前回のコラムにて、上昇相場では投資家の実力の差が投資成績にそれほど反映されないと申し上げました。では、個人投資家の実力の差が如実に表れるのはどんな時でしょうか。それは「下落相場」のときです。
下落相場では、しばしば理屈では説明できないような理不尽な株価の大きな下落がしばしば起こります。ファンダメンタルでみて明らかに割安であろうとも、PERが1桁台に低下しようとも、好調な業績が続いていようとも、「株」であるならば何でも下がる、という状況が訪れることもあるのです。
このような状況になったとき、まさに「売買技術」がものをいうのです。
もし、売買技術が身についておらず、企業業績などファンダメンタルを過信している個人投資家であれば、例えばファンダメンタル面からみて明らかに割安な銘柄を買ったものの、相場全体の下落に引きずられて株価が下がっても、「割安な状態」から「さらに割安な状態」になるわけですから持ち株を売却しようとは思わず、そのまま持ち続けるでしょう。中には「安く買えるチャンス」とばかりに、買い増しをする人も現れるでしょう。
しかし、相場というものはある日突然個人投資家に牙を向けてくるのです。誰がどうみても割安であるはずの銘柄であっても、株価の下落がいつまでも止まらないのです。
こうなると、売買技術の乏しい個人投資家は、あきらめて持ち株を塩漬け状態で放置したり、ナンピン買いを繰り返して含み損が雪だるま式に膨れ上がったり、最悪の場合は株価が下がりきったところで恐怖心から投げ売りをしてしまうことになります。
でも、例えば筆者が実践しているように、例えファンダメンタルからみて割安な銘柄であっても、株価のトレンドが下降トレンドに転じたら一旦売却し、再度上昇トレンドに復帰したら買い直すという売買技術を用いれば、下落相場を難なく乗り切ることができるのです。
本格的な下落相場に突入すると、1年~数年の間株価の下落が続きます。この間、保有株をそのまま持ち続けた場合とトレンド転換で一旦売却した場合とでは、投資成績に大きく差が生じるのです。
例えば、P株を1株10,000円で100株買ったEさんとAさんのケースで考えてみましょう。なお、EさんとAさんは、前回(247回)のコラムで登場したのと同じ人です。これを踏まえて以下をお読みください。
EさんとAさんがP株を買った後、全体相場が軟調になるのにしたがってP株の株価も下がりました。上昇トレンドだったP株は株価9,200円で下降トレンドに転換、その後もダラダラと長期間にわたり株価は下げ続け、最終的には株価は2,000円にまで下がってしまいました。そこからは反発に転じ、株価2,800円の時点で上昇トレンドに転換、現在は株価が11,000円にまで上昇しました。
ファンダメンタル重視で売買技術に乏しいEさんは、割安な状態の銘柄を安い株価で売却する理由はファンダメンタルの面からみてないため、そのまま保有を続けていました。
一方、ファンダメンタルを重視するものの株価のトレンドも同様に重視するAさんは、下降トレンド入りして間もなく株価9,000円の時に損切りをしました。そして、再度上昇トレンドに転換した直後の株価3,000円の時に、損切りにより現金化した際の資金を使って300株買い直しました。
上のような経過をたどった場合、EさんとAさんの利益(含み益)はどうなっているでしょうか。
どうでしょうか。ファンダメンタルに固執して保有を続けた場合と、ファンダメンタルを重視しつつも株価のトレンドに逆らわずに売買を行った場合とで、これほど大きな差が生じるのです。これは机上の空論ではなく、例えば2011年ごろ新規買い→アベノミクス相場直前まで大きく下がる→アベノミクス相場による株価上昇で2011年ごろの株価を上回る、という最近では非常にありふれたケースを取り上げています。
上のケースは幸いにも最終的に株価が当初の買値を上回りましたから、持ち株の保有を続けても利益を得ることができましたが、いつまでたっても買値を上回らないというケースも頻繁に生じます。そうなれば、売買技術を身につけているAさんのような個人投資家は傷も浅く済みますし、売却・損切りで得た資金を他の有望な銘柄に振り向けることもできますが、売買技術の乏しいEさんのような個人投資家はいつまでも含み損に苦しんでしまいます。
本コラムの連載を読み返していただいたり、拙著をお読みいただければ、筆者なりの売買技術は理解していただけると思います。売買技術は色々ありますので、無理に筆者の方法を実践する必要もありませんが、ファンダメンタルのみ・長期保有のみの株式投資に限界を感じている方は、本格的な株価下落の場面が訪れる前に、できるだけ早く売買技術をマスターされることを強くお勧めいたします。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
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※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
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取引金額 取引手数料
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1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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