欧州金融機関の経営不安説、アメリカ大統領選の行方、アメリカ利上げによるマーケットの動揺・・・株式市場には常に不安要素が付きまとっています。これらに対し、個人投資家はあらかじめどのように対応すべきでしょうか。いつも株価の後追いになってしまいがちなこのテーマ、株価が大きく下落していない今だからこそ、今一度考えてみたいと思います。
まず初めに、2009年10月7日に連載がスタートした本コラムも、早いもので丸7年が経ちました。ここまで続けてこられましたのも、ご覧いただいている個人投資家の皆様の応援のお蔭と心より感謝申し上げます。また、楽天証券コラム担当スタッフの皆様にも感謝したいと思います。8年目も、引き続き個人投資家の皆様に役立つ知識・情報の提供に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
筆者が株式投資で最も重視すること、それは「大きな損失を出さないようにする」ことだと、本コラムでも繰り返しお伝えしているつもりです。
しかし、株式市場では個人投資家が大きな損失を出してしまうような株価の大きな変動が何度も訪れます。
ここ10年では2008年秋のリーマン・ショックを筆頭に、2011年春の東日本大震災、最近では昨年夏のチャイナショック、今年1~2月の米利上げ・資源価格急落に伴う世界同時株安など、数多く生じています。
こうした株価の大きな下落を小さい傷で乗り切ることができれば、その後やってくる買い時をつかむことができます。でも、実際は株価の急落に巻き込まれ、すっかり意気消沈してしまう個人投資家の方が多いのです。
株価が大きく下落するような局面において、個人投資家の行動としては次の3つが考えられます。
(1)保有株を持ったまま何もしないでじっと耐える
(2)保有株を売却する
(3)買い時ととらえ買い増しする
これ以外に、積極的に空売りで攻めるという戦略もありますが、そこまでする方は上級者でしょうから、今回は割愛させていただきます。
また、保有株をそのまま持ちつつ同数量をヘッジ目的で空売りする「ツナギ売り」は、効用としては保有株を売却したのと同じですから、(2)に含まれるものとします。
つまり、株価が大きく下落するときの投資行動は、「何もしない」「売る」「買う」の大きく3つに分かれることになります。
では、上記(1)~(3)のうち、どの行動が最も優れていると思いますか?実は「これが絶対に正解だ」というものはありません。
例えば、東日本大震災による株価急落の際、(1)のように何もしないでじっと耐えていたら、その後のアベノミクス相場により株価下落を十分に取り戻すことができました。
そして、何もしないのではなく(3)のように株価急落時に買い増しをしたならば、アベノミクス相場でさらに多くの利益を得ることができたのです。
そう考えると、東日本大震災による株価急落時は、売らずにじっと耐える、もしくは買い増すことが正解だったとも言えます。
しかし、それは「結果論」に過ぎないということもまた事実です。
バブル崩壊後、多くの個人投資家が長期的な株価下落に今も苦しんでいます。バブル崩壊から30年近くたった今でも、バブル時の高値水準まで株価が戻っていない個別銘柄はたくさんあります。ですから、バブル崩壊後に保有株をそのまま持ち続けたり、買い増しをしたことが誤りであったということになります。
「結果論」であることは(2)の方法にも言えることであり、東日本大震災による株価急落時は無理に売らずにじっと耐えていることが結果的に正解でしたし、逆にバブル崩壊後は早めに売却することが結果的に正解でした。
このように、(1)、(2)、(3)のどの方法を取るにも、その方法がベストだったかどうかは全て「結果論」です。
とするならば、どのような結果となったとしても、ダメージが少なく収まる可能性が最も高い方法を取るべき、というのが筆者の考え方です。
となると、筆者には(1)や(3)はどうしてもできないのです。バブル崩壊後のように、もし(1)のようにじっと耐えた結果、保有株の株価が買値の3分の1とか5分の1に下がったままとなってしまったら、それこそ目も当てられません。また、含み損をかかえて売るに売れない塩漬け株を抱えていると、アベノミクス相場のような滅多にない買い時が到来しても、投資資金が塩漬け株になってしまっています。新たに投資できるキャッシュが乏しいため、せっかくの買い時を逃してしまうことになります。
実際、多くの個人投資家は「含み損の解消」という形でアベノミクス相場の恩恵を受けているに過ぎず、アベノミクス相場初期にしっかり投資資金を日本株に投入し、大きな利益を得ることができた個人投資家は少数派でした。
(1)の結果数多くの塩漬け株で身動きが取れない可能性があるのですから、(3)であればさらにドツボにはまる恐れがあります。実際、株価が下落したところをナンピン買いした結果、さらに含み損が膨らんでしまう個人投資家は後を絶ちません。
一方、(2)の方法であれば、1つ1つをとらえれば(1)や(3)の方が正解だったというケースもありますが、適切なタイミングで売却することで大きな損失は回避することができます。これは決して机上の空論ではなく、実際に(2)の方法を実践していくつもの株価急落を小さな傷で回避してきた筆者としての結論です。
株価が急落した際に、(1)の何もしないと並んで個人投資家の方に非常に多いのが、株価が大きく下がってから(2)のように保有株を売却する、という行動です。つまり「投げ売り」です。
なぜ「投げ売り」が起こるか、それはほぼ100%心理的な要因によるものです。
株価下落の初期段階では、多少気分はよくないものの、ある程度は仕方ないと我慢して受け入れることができます。しかし、株価下落が進むと、「ここからさらに株価が大きく下がるのではないか」という恐怖感がわいてきます。まるで株価がゼロになってしまうのではないかという気持ちになり、最後は「いくら損しても良いから今すぐ株を手放して楽になりたい」という心理状態に陥ってしまい、投げ売りをしてしまうのです。
ですから、心理的な要因を排除して、客観的なルールを設けて売却すれば、この「投げ売り」は防ぐことができます。筆者であれば単純に25日移動平均線割れで売却、としています。他にも例えば「13週移動平均線を割り込んだら売却」「買値を割り込んだら売却」といった方法も考えられます。いずれにしろ、こうなったら売却する、という客観的なルールを設けてそれに従っていれば、投げ売りは回避することができます。
個人投資家の多くは、損失が確定してしまう「損切り」に強い抵抗があるようです。でも、「投げ売り」をしてしまう個人投資家の方は、売るタイミングが少し遅いだけで、「損切り」はちゃんと実行できているのも事実です。今後は、ぜひ客観的な売却ルールを設けて、投げ売りを回避していただきたいと思います。
次回は、今回の内容を踏まえ、実際に筆者が「もしも」に備えて日々どのような投資行動をしているか、具体的にご説明いたします。
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
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国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
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取引金額 取引手数料
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3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
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