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足立武志「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」一覧へ

2016年10月6日

第357回 「もしも」に備えて個人投資家がやっておくべきこととは?

欧州金融機関の経営不安説、アメリカ大統領選の行方、アメリカ利上げによるマーケットの動揺・・・株式市場には常に不安要素が付きまとっています。これらに対し、個人投資家はあらかじめどのように対応すべきでしょうか。いつも株価の後追いになってしまいがちなこのテーマ、株価が大きく下落していない今だからこそ、今一度考えてみたいと思います。

株式投資で筆者が最も重視することとは?

まず初めに、2009年10月7日に連載がスタートした本コラムも、早いもので丸7年が経ちました。ここまで続けてこられましたのも、ご覧いただいている個人投資家の皆様の応援のお蔭と心より感謝申し上げます。また、楽天証券コラム担当スタッフの皆様にも感謝したいと思います。8年目も、引き続き個人投資家の皆様に役立つ知識・情報の提供に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

筆者が株式投資で最も重視すること、それは「大きな損失を出さないようにする」ことだと、本コラムでも繰り返しお伝えしているつもりです。

しかし、株式市場では個人投資家が大きな損失を出してしまうような株価の大きな変動が何度も訪れます。

ここ10年では2008年秋のリーマン・ショックを筆頭に、2011年春の東日本大震災、最近では昨年夏のチャイナショック、今年1~2月の米利上げ・資源価格急落に伴う世界同時株安など、数多く生じています。

こうした株価の大きな下落を小さい傷で乗り切ることができれば、その後やってくる買い時をつかむことができます。でも、実際は株価の急落に巻き込まれ、すっかり意気消沈してしまう個人投資家の方が多いのです。

株価が大きく下落したときの個人投資家の行動パターン3つ

株価が大きく下落するような局面において、個人投資家の行動としては次の3つが考えられます。

(1)保有株を持ったまま何もしないでじっと耐える

(2)保有株を売却する

(3)買い時ととらえ買い増しする

これ以外に、積極的に空売りで攻めるという戦略もありますが、そこまでする方は上級者でしょうから、今回は割愛させていただきます。

また、保有株をそのまま持ちつつ同数量をヘッジ目的で空売りする「ツナギ売り」は、効用としては保有株を売却したのと同じですから、(2)に含まれるものとします。

つまり、株価が大きく下落するときの投資行動は、「何もしない」「売る」「買う」の大きく3つに分かれることになります。

(1)~(3)のどれがベストかは「結果論」

では、上記(1)~(3)のうち、どの行動が最も優れていると思いますか?実は「これが絶対に正解だ」というものはありません。

例えば、東日本大震災による株価急落の際、(1)のように何もしないでじっと耐えていたら、その後のアベノミクス相場により株価下落を十分に取り戻すことができました。

そして、何もしないのではなく(3)のように株価急落時に買い増しをしたならば、アベノミクス相場でさらに多くの利益を得ることができたのです。

そう考えると、東日本大震災による株価急落時は、売らずにじっと耐える、もしくは買い増すことが正解だったとも言えます。

しかし、それは「結果論」に過ぎないということもまた事実です。

バブル崩壊後、多くの個人投資家が長期的な株価下落に今も苦しんでいます。バブル崩壊から30年近くたった今でも、バブル時の高値水準まで株価が戻っていない個別銘柄はたくさんあります。ですから、バブル崩壊後に保有株をそのまま持ち続けたり、買い増しをしたことが誤りであったということになります。

「結果論」であることは(2)の方法にも言えることであり、東日本大震災による株価急落時は無理に売らずにじっと耐えていることが結果的に正解でしたし、逆にバブル崩壊後は早めに売却することが結果的に正解でした。

筆者なら迷わず(2)の「売却」を選ぶ

このように、(1)、(2)、(3)のどの方法を取るにも、その方法がベストだったかどうかは全て「結果論」です。

とするならば、どのような結果となったとしても、ダメージが少なく収まる可能性が最も高い方法を取るべき、というのが筆者の考え方です。

となると、筆者には(1)や(3)はどうしてもできないのです。バブル崩壊後のように、もし(1)のようにじっと耐えた結果、保有株の株価が買値の3分の1とか5分の1に下がったままとなってしまったら、それこそ目も当てられません。また、含み損をかかえて売るに売れない塩漬け株を抱えていると、アベノミクス相場のような滅多にない買い時が到来しても、投資資金が塩漬け株になってしまっています。新たに投資できるキャッシュが乏しいため、せっかくの買い時を逃してしまうことになります。

実際、多くの個人投資家は「含み損の解消」という形でアベノミクス相場の恩恵を受けているに過ぎず、アベノミクス相場初期にしっかり投資資金を日本株に投入し、大きな利益を得ることができた個人投資家は少数派でした。

(1)の結果数多くの塩漬け株で身動きが取れない可能性があるのですから、(3)であればさらにドツボにはまる恐れがあります。実際、株価が下落したところをナンピン買いした結果、さらに含み損が膨らんでしまう個人投資家は後を絶ちません。

一方、(2)の方法であれば、1つ1つをとらえれば(1)や(3)の方が正解だったというケースもありますが、適切なタイミングで売却することで大きな損失は回避することができます。これは決して机上の空論ではなく、実際に(2)の方法を実践していくつもの株価急落を小さな傷で回避してきた筆者としての結論です。

「投げ売り」を回避するためには心理的な要因を排除すればよい

株価が急落した際に、(1)の何もしないと並んで個人投資家の方に非常に多いのが、株価が大きく下がってから(2)のように保有株を売却する、という行動です。つまり「投げ売り」です。

なぜ「投げ売り」が起こるか、それはほぼ100%心理的な要因によるものです。

株価下落の初期段階では、多少気分はよくないものの、ある程度は仕方ないと我慢して受け入れることができます。しかし、株価下落が進むと、「ここからさらに株価が大きく下がるのではないか」という恐怖感がわいてきます。まるで株価がゼロになってしまうのではないかという気持ちになり、最後は「いくら損しても良いから今すぐ株を手放して楽になりたい」という心理状態に陥ってしまい、投げ売りをしてしまうのです。

ですから、心理的な要因を排除して、客観的なルールを設けて売却すれば、この「投げ売り」は防ぐことができます。筆者であれば単純に25日移動平均線割れで売却、としています。他にも例えば「13週移動平均線を割り込んだら売却」「買値を割り込んだら売却」といった方法も考えられます。いずれにしろ、こうなったら売却する、という客観的なルールを設けてそれに従っていれば、投げ売りは回避することができます。

個人投資家の多くは、損失が確定してしまう「損切り」に強い抵抗があるようです。でも、「投げ売り」をしてしまう個人投資家の方は、売るタイミングが少し遅いだけで、「損切り」はちゃんと実行できているのも事実です。今後は、ぜひ客観的な売却ルールを設けて、投げ売りを回避していただきたいと思います。

次回は、今回の内容を踏まえ、実際に筆者が「もしも」に備えて日々どのような投資行動をしているか、具体的にご説明いたします。

<おしらせ>

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国内株式のリスクと費用について

■国内株式 国内ETF/ETN 上場新株予約権証券(ライツ)

【株式等のお取引にかかるリスク】

株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。

レバレッジ型、インバース型ETF及びETNのお取引にあたっての留意点

上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。

  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNの価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。
  • 上記の理由から、レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクが存在する場合があります。詳しくは別途銘柄ごとに作成された資料等でご確認いただく、またはコールセンターにてお尋ねください。

※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。

【信用取引にかかるリスク】

信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。

【株式等のお取引にかかる費用】

国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。

〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。

〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)

〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)

〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)

超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。

〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。

〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。

〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。

【かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)にかかるリスクおよび費用】 

リスクについて
かぶミニ®の取扱い銘柄については市場環境等により、取扱いを停止する場合があります。
費用について
売買手数料は無料です。

かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。

  • カスタマーサービスセンターのオペレーターの取次ぎによる電話注文は、上記いずれのコースかに関わらず、1回のお取引ごとにオペレーター取次ぎによる手数料(最大で4,950円(税込))を頂戴いたします。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引には、上記の売買手数料の他にも各種費用がかかります。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引をおこなうには、委託保証金の差し入れが必要です。最低委託保証金は30万円、委託保証金率は30%、委託保証金最低維持率(追証ライン)が20%です。委託保証金の保証金率が20%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります。
    レバレッジ型ETF等の一部の銘柄の場合や市場区分、市場の状況等により、30%を上回る委託保証金が必要な場合がありますので、ご注意ください。

【貸株サービス・信用貸株にかかるリスクおよび費用】

(貸株サービスのみ)

リスクについて
貸株サービスの利用に当社とお客様が締結する契約は「消費貸借契約」となります。株券等を貸付いただくにあたり、楽天証券よりお客様へ担保の提供はなされません(無担保取引)。
(信用貸株のみ)
株券等の貸出設定について
信用貸株において、お客様が代用有価証券として当社に差入れている株券等(但し、当社が信用貸株の対象としていない銘柄は除く)のうち、一部の銘柄に限定して貸出すことができますが、各銘柄につき一部の数量のみに限定することはできませんので、ご注意ください。

(貸株サービス・信用貸株共通)

当社の信用リスク
当社がお客様に引渡すべき株券等の引渡しが、履行期日又は両者が合意した日に行われない場合があります。この場合、「株券等貸借取引に関する基本契約書」・「信用取引規定兼株券貸借取引取扱規定第2章」に基づき遅延損害金をお客様にお支払いいたしますが、履行期日又は両者が合意した日に返還を受けていた場合に株主として得られる権利(株主優待、議決権等)は、お客様は取得できません。
投資者保護基金の対象とはなりません
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手数料等諸費用について
お客様は、株券等を貸付いただくにあたり、取引手数料等の費用をお支払いいただく必要はありません。
配当金等、株主の権利・義務について
貸借期間中、株券等は楽天証券名義又は第三者名義等になっており、この期間中において、お客様は株主としての権利義務をすべて喪失します。そのため一定期間株式を所有することで得られる株主提案権等について、貸借期間中はその株式を所有していないこととなりますので、ご注意ください。(但し、信用貸株では貸借期間中の全部又は一部においてお客様名義のままの場合もあり、この場合、お客様は株主としての権利義務の一部又は全部が保持されます。)株式分割等コーポレートアクションが発生した場合、自動的にお客様の口座に対象銘柄を返却することで、株主の権利を獲得します。権利獲得後の貸出設定は、お客様のお取引状況によってお手続きが異なりますのでご注意ください。貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金については、発行会社より配当の支払いがあった後所定の期日に、所得税相当額を差し引いた配当金相当額が楽天証券からお客様へ支払われます。
株主優待、配当金の情報について
株主優待の情報は、東洋経済新報社から提供されるデータを基にしており、原則として毎月1回の更新となります。更新日から次回更新日までの内容変更、売買単位の変更、分割による株数の変動には対応しておりません。また、貸株サービス・信用貸株内における配当金の情報は、TMI(Tokyo Market Information;東京証券取引所)より提供されるデータを基にしており、原則として毎営業日の更新となります。株主優待・配当金は各企業の判断で廃止・変更になる場合がありますので、必ず当該企業のホームページ等で内容をご確認ください。
大量保有報告(短期大量譲渡に伴う変更報告書)の提出について
楽天証券、または楽天証券と共同保有者(金融商品取引法第27条の23第5項)の関係にある楽天証券グループ会社等が、貸株対象銘柄について変更報告書(同法第27条の25第2項)を提出する場合において、当社がお客様からお借りした同銘柄の株券等を同変更報告書提出義務発生日の直近60日間に、お客様に返還させていただいているときは、お客様の氏名、取引株数、契約の種類(株券消費貸借契約である旨)等、同銘柄についての楽天証券の譲渡の相手方、および対価に関する事項を同変更報告書に記載させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
税制について
株券貸借取引で支払われる貸借料及び貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金相当額は、お客様が個人の場合、一般に雑所得又は事業所得として、総合課税の対象となります。なお、配当金相当額は、配当所得そのものではないため、配当控除は受けられません。また、お客様が法人の場合、一般に法人税に係る所得の計算上、益金の額に算入されます。税制は、お客様によりお取り扱いが異なる場合がありますので、詳しくは、税務署又は税理士等の専門家にご確認ください。

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