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第9回 金ETFの衝撃

金ETFの衝撃

金がここまで一般投資家の間に浸透し、認知度が上がったのはどうしてでしょうか。価格が急激に上昇して、メディアで取り上げられる機会が増加したことがその最大の理由だと私は考えています(「日本で金を持つということ」をご参照ください)。投資商品として認知されるにはその商品の知名度が上がることが重要なのです。そして知名度が上がることによって市場参加者が増加し、その市場に供給される資金の量が増加して価格が上昇します。金は通貨の性質も持っていますが(「金は為替か? コモディティか?」をご参照ください)、鉱山から掘り出して供給される工業品ですので、投入される資金の量が増加すれば当然価格は上昇することになります(投機目的、即ち自分で金を生産することができない市場参加者が金市場で取引をする時、「売りから入る人」よりも圧倒的に「買いから入る人」の方が多いためこのようなことになります)。

その知名度向上に一役買ったのが、「金ETF」だったといえるでしょう。知らない方はもうそれほどいらっしゃらないと思いますが、念のために説明すると、金の現物を担保にした証券(上場投資信託)のことです。この商品の重要な特徴は、①この商品を購入するとその数量に該当する金現物を購入し倉庫で保管、金の価値そのものが裏付けになっている、②上場投資信託(有価証券)なので年金資金等の株や債券に投資をしている機関投資家が投資をやりやすくなる、③金現物を保有するための現物口座を保有しないで済む(楽天証券さんの金・プラチナ積み立ては買いつけ手数料以外の年会費や保管料等が掛らないようですね)、点です。このような特徴があるため、株の銘柄を入れ替える感覚で金現物の取引が可能になり、株式市場に滞留している資金が金市場に流入するようになりました。この「開通したパイプ」が閉じられることは当局が同商品を問題だと認識して何らかの規制を行いでもしない限り、無くなることはないでしょう。

この商品が開発されたことのインパクトは非常に大きなものがありました。株の資金が金の市場に容易に流入するようになったためです。どれぐらいのインパクトがあったかというと、現在の世界の株式時価総額を50兆ドルとした時、全ての市場参加者が金をポートフォリオに組み込むことにしたと仮定しましょう。年金運用大手のカルパースの資産配分を参考にすると、ポートフォリオの約50%を株式に、3%程度をコモディティ(インフレ連動商品)に投資していますので、同じ比率で仮に全ての市場参加者が投資を行ったとすると50兆ドル÷50%×3%=3兆ドルが金市場に流入することになります。有史以来、人間が掘ってきた金の総額が大体10兆ドル程度ですので市場規模の約30%です。もちろん金ではなく原油やその他の金属を購入する人もいるでしょうから、3兆ドル全額が金市場に流入する訳ではありません。ですが潜在的にそれぐらいの資金が流入してきてもおかしくない環境を作り出した、という意味でこの商品の登場は非常にインパクトがあったと言えるのです。

しかし現在はこのETFの残高の増加ペースは鈍化しています。この背景にはポートフォリオへの組込が一巡したこと等が要因として挙げられます。金融商品として第一次の成熟過程が終了したとも言えます。ですので、現在から更に価格が上昇するには、米国債の格下げが行われる、欧州危機が再び深刻化するといった危機的な事態が発生して、「市場参加者がポートフォリオの投資配分を変更せざるを得ない」「今まで金を保有していなかった市場参加者が金をポートフォリオに組み込む」といった事が起きる必要があります。そのため2月に延期された米国の財政の崖問題、それに伴う債務上限問題を受けた米国債の格付け動向に市場参加者は注目している訳です。もしそれがなければ価格が下落するリスクがあることは充分に意識するべきです。ですが生産国の生産コストを考えると、どんなに下がっても1,200ドル/トロイオンスを下回って金価格が下落することは(現在手元にあるデータを元にした分析では)、想定し難いシナリオであると言えます。

また、現在のETFを通じて流入している資金は時価ベースで1,400億ドル程度であり、先程試算した3兆ドルが投資の上限だと考えるとまだまだニューマネーが金市場に流入してくる余地はあると言えます。

少し話が逸れますが、実はJPモルガンやブラックロックが銅「現物」ETFを米国市場に上場する準備をしています。ETFセキュリティーズがロンドンに銅現物ETFを既に上場しているのですが、こちらは市場規模が米国程大きくなかったため成功にはいたっていません。ですが今回の上場先は世界最大の市場である米国です。金ETFで見られたような価格の急騰が銅でも起きるとしたら…今年は先ほどの市場概況のところで解説したプラチナや銀の現物ETFの他にも、銅現物ETFの動向にも注目したいところです。

金ETF保管在庫と保管量前年比増加率


(出所:CME)

金・プラチナ等のリスクと費用について

お預かりする金・銀地金は、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の受渡供用品銘柄として規定された純度99.50%以上の金、及び純度99.90%以上の銀地金です。プラチナ地金は、純度99.95%以上のロンドンプラチナ&パラジウム市場(LPPM)の受渡供用品銘柄として規定されたプラチナ地金です。

【金・プラチナ等の取引にかかるリスク】

金・プラチナ等の価格は、金利、通貨、経済指標、政治情勢の変化等のさまざまな要因によって変動し、損失が生じるおそれがあります。なお、金・プラチナ等の取引は、クーリング・オフの対象にはなりません。

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