、このところNZドルは対豪ドルで上昇基調にあり、これがニュージーランドの輸出企業の頭痛の種になっています。
  • ニュージーランド統計局が先月26日に公表したデータによると第1四半期中国が豪州を抜いて初めて最大輸出相手国になりました。対中輸出額は前期比+32%の23億NZドルで輸出全体の20%を占め、一方豪州への輸出額は同-7.3%の22億NZドルでした。中国への主な輸出品は粉ミルク、バター、チーズなどの乳製品。一方第1四半期の中国からの輸入額は前期比+2.8%の18億NZドルで豪州からの輸入額は-5.3%の15億NZドルと、こちらも中国が勝っています。

NZドル/円の取引ポイント!

  • 中期的に見てNZドルサポート要因が材料が目立ちます。
    1)相対的な景気の強さ
    2)干ばつによる供給障害とアジア諸国の需要拡大による乳製品価格の堅調
    3)NZ国債と米国債の利回り格差255bp(3年債)
    4)RBNZの次の動きは利上げとの観測(おそらく来年であろう)
    5)カンタベリー地震に関連した再保険支払いによる資金流入
    など。
  • 日本の経常黒字の縮小傾向と日銀による強力な金融緩和スタンスにより円の下落は中期的に継続する可能性があります。また日本とニュージーランドの金利格差は拡大傾向にありNZドル円をサポートするでしょう。
  • 昨年後半まで、NZドル円はNZドルの堅調とドル円の軟調が相殺し合って57円~68円台のレンジを形成していましたが、昨年10月から始まるドル円の大幅上昇を受けて今年4月は一時86円台まで値を上げました。
  • 上記のようにNZドルの堅調地合にドル円の上昇が加われば再び85円を上にブレークし、中期的には2007年の高値である97円台後半、そしてその上の心理的な壁である100円を伺う動きが予想されます。
  • 足元RBNZの介入実施を受けて高値警戒感が対米ドル、対円ともに上値を押さえる展開が予想されます。ただ継続的な押し下げ介入が実施される可能性は少なく効果も限定的なものでしょう。RBAの利下げや主要国の金融緩和継続から金利格差の拡大がNZドルをサポートする展開が予想され、対円のみならず、対米ドル、対豪ドルでも堅調地合を維持して、“今年の最強通貨”の地位が暫く継続するものと思われます。

注目の経済指標 (5/10~5/24)

5月9日(木)
第1四半期失業率
5月14日(火)
第1四半期小売売上高指数
5月16日(木)
2013/14年度予算案発表
5月17日(金)
第1四半期生産者物価指数
5月24日(金)
4月貿易収支

政策金利の行方

3月中旬にウイーラーRBNZ総裁は政策金利を年内いっぱい2.50%に据え置く方針を示しました。しかし市場の見方は“据え置きの後の次のアクションは利上げ”というのが一般的です。主要国の中で近い将来の金融引き締めが予想される国は見当たりませんが、時間軸を来年に伸ばせば、やはりニュージーランドは“最も利上げに近い国の一つ”という位置づけになります。RBNZや金融当局のNZドル高けん制発言は今後も継続し、実際に今週はRBNZによるNZドル売り介入が実施されましたが、大きな効果は期待できないでしょう。

プロフィール

津田穣 氏
1978年早稲田大学を卒業後、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)へ入行。ロンドン支店チーフディーラー、本店通貨オプションチーフなどを務める。1995年に第一勧業銀行(現みずほコーポレート銀行)シドニー支店の為替ヘッドに就任。
2007年に退職し、現在もオーストラリアに在住し、現地ヘッジファンドのファンドマネジャーとして活躍する。
豪州在住の侍ディーラーの異名を持つ!

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