皆さんは、株式投資で最も重要なことは何だと思いますか?多くの方は「銘柄選び」、つまり株価が将来上昇する可能性の高い銘柄を選ぶことだとお答えになるのではないでしょうか。
しかし、筆者は株式投資を長年にわたり実践してきた経験から、「銘柄選び」よりもはるかに重要な点があることを皆さんにお伝えしたいと思います。それは「売買技術」です。
売買技術とは、具体的には以下のようなことを指します。
筆者は本コラムや拙著で、「トレンドに従った売買」や「損切り」の重要性を繰り返し申し上げていますが、これらも売買技術の1つです。
なぜ売買技術が重要なのか、それを次の事例で考えてみましょう。
ある銘柄(X株)を、著名な投資アドバイザーが推奨していました。推奨時の株価は100円でした。この銘柄はアベノミクス相場にうまく乗ったこともあり、そこから半年で900円にまで上昇しました。その後は調整に転じ、現在は400円前後で推移しています。
さて、このX株が推奨されているのを知ったAさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人は、いずれもX株を買いましたが、その後の結果は以下のようになりました。
Aさん:100円で買い → 600円で売却 (500%の利益)
Bさん:100円で買い → 120円で売却 (20%の利益)
Cさん:800円で買い → そのまま保有 (50%の含み損)
Dさん:100円で買い → 120円で売却
400円で買い → 480円で売却
800円で買い → そのまま保有 (トータルで37.5%の含み損)
Eさん:100円で買い → そのまま保有 (300%の含み益)
同じ銘柄を買ったのに、これだけ投資成績に差がつくのでしょうか?これがまさに「売買技術」により生じた差なのです。
この事例は多少脚色していますが、筆者が実際に売買した銘柄をもとにしています。AさんはX株の株価チャートをみたところ上昇トレンド入り間もなかったので100円で買いました。その後900円まで株価が上昇したものの天井をつけ下降トレンドに転じたので、600円で売りました。筆者もそのような方法を実践して高いパフォーマンスを得られた銘柄がいくつもありました。
では、次にBさんをみてみましょう。Bさんはせっかく株価が大きく上昇したのに20%の利益しか得ることができませんでした。しかしこの方法もあながち間違っているとはいえません。Bさんのように、そこそこの上昇で利益をしっかり確保するスタイルは、大相場こそ大きくは取れないものの、着実に利益を積み重ねることのできる方法だからです。
Cさんはどうでしょうか。これは典型的な「高値掴み」です。上昇トレンド入りして間もない段階で買うことができれば高値掴みは避けられます。また、仮に高値掴みしても損切りを適切に行えば浅い傷で乗り切ることができます。Cさんの失敗は、売買技術を磨くことで回避することが可能です。
DさんはBさんとCさんをミックスしたように見えますがそうではありません。Bさんは高値を追いかけて買わないのに対し、Dさんは株価が大きく上昇しても買いを繰り返しているからです。そしてCさんと同じように、最後は高値掴みで損切りせずに塩漬け、というパターンです。
Dさんのような売買をしている個人投資家は非常に多いと思います。せっかく安く買ったものの少しの利益で利食い → その後さらに株価が上昇したのであわてて買い直し → 少しの利益で利食い → さらに株価が上昇したので再び買い戻し → 最後は高値掴みで株価下落も損切りできずに含み損が膨らむ…という流れです。
この方法だと、最後は必ず高値掴みになります。そこで損切りができなければ塩漬け株を作ってしまうことになります。こうして、多くの個人投資家が塩漬け株を量産してしまうのです。
Dさんの失敗は、トレンドに応じた売買で利益をできるだけ伸ばす、損切りを実行できるようにする、といった売買技術を身につければ十分に回避できます。
CさんやDさんのケースは、失敗を反省材料にして売買技術をマスターしていけば、今後の投資成績を格段に向上させることができます。
しかしEさんのケースは、売買技術に関係なく、今回のアベノミクス相場で成功をしてしまっているだけに注意が必要です。
実は、アベノミクス相場では売買技術が身についていない個人投資家であっても利益を得ることができました。なぜなら、よほど変な銘柄を選んでしまわない限りは、株を買って持ち続けているだけで持ち株の株価が大きく上昇してくれたからです。
投資経験が浅い個人投資家は、これを「自分の実力」と勘違いしてしまいがちですが、上昇相場で利益を得ることは簡単です。上昇相場では、あまり実力による投資成績の差は生じません。逆に売買技術に乏しく実力の高くない個人投資家が、中途半端に売買技術を持つ個人投資家より成功してしまうこともあるのです。
Eさんは、売買技術を習得していないものの、たまたまX株を安く買うことができ、現在でも買値より株価がいまだ大きく上昇した状態のためX株を持ち続けているに過ぎないのです。アベノミクス相場という上昇気流にうまく乗ることができたため、結果として大きな含み益が生じている状況です。
特にアベノミクス相場が始まってから本格的に株式投資を始めた個人投資家で、下落相場を経験したことがない方は、Eさんのように「売買技術が身についていないが相場環境が良かったのでたまたま大きく儲かった」だけの可能性が大いにあります。
実は、Eさんは上昇相場だったからうまくいっただけであり、これが下落相場だったなら、これとは大きく違った結果になっています。
次回は、下落相場でEさんのような投資行動をしているとどうなるのか、そして下落相場を難なく乗り切るためにはどうすればよいのかにつきご説明したいと思います。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識
株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのように行動すべきか、これから「株式投資」を始めようと考えている方、必見です。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
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