今回は前回(第242回 リスクもあるが夢もある~「GC銘柄」の意味と投資法(その1))に引き続き、GC銘柄についてです。倒産リスクがそれなりに高いため、さすがに初心者の方におすすめはできませんが、多少のリスク覚悟で高いリターンを得たいという個人投資家の方にとっては、GC銘柄は「ダイヤモンドの原石」となる可能性が少なくないため、要注目です。
例えば過払い金返還請求等により業績が一時急速に悪化したアイフル(8515)は、GC銘柄の1つですが、2010年10月の安値41円から、2013年5月高値1,658円(2013年実施の株式分割考慮前の株価)まで、約40倍に上昇しました。
また、指紋認証ソフトを開発するディー・ディー・エス(3782)もGC銘柄ですが、6月13日には1,899円の高値をつけました。これは2012年6月につけた安値20円からみて95倍もの上昇です。
では、なぜ倒産リスクの高いはずのGC銘柄の株価が大きく上昇することが多いのでしょうか。それは「株価水準が非常に低い」ことがまさにポイントとなります。
倒産リスクが高い銘柄は、そのことが株価に反映されているため、株価がかなり低い水準にとどまっています。さらに、GC銘柄に指定される時点で、かなり業績が悪化していることが通常ですから、株価も相当売り叩かれている場合が多いのです。
株価が上昇するときのスタート地点がかなり低い位置にあるため、他の銘柄に比べて、株価が上昇したときの上昇率が大きくなるのです。
ただし、GC銘柄なら何でもよい、というわけではありません。当然ながら、中には業績が回復せず倒産してしまうものもあるからです。「GC銘柄だが業績が回復基調にあること」もしくは「GC銘柄だが画期的な新技術・新製品等により業績の急回復が見込まれること」が銘柄選びの際のポイントとなります。
とはいえ、GC銘柄は、倒産リスクが他の銘柄より高いことも事実ですから、継続企業の前提についての注記やリスク情報への記載が解消されてから投資した方がよいのではないか、と思う方も少なくないでしょう。
確かにその考え方にも一理あるのですが、株式市場は常に先を読んで動くものです。ゴーイング・コンサーン情報の開示が解消されるより前に、株価はすでに大きく上昇してしまっていることが多いのが現実です。
例えばアイフルは、未だに「リスク情報への記載」によるゴーイング・コンサーン情報の開示が行われておりGC銘柄のままですが、株価は底値から40倍に上昇したのです。
また、ディー・ディー・エスは先日ようやく「注記」による開示が解消されたものの、「リスク情報への記載」という形での開示は続いています。株価は「注記」による開示が解消された時点で、すでに底値から70倍になっていて、逆に「注記」解消のIR後は株価が40%以上下落しました。
GC銘柄から外れたことを確認してからの買いは、確かに倒産リスクの回避という面からは有用ですが、投資タイミングという観点からみると、下手をすると「高値掴み」にもなりかねない点は十分に用心すべきでしょう。
ゴーイング・コンサーン情報の記載が必要かどうかは経営者が判断しますが、その妥当性については監査法人が検討することになります。筆者の個人的な感覚でいえば、この対応について監査法人により温度差があるように感じます。
なぜなら、営業赤字が1期のみ生じただけで財務状況も特段問題ないと思われるにもかかわらずゴーイング・コンサーン情報の記載がされている銘柄がある一方で、営業赤字が数年続いていてもゴーイング・コンサーン情報の記載がない銘柄もあるためです。筆者自身、「この銘柄はさすがにゴーイング・コンサーン情報の開示が必要ではないか」とか、「この程度でゴーイング・コンサーン情報の開示をするのは厳しすぎるのではないか」と感じることがよくあります。
そこで、ゴーイング・コンサーン情報の記載があるかどうかだけでなく、各企業の財務状況(債務超過やそれに近い状況に陥っていないか、現預金が有利子負債に比して少なすぎないか、多額の欠損金が生じてないか、自己資本比率が低くないか、など)も照らし合わせた上で倒産リスクを見極め、投資対象とするかどうか判断するようにしましょう。
最後に、筆者がGC銘柄に対してどのように対処しているかをご紹介します。
まず、筆者はGC銘柄を一律に投資対象から外す、ということはしていません。
筆者は投資対象とする銘柄を選ぶ際に、財務状況もチェックします。上で記したようなチェック項目を確認し、問題がなければ投資対象とします。
その結果、投資対象とした銘柄の中に時折GC銘柄が混じることがありますが、財務状況や直近の業績などからみて問題ないと判断すれば、他の銘柄と同様に投資します。
また、財務状況にやや難があるものの、新規事業の将来性が高く、株価が大きく上昇する可能性があると判断した場合、投資資金を小さくして、万が一倒産してしまったとしても大勢に影響のない金額にとどめた上で投資することもあります。
この方法で銘柄を選ぶと、GC銘柄のうち投資対象銘柄として候補にあがるのはゴーイング・コンサーン情報を「リスク情報への記載」で開示する銘柄が大部分です。「注記」にて開示する銘柄は業績や財務状況がかなり悪い銘柄が多いので、ふるいにかけた時点で投資対象から外れてしまうことが大半です。
GC銘柄は倒産リスクが他の銘柄に比べて高いことは間違いありませんから、くれぐれも無理のない範囲内で投資をすべきです。絶対に倒産を避けたいのであれば投資対象から外さざるを得ません。
しかし、大きく売り込まれている分、業績や財務状況が「普通の状態」に戻るだけでも株価は大きく上昇しますし、画期的な新製品・新技術などで業績が劇的に回復することが見込まれれば、底値からの株価上昇が100倍に達することもありえます。
リスクもあるが夢もある…GC銘柄への投資も株式投資の醍醐味の1つです。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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取引金額 取引手数料
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20万円まで110円(税込)
50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
150万円まで559円(税込)
3,000万円まで 886円(税込)
3,000万円超936円(税込)
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
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1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
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