前回(第353回)のコラムにて、逆張り・順張りのそれぞれのメリットおよびデメリットを比較してみました。そもそも「逆張り」と「順張り」とはその根底にある思考が全く異なります。皆さんは「株価」を信じますか?それとも「自分」を信じますか?
例えば直近安値を割り込んだり、年初来安値を更新しているような銘柄があるとします。「順張り」の投資家であれば、そうした局面では絶対にこの銘柄を新規買いしません。なぜなら株価が明らかに下降トレンドにあるからです。積極的に利益を追求する投資家であれば、逆に空売りを仕掛けるタイミングととらえるかもしれません。
一方、「逆張り」の投資家なら、喜んで直近安値割れや年初来安値更新の局面で新規買いする人も少なくないでしょう。なぜなら、狙っていた株を安く買うことができるからです。そこには直近安値割れとか、年初来安値を更新したという事実は関係ありません。
このように、「順張り」と「逆張り」とでは、株を買うタイミングが全く異なります。なぜこのような両極端な2つのスタイルが存在するのでしょうか。それは、株式投資に対する根本的な考え方の違いに理由があると筆者は思っています。
「順張り」を支持する投資家は、株式投資はマーケットの動きが全てという前提で考えています。つまり、どんな局面でも、その時についている「株価」が正しいと考え、それをもとに戦略を立てていくのです。たとえ、株価が自身の考えとは逆方向に向かっていてもです。したがって、順張りの投資家は常に「株価」を信じて行動しています。
一方、「逆張り」を支持する投資家は、企業が本来有する企業価値を自分自身で分析してあるべき株価を計算し、それと足元でついている株価を比較します。その結果株価が割安なら、株価の動きにかかわらず新規買いをしていきます。つまり、自分自身の分析結果が正しいと考え、それをもとに戦略を立てていくのです。逆張りの投資家は、常に「自分」を信じて行動しているといえます。
このように、「株価」が正しいと考えて行動するのが「順張り」、「自分」が正しいと考えて行動するのが「逆張り」です。ところが難しいことに、実際の株式投資では、株価が間違っていることもありますし、自分の考えが間違っていることもあります。
ですから、順張りの場合は株価が間違っていた場合の対処法、逆張りの場合は自分の考えが間違っていた場合の対処法をそれぞれ準備しておく必要があります。
この点、個人投資家にとって圧倒的に対処しやすいのが「順張り」です。筆者の場合は株価チャートをみて、株価と移動平均線の位置関係から株価のトレンドを判断し、上昇トレンドとなっていなければ新規買いは行いません。仮に足元で株価が大きく下がっていること自体が間違っているのであれば、早晩株価は上昇に転じ、やがてトレンドも下降トレンドから上昇トレンドに転じてくるでしょう。この上昇トレンドに転じた時点で株価が間違っていたことが客観的に見て明らかになるので、新規買いをすればよいのです。
そして、上昇トレンドになった銘柄を新規買いしたときは、その後株価が下がって下降トレンドに転じたら売却するだけです。
一方の逆張りは、株価のトレンドなどは関係なく、株価が自分自身で分析した適正水準を大きく下回るようなことがあれば喜んで新規買いをしていきます。
でも、新規買いをした後、さらに株価が下がってしまったらどう考えればよいのでしょうか。そもそも自身で分析した適正株価があり、それより安い価格で新規買いし、それよりもさらに株価が下落して割安になっているわけですから、買い増しこそすれ、売却するという選択肢はおそらく出てこないことでしょう。
例えば、適正株価が1,500円ほどだと思っていて、実際の株価も1,500円である銘柄がちょっとした悪材料で大きく下落し、1,200円になったとしましょう。
このとき、多くの投資家はこのように考えるはずです。「確かに悪材料ではあるが、おそらく業績に与える影響はほとんどないはずで、株価は過剰反応しすぎだろう。早晩株価は元に戻るはず。ならばここは買い時だ」と。そして実際1,200円で新規買いをする投資家も多いはずです。
ところが、株価はさらに下落し、1,000円になりました。しかし、企業側からの業績予想の下方修正など、ファンダメンタル面のマイナス要素は見つかりません。そこで「今売っている投資家はこの会社の本当の価値が分かっていないなあ」と思いながら、さらに割安になったこの株を買い増したりします。
しかし、株価は一向に下げ止まらず、700円にまで値下がりしてしまいました。もともとの1,500円の株価からあっという間に半値以下になってしまった計算です。
こうなると、さすがに自分の考えが間違っているかもしれないと思い始めるでしょう。その結果、「投げ売り」するか、それとも「塩漬け」覚悟で持ち続けるか、という決断を迫られることになります。いずれにせよ、大きな損失ないしは含み損を抱えてしまうことは間違いありません。
このように、「逆張り」の最大のリスクは、失敗(見込み違い)した場合に損失が大きく膨らんでしまう可能性が高いという点なのです。
順張りであれば株価が下降トレンドに転換した時点で速やかに保有株を売却しますし、そもそも下降トレンドにある間はいくら株価が下がろうとも新規買いしません。ですからよほど高値掴みをしない限りは損失も限定的です。
一方、逆張りをする投資家は株価のトレンドを気にしていませんし、株価が下がればさらに「割安」になったと考えます。そのため、買った後に株価が大きく下落しても損切りなどの決断ができず、結局は損失を膨らませてしまうことが多いのです。株価が下がった銘柄への新規買いが間違いであったことを気づくタイミングは、株価がさらに大きく値下がりするか、もしくは企業側が業績予想の下方修正を発表するなどファンダメンタルの悪化が確認できた時点、このいずれかです。
そして、得てして個人投資家がファンダメンタルの悪化を確認できた時点では、すでに株価は大きく下落してしまっていることが多いのです。
逆張りは自分自身の「読み」に賭けた投資手法ですから、「読み」の精度が低ければ低いほど、大きな損失につながる危険性がかなり高いという点はよく理解して実行してください。
そう考えるとやはり個人投資家は、もちろんバブル気味の銘柄に飛びつくことは避けるべきですが、基本的には「株価が常に正しい」という前提で「順張り」により買いタイミングを捉える方が大失敗のリスクを避けられるはずです。
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
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国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
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※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
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※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
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取引金額 取引手数料
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10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
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1日の取引金額合計 取引手数料
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