株式投資では情報を活用して投資行動につなげることが必要です。でも、情報を活用するつもりが逆に情報に翻弄されてしまっては元も子もありません。そこで今回は、筆者がどのように情報を取捨選択し、活用しているかをお話しします。特に初心者・初級者の方にはぜひ知っておいてもらいたい内容です。
インターネットの発達により一昔前とは比べ物にならないほど簡単に情報が入手できるようになった今の世の中。これは株式投資においても同じです。
その一方、あまりにも多くの情報が氾濫しているため、いったいどの情報を信じて投資行動につなげたらよいのか、迷ってしまうことも多々あるのではないでしょうか。
情報が多すぎると、「多すぎて選べない」という弊害が生じます。例えば、今後の日本株の見通しについて、いずれも予想が良く当たると評判の専門家3人がそれぞれ「ここからさらに大きく上昇する」「横ばいで推移する」「大きく下落する」という予想を立てていることを記した記事があるとします。この記事を読んで、果たして自分自身の投資の指針として役立てることができるでしょうか。はっきり言って、逆にどうしたらよいのか悩んでしまうのではないでしょうか。
そこで私たち個人投資家としては、できるだけ多くの情報を利用しようとするのではなく、必要な情報のみを取り入れ、それ以外は無視しなければなりません。そのとき、取り入れる情報と無視する情報とを取捨選択することが必要です。これにつき、自分自身で「一定のルール」を作っておく必要があります。
筆者が情報を取捨選択する際に用いているルールは、「事実の情報は利用するが、予想や主観が入った情報は基本的に無視する」というものです。
具体的にあげれば、事実の情報とは、過去の株価、決算発表の数値、月次売上高、為替レート、国債利回り、GDP成長率など「過去」のデータです。
対して、予想や主観が入っている情報は、「未来の予想」についてです。会社が発表する、もしくはアナリストなど専門家が予測する来期以降の決算予想、専門家が予想する日経平均株価や個別銘柄の将来の株価見通しです。専門家による将来の為替レート、金利見通しなども未来の「予想」であるため無視します。「東京オリンピックの前年の2019年までは不動産市場は堅調だが、その後は危ない」というのも単なる予想に過ぎません。
このように、情報とは、「過去の事実」を記したものと、「未来の予想」を記したものの2種類に大別できるのです。
では、なぜ筆者が情報のうち「過去の事実」を利用し、「未来の予想」を無視するのか、それは「未来の予想は当たらないことが多いから」です。もっと言えば、膨大な数の未来予想から、正しい予想を事前に見つけることは不可能だからです。
例えば、年始になると、「今年の日経平均株価の見通し」を、そうそうたる専門家が予想します。ところが、この予想が、専門家によってバラバラなのです。もし、専門家が将来の株価を正確に予想できるならば、予想はほぼ似通ったものにならなければおかしいはずです。でも実際には予想がバラバラです。専門家であっても将来の株価を予想することはできないということが明らかなのです。
そして、この専門家の株価予想はなかなか当たりません。筆者は、この年初の株価予想は、「新春恒例のイベント」として楽しむようにしています。もちろん、筆者が投資戦略を立てる際に参考にすることはありません。
個別銘柄の株価見通しや、為替見通し、金利見通しについても同じことがいえます。つまり、相場のプロである専門家でさえバラバラな予想を立てるのだから、相場予想は事実上できないと理解しておくべきです。誰も予想できないのなら、将来の相場を予想した記事は無視しても一向に構わないのです。
このように書くと、「でも、専門家の中には予想が良く当たると有名な人もいて、リーマンショックも事前に当てたりしている。こうした人の予想なら信用してよいのではないか?」と思われる方も少なくないかもしれません。
しかし、この点についても、筆者は今までの経験上、いくら当たり屋の専門家の話であっても「信じ込む」ことは非常に危険だと思っています。
専門家には様々な人がいますが、典型的なのは「万年強気」や「万年弱気」と呼ばれるタイプです。
万年強気の専門家は、いつでも「株価は上がる」という主張を繰り返します。株価というものは一方向にいつまでも上がる、もしくは下がるということはありませんから、「上がる」と言い続けていれば、そのうち本当にアベノミクス相場のような上昇相場が到来し、「予想は正しかった」と自慢することでしょう。
株価の大きな上昇や急落が起きた場合、メディアはそれを事前に予想していた専門家を探し、それを記事にすることがよくあります。初心者・初級者の方はその記事をみて、「この専門家は事前にこんなことを言い当ててすごい」と思ってしまいますが、実際は「長い間ずっと上がるとか下がると言い続けてきただけ」というケースがとても多いのです。
ですから、相場が大きく動いたとき、それを事前に予想していた専門家の過去の発言を調べてみてください。もし株価が急落したときに、それを事前に当てた専門家が「ここからさらに下がる可能性が高い」と言っていたとしても、それが万年弱気派の専門家だったなら、その予想を鵜呑みにするべきではないと筆者は思います。
筆者は、もしこういう予想に価値があるのだとしたら、アベノミクス相場が始まる1カ月前に「近々大相場が始まる」とか、リーマンショックが起こる1カ月前に「もうすぐ大暴落が起こる」という予想に限ると思います。アベノミクス相場の3年も5年も前から「これから大相場が来る」とか、リーマンショックの5年前に「世界中で株価大暴落」と予想しても、それには価値はありません。かえって自らの投資戦略を決定する際の邪魔になってしまいます。
実際、アベノミクス相場が始まって半年くらいたった後の2013年5月に日経平均株価が急落したとき、「バブルは終わった」「ここから株価は大きく下がる」と叫んでいた専門家が大勢いました。しかし、そこから日本株はさらに大きく上昇したのはご承知のとおりです。今年8月のいわゆるチャイナショックで急落したときも、「中国経済崩壊で世界中の株価が大暴落する」などという専門家が多くいましたが、株価は底値から大きく反発しています。
こうした専門家の予想を信じた個人投資家は、その後の株価上昇を取り損ねてしまうのです。
筆者が最も危惧しているのは、専門家の予想を信じて投資行動を決定した結果、その予想に反する株価の動きになったときに個人投資家が大きなダメージを負う危険性が非常に高いという点です。
例えば、過去の予想がよく当たるとして全面的に信用していた専門家が、「日本株はバブルが間もなく崩壊して株価急落する」という見通しを出していたとしましょう。でも、その予想が外れて株価が大きく上昇した場合、この専門家を信じた個人投資家は、せっかく得ることができたであろう利益を得るチャンスを失ってしまいます。
また同様に、「日本株はここから大きく上昇してバブルの高値を超える」という見通しを出していたにもかかわらず日本株が大きく下落してしまった場合、その見通しを信じた個人投資家は多額の損失を被ってしまうことになります。
現に、リーマンショックを事前に予測した専門家がアベノミクス相場の到来を予測できずにいました。この専門家を信じた個人投資家は、一生に何度とない、資産を大きく増やすことのできるチャンスを逃してしまったことになります。
筆者も、何人かの専門家の話を参考にしていますが、その方たちの話の何を重視しているかといえば、「今、日本国内や世界で何が起きていて、今後の株式市場にとってリスクとなる可能性のある要素は何か」といった、「事実」に関する情報です。
現に、私が参考にしている専門家の方の相場見通しは、当たることもあるし外れることもあります。100%に近い確率で当たらないのであれば、その予想は参考にする必要はないと筆者は思います。
次回は、「未来の予想」という情報は無視して「過去の事実」を活用した情報の使い方を実際の株式投資でどう落とし込んでいけばよいのか、筆者の実践を踏まえてご説明したいと思います。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのように行動すべきか、これから「株式投資」を始めようと考えている方、必見です。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)