第315回のコラムで、氾濫する大量の情報のうち「未来の予想」は無視し、「過去の事実」を活用すべき、という点をお話ししました。今回のコラムはこの「過去の事実」という情報を、実際の株式投資においてどう落とし込んでいけばよいのか、筆者の実践を踏まえながらお話ししていきたいと思います。
早速今までの話と矛盾することを言いますが、株式投資で利益を得るためには、「将来の企業業績を予想する」ことが重要です。なぜなら、株価は企業の将来の業績を織り込んで形成されるからです。
もう少し踏み込んでいうと、株価は、企業の将来の業績を「市場参加者が予想した結果を」織り込んで形成されます。
つまり、各投資家は将来の企業業績という「なかなか当たらないもの」を何とか予想して投資対象とする銘柄を選んでいるのです。個人投資家であっても自らの主観を持って企業の将来を予想しなければ個別銘柄に投資できない、これが実情です。
さらには、市場参加者の予想というのは、常に同じではありません。個々の企業を取り巻く環境の変化、日本経済・世界経済の景気の先行き、為替レートや金利の状況、資源価格、各国の金融政策の変化、国内外の株価の動き・・・・様々な変数により予想が構成され、変数が動けば市場参加者の予想も変動します。
私たち個人投資家は、これらの点を踏まえてどのように情報を活用するかを考えていかなければなりません。例えば筆者が実行している銘柄選択の手法の1つとして、「毎年増収増益が続いている銘柄を選ぶ」というものがあります。
例えば、会社四季報をみて、過去5年の間増収増益が続いている銘柄を探します。これは過年度の業績という「過去の結果」という情報を使っています。
その上で、さらに当期や来期も増収増益が続く予想になっている銘柄に絞り込みます。これは、過去5年間増収増益だったのだから、今後も増収増益が続くだろうという「予想」です。もちろん、会社四季報に掲載されている業績予想の数値は記者が調査した結果がもとになっています。でも、あくまでも予想ですからそれが正しいかどうかは分かりません。
レベルが上がっていけば、会社四季報に掲載されている業績予想を鵜呑みにせず、自分自身でリサーチをして業績予想を計算し、投資対象銘柄を選択する、ということを目指してもよいと思います。
しかし、初心者・初級者の間はそうしたことは難しいでしょうから、ひとまず「過去の業績が増収増益である事実」+「四季報に記載の将来の業績も増収増益と予想」であることをもって、それなりに確度の高い情報であると判断するほかありません。
このようにして投資対象銘柄を絞り込んだ後、何も考えずにすぐに新規買いしてはいけません。次に、投資対象銘柄の株価チャートをみます。
筆者は、株価チャートには大きく2つの意味があると考えています。1つは、過去の株価の推移という「事実の情報」を提供してくれているという点、そしてもう1つは、市場参加者がその銘柄についてどう判断しているか、つまり将来の業績をどう「予想」しているかを判断する材料になりうるという点です。
一般的にファンドマネージャーなどプロの投資家は、個人投資家に比べてファンダメンタル分析のレベル(企業の将来の業績を予想する能力)が高いです。もし彼らがある銘柄について、今後の業績の伸びが期待できると判断したなら、その銘柄の株を買い進めるでしょう。その結果、株価は上昇基調となるはずです。
逆に、今後の業績が期待できない銘柄であれば、新規に買わないでしょうし、保有株があれば売却を進めていきます。その結果、株価は下落基調となります。
実は、株価チャートをみれば、こうしたプロの投資家の動きをある程度推測することが可能なのです。
そこで、まず会社四季報などで「過去増収増益が続く」+「今後も増収増益を予想」という銘柄を投資対象候補としてピックアップしたら、株価チャートをみて、それぞれの銘柄の株価の「トレンド(※)」をチェックします。
その上で、株価のトレンドが上昇トレンドの場合は新規買いを実行し、下降トレンドの場合は新規買いを見送ります。
その後、株価チャートのウォッチを定期的に続け、下降トレンドが上昇トレンドに転換したら新規買いを実行、上昇トレンドから下降トレンドに転換したら保有株を売却します。
つまり、「過去増収増益が続く」+「今後も増収増益を予想」というそれなりの確度の情報に、「株価が上昇トレンド=プロ投資家が買っている可能性が高い」というそれなりの確度の情報を組み合わせ、最終的な投資判断を下すのです。
冒頭で説明したように、株価は「将来の企業業績に対する市場参加者の予想」で決定し、その予想を行う際の変数が動くことで株価も動きます。
ですから、株価チャートで株価のトレンドを追っていけば、市場参加者の予想の変化にも対応することができます。
例えば、もし四季報で将来も増収増益が期待できる予想が掲載されていても、株価が下降トレンドにあるのであれば、「プロ投資家は四季報に記載されている予想のような好業績が将来は期待できないと判断している可能性が高い」と推測し、新規買いを控えることができるのです。
(※簡単に言えば株価が25日移動平均線より上にあれば上昇トレンド、下にあれば下降トレンドです。詳しくは、拙著「株を買うなら最低限知っておきたい株価チャートの教科書」をご覧ください)
拙著「株を買うなら最低限知っておきたい株価チャートの教科書」が増刷され第4刷となります。「株を買うなら最低限知っておきたいファンダメンタル投資の教科書」と合わせてお読みいただければ、今回のコラムでご説明したことがクリアにご理解できると思います。机上の空論ではなく、筆者が株式投資で実践していることを書いておりますので、皆様の実際の株式投資にすぐ生かせる内容となっております。ご興味のある方はぜひご覧ください。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
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国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
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取引金額 取引手数料
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10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
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3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
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1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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取引金額 取引手数料
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50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
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1日の取引金額合計 取引手数料
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