前回(第362回)、プロ投資家の行うファンダメンタル分析では、個人投資家が参考にする企業発表の業績予想は用いていないという事実をお伝えしました。では個人投資家はプロ投資家に勝てないのかと言えばそんなことはありません。少し工夫することで十分勝負できます。
多くの企業は、「アナリスト・機関投資家向け決算説明会」を開催しています。そして、プロ投資家はそれらに参加してより詳しい情報を企業から得ています。一方、「個人投資家向け決算説明会」を開催する企業はまだまだ少ないのが実情です。
でも、多くの企業では、ホームページにおいてアナリスト・機関投資家向け決算説明会の資料が閲覧・ダウンロードできるようになっています。企業によっては、決算説明会の様子を動画で視聴できるところもあります。
証券会社所属のアナリストが作成する各個別企業のアナリスト・レポートも、個人投資家が目にすることができる機会が増えています。
このように、企業側から提示される情報についてのプロ投資家と個人投資家との格差は、昔に比べて格段に縮まっています。
そのことと個人投資家がプロ投資家並みのファンダメンタル分析ができるかどうかはまた別問題ですが、ファンダメンタル分析を行う能力に長けた個人投資家にとっては、昔より明らかに成果を出しやすくなったといえます。
また、個人投資家が行うファンダメンタル分析は精度が低いとはいえ、やらないよりは絶対やった方がよいです。簡単なファンダメンタル分析を行うだけで、例えば倒産リスクの高い銘柄を排除することができます。
プロ投資家は当期・来期だけでなく、再来期以降の企業業績を独自に予測したうえで、その企業に投資するかどうかを決定しているという点は前回のコラムでご説明したとおりです。
では、プロ投資家が2年後、3年後、5年後の企業業績を「正確に」予測することはできるかというと、決してそんなことはありません。プロ投資家がどんなに頑張っても、やはり未来の予測は困難なのです。
結局、当期・来期の業績予想がそれほど良くないのに株価が上昇を続けているのは、再来期以降の業績が大きく伸びるからではなく、再来期以降の業績が大きく伸びると「予想」しているプロ投資家が多いからなのです。
プロ投資家が叡智を絞って3年後の企業業績を予測したとしても、外れることは多々あります。プロ投資家の叡智を結集した予測でさえ外れることが多いのなら、時間もなく能力もプロにかなわない個人投資家が、プロ投資家が行うような本格的なファンダメンタル分析を無理に行う必要などないのではないか、というのが筆者の考え方です。
ではどうするかと言えば、自分ができる範囲のファンダメンタル分析をしつつも、株価トレンド分析を組み合わせます。上昇トレンドになったら新規買いして、上昇トレンドが続く限り保有継続します。下降トレンドになったら保有株は売り、下降トレンドが続く限り新規買いは見送ります。
多くのプロ投資家が「この銘柄は将来大化けするかもしれない」と思った銘柄は、じわじわと株価が上昇していきます。プロ投資家1人ひとりは、自らの買いで株価が急騰しないよう、2カ月とか3カ月程度かけてゆっくりと買い仕込むことが一般的です。でも、それを他の多くのプロ投資家が行っていたなら、どうしても買い需要が売り需要より多い状況が続きますから、株価は上昇を続けてしまいます。
ですから、私たち個人投資家が「この銘柄は素晴らしい」と思った銘柄があれば、その銘柄の株価チャート(できれば日足チャート)を毎日チェックしてください。もし、同じようにその銘柄を素晴らしいと思っているプロ投資家が増えてくれば、下降トレンドにある株価が上昇トレンドに転じ、そこから長期間株価の上昇が期待できます。そこで、上昇トレンドに転じたらすぐに新規買いをすればよいのです。
また、すでに株価が上昇を始めていたときは、株価が25日移動平均線から大きくかい離(10%以上)していなければ飛び乗ってしまえばよいと思います。
ポイントは、どんなに自分が「この銘柄が素晴らしい」と思っていても、下降トレンドの間は手を出さないという点です。他の投資家も同様に「素晴らしい」と思ってくれなければ株価は上昇せず、その結果上昇トレンドにならないからです。独りよがりにならないよう注意しましょう。
以上をもとに、個人投資家が取るべき戦略をまとめると次のようになります。
実は、一歩も二歩も踏み込んだファンダメンタル分析を実行しているプロ投資家であっても、「見込み違い」で損切りを余儀なくされることが多々あります。もともとファンダメンタル分析の精度でみれば個人投資家はプロ投資家にかなわないですし、プロ投資家のファンダメンタル分析も外れることが良くあるのが実情です。
ですから、自分で可能な範囲のファンダメンタル分析を実行し、売買のタイミングは株価トレンド分析により見極める、という投資スタイルが個人投資家には向いているのではないかと思います。
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本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 0円
20万円まで110円(税込)
50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
150万円まで559円(税込)
3,000万円まで 886円(税込)
3,000万円超936円(税込)
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)