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第6回 金と他リスク資産の相関性

金と他リスク資産の相関性

2000年から現在まで、世界経済は大きく変質しました。その中で最も大きな変化は言わずもがなですが、中国のWTO加盟による国際市場への本格参入でしょう。そして、中国が市場に参入することで、世界の商品需給環境も大きく変化しました。現在、世界で第2位の経済大国である中国が突如として市場に現れた訳ですから影響が小さいはずは有りません。多くの金融商品がその影響を受けました。最も影響が大きかったのが、慢性的な供給過剰の状態が続いていた原油や銅といったコモディティ市場でした。

下のグラフは中国がWTOに加盟してからリーマンショックまでの原油、銅、金の価格推移を2002年1月=100として指数化したものですが、見ての通り原油や銅の価格上昇率は、金の上昇率を上回っています。今、かつてないほど金価格動向が注目されていますが、実は世界中がバブルに沸いていた2008年までの金価格は然程上昇していなかったのでした。経済発展のために必要な必需品である原油や銅を初めとするベースメタルの方が、重要性が高く、さらに価格低迷が長期に渡っていたため多くの生産者が新規鉱山投資を行っていなかったことから圧倒的に供給不足だったのです。原油や金属は明日から生産量を倍に、という訳にはいかないのです。

2002年1月以降の主要商品指数推移(2002年1月=100)


(出所:CME、LME)

次のグラフは2008年9月15日のリーマンショック後以降のこれら3商品の価格動向を追加したものですが、金価格は2002年から持続的に上昇を続けているのに対し、原油や銅価格は上昇・下落を繰り返しています。

2002年1月以降の主要商品指数推移(2002年1月=100)


(出所:CME、LME)

このような価格推移になった背景には何があるのでしょうか? 最も大きな理由がこれら原油や銅は「景気の動向に消費が左右される商品」である一方、金は「景気の動向に消費が左右され難い商品」である点だと私は考えています。

原油や銅にも「工業燃料・原料として使用する」という実需面の他に、「価格の変動から利益を得よう」とする投機の両方の需要が存在しています。ですが、投機筋が原油や銅の現物を価値保存手段(経済的な価値を貯めておく方法)として長期に渡って大量に保有している、という話はまだ聞いたことがありません。銅のETFが上場された時、金と同様に価値保存の手段としての現物銅需要が増加するか? とも考えたことがありますが、実際にはそうなりませんでした(但しJPモルガンやブラックロックが銅のETF上場を米証券取引委員会に申請しており、金ETFの浸透を考えるともしこの商品が上場されれば銅が注目される可能性はありますが)。「銅や原油の現物は最終的には工業目的で消費」されてしまうのです。ですので、銅や原油の消費は景気の動向に左右されやすくなります。

金には加工需要・宝飾品向け、工業(エレクトロニクス製品等)向け、歯科治療向けの実需と、投機目的としての現物需要(地金、コイン、メダル、ETFへの投資)が存在します。ですが、加工需要の内の宝飾品向け需要は、地金やコイン等の需要と大差は有りません。加工して工業的な価値を見出すというよりも金そのものに価値を見出す需要だからです。そのように考えると「純然たる工業需要」は全体の僅か17.5%となります。宝飾品を投機と見做してよいかという問題は残りますが、少なくとも金は銅やプラチナ等の他の工業金属、原油やガソリン等の工業原燃料と大きく異なり、投機的な需要が工業需要を上回る、特殊な需要特性を持った工業品であると言えるでしょう。

実際に2002年から今までの金価格とWTI価格の、伝統的金融資産である株価の指標であるS&P500の価格推移を比較してみると、WTI価格とS&P500の価格連動性は比較的高いのですが(相関係数で0.61)、金価格とS&P500の間の連動性は決して高いものではありません(同0.33)。S&Pへの石油・ガス関連銘柄のウェートが10%程度であるのに対し、金関連銘柄のウェートは0.2%に留まっているためです。ですが、このことは、投資を行う上では非常に重要な意味を持ちます。

  • 数値の連動性を示す指標。-1~1の範囲の値を取る。相関係数が1の時が最も連動性が高く、同じ値動きとなる。

複数の商品を対象に資産運用をする上でのリスクとは、「持っている資産が同時に下落して損失が拡大すること」ですが、ここまで述べてきたように金価格は景気の動向とは関係なく変動する傾向があるため、株と同時に金を保有することは、資産運用に関わるリスクを軽減する効果(リスク分散効果)が期待できるということです。なお、同じ期間の日経平均株価と円建て金価格の相関係数は▲0.14、円建てWTI価格との相関性は0.46でした。日本株は米国株に比べると、商品を保有することによるリスク分散効果が大きいと言えます。

2002年1月以降の主要商品指数推移(2002年1月=100)


(出所:CME、LME)

このように、金が投資商品として選択される大きな理由の1つとして、他の伝統的金融資産と価格の動きが異なる事が挙げられる訳です。

ここで、結果的に似たような動きになっているので、金ではなくプラチナやパラジウムでも良いのではないか? と思われる方も多いと思いますが、「多少のコストを払えば、何時何時でも現金にすることができる」という取引の流動性の観点からすればやはり圧倒的に金なのです。実際の取引規模を先物取引所の1日の売買高で比較してみると、金は約2兆円程度であるのに対し、銀は6,000億円、プラチナは600億円、パラジウムはぐっと規模が小さくなって200億円に留まります(※この数字は日々変動しますが、この水準が大きく変わるわけではありません)。

株と同じ感覚で取引が可能な金ETF等の金融商品の登場によって、伝統的な金融資産(株や債券)で運用を行っていた機関投資家が、金を容易に運用ポートフォリオの中に組み込むことが可能になりました。これからもリスク分散の観点から、金は当たり前のようにポートフォリオに組み込まれる資産クラスとして認知され続けるでしょう。

ただし、「多くの機関投資家が金を当たり前のようにポートフォリオに入れている」ということは、株価が下落すればその穴埋めのために金を売却し、株が上昇すれば投資比率を維持するために金を購入…といった動きが見られるようになる可能性があります。この状態が長期に渡ると、伝統的金融資産価格と金価格の相関性が高くなってしまう可能性があることは注意する必要があります。

金・プラチナ等のリスクと費用について

お預かりする金・銀地金は、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の受渡供用品銘柄として規定された純度99.50%以上の金、及び純度99.90%以上の銀地金です。プラチナ地金は、純度99.95%以上のロンドンプラチナ&パラジウム市場(LPPM)の受渡供用品銘柄として規定されたプラチナ地金です。

【金・プラチナ等の取引にかかるリスク】

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