下落相場は数年続くことも。出口戦略は冷静に、納得のいく判断を

2022年9月7日配信

積立投資家の皆様、本日もお疲れ様です。楽天証券の山口です。

毎週水曜日の「元気が出るニュースレター【#積クラ通信】」をお届けいたします。
本ニュースレターでは、積立投資家のお客様に役立つ「資産形成がうまくいくヒント」をお伝えしてまいります。

2~3年後に必要な資金のための出口戦略とは?

さて、先週より、出口戦略の4つの選択肢について、メリット・デメリット・向いている方などを解説しております。
4つの選択肢はこちらです。

  1. 運用資産をすべて売却する。
  2. 安定的な運用に切り替えて取り崩す。
  3. 運用資金と使う資金を分け、使う資金の方から取り崩す。
  4. 積極的な運用を続けながら取り崩す。

先週は、出口戦略の1つ目「(1)運用資産をすべて売却する。」について解説いたしました。
こちらのメリットは、売却後はマーケットの変動の影響を全く受けないということ。デメリットとしては、今後一切資産を増やすことはできない、ということでした。

このため、老後の長いスパンでの出口戦略を考えるのであれば、(1)の方法はあまりおすすめできませんが、一方で、今後2~3年以内に売却した資金を使い切る場合(お子様の大学資金や住宅購入の頭金など)は、(1)の方法が適している、ということをお伝えしました。
その理由は、運用できる期間が非常に短い期間しか残されていない場合、ハイリスクでの運用を続けると、当てにしていた資金が使う直前に大きく目減りしてしまう可能性があるためです。

ではこの場合、一度に売却した方が良いか、2~3年かけて定期売却をした方が良いのか?について、本日は解説していきたいと思います。

全部売却 or 定期売却 どちらにすべき?

結論から申し上げますと、元も子もない話になってしまいますが、どちらが良かったのかは後になってみないと分かりません。

例えば、最近の大きな下落ですと2020年3月のコロナショックが挙げられますが、この時は3月の株価暴落から回復するまでに3ヶ月ほどしかかかりませんでした。
(ただし、この時も、多くの人はここまでの急回復は予想していませんでした)
もし、2020年3月にたまたま全部売却してしまっていたら、「すぐに回復するなら一度に売らなければ良かった…」と感じてしまうことでしょう。

一方で、2008年のリーマンショックや、2001年頃のITバブル崩壊の時期を見ますと、状況は異なっています。
いずれも、ショックが発生する前後の1年半~2年の間は下落を続けており、さらに回復までには6~8年を要しています。
このため、もし定期売却を選択していたとすると、定期売却をしている2年の間ずっと下がり続ける、ということも十分にあり得るのです。
そうなると、「少しでも高いうちに全て売ってしまっておけば良かった…」と感じてしまうでしょう。
さらに、コロナショックと同じようにすぐ回復するかもしれないので、売却はまだ待っておこう…とタイミングをうかがっていると、結局回復までに5、6年もかかってしまった、ということも十分にあり得ます。
そうなると、本来の目的である資金の確保が出来なくなってしまいます。

では結局どうすれば良いのか?についてですが、売却時期の状況を見て、ある程度臨機応変に対応することが必要になってきます。
これは、相場やタイミングの予測が重要ということではなく、ご自身のメンタルを管理するうえで重要なことです。

相場予測ではなく、ご自身の感情・行動の管理が重要

もし、そこまで相場が大荒れしているような状況でなければ、潔く一度に売却し、早めに資金を確保しておくことで安心が得られるでしょう。
その後相場が上昇する可能性ももちろんありますが、売却した分がリターンの影響を受けないのは元から分かっていることですから、「必要な時期が近付いているから売却したのだ」と割り切って考えるようにしましょう。

一方で、売却しようと思っていたタイミングで相場が暴落しているような状況では、今後下がり続ける可能性もありますが、すぐに戻る可能性もあり、全部売却する決断をするのはかなり勇気がいるかと思います。
この場合は、売却しようと思っていた金額の半分をまず売却する、もしくは定期売却でとりあえず少しずつ売却を始めてみる、など、現状のアクションを取りつつ、今後のアクションの余地も残しておくことで、不安を和らげることが出来るかと思います。

やはり今後2~3年の短期的な相場の動きというのは、誰にも正確に予測することはできません。
色々な予測を出す人はいますが、それが合っていたのかは後にならないと分かりません。
ノストラダムスの予言のようなもので、信じるも信じないもあなた次第です。
しかし、後になって「自分の言うことは正しかった」となれば良いですが、もし外れていたとしても、誰もあなたの資金計画に責任を持ってはくれません。
(私は皆様に責任の持てないことは申し上げませんので、相場予測の話は一切いたしません。)

以前のニュースレターの中でもお伝えしましたが、自分ではどう頑張ってもコントロールができないものを、予測しようとしたり、回避しようとしたりしても、うまくいかなかったときのショックやダメージが大きくなってしまいます。
そうであれば、資産形成において目を向けるべきなのは、「世の中でこれから何が起こるか」ではなく、自分自身でコントロールできる「自分の感情や行動、目標」であると考えます。

ここでのゴールは、必要な時期に必要な資金を確保することですから、まずはその時期が近付いてきた時点で、あらかじめ出口戦略の計画を立てておくことが重要です。
また、出口の時期がどういう状況になっているかは、その時にならないと分からないですから、急激な変化があれば、先ほどのように全部売却を一部売却・定期売却に変更するなど、臨機応変に一部計画を変更しても構いません。
その後上がったとしても、下がったとしても、その時の自分がとった判断に納得がいくよう、しっかりと目標に照らし合わせ、ご自身の感情や行動をコントロールしていきましょう!

投資信託の質問箱

ご質問

「現在3000万円程の投資に対し約2000万円程含み益があるのですが、来年のリターンが5%と仮定した場合、リターンの金額は5000万×5%=250万なのか3000万×5%=150万のどちらでしょうか?」

ご回答

す、すごい金額ですね!大変羨ましいです…!
こちらのご質問については、「5,000万円×5%=250万円」が正解となります。
来年5%株価が上昇した場合、そのリターンは元本部分だけに掛かるわけではなく、現在のご自身の資産額全体にかかってきます。
売却をしていない限りは、含み益を含めた現在の保有資産額の5,000万円全体が値動きするためです。
これが、いわゆる「リターンがさらにリターンを生み出す」という、運用における複利効果ですね。

一方で、マイナスのリターンとなった場合も同様に、資産額全体に対してリターンが掛かります。
資産額が膨らんでくると、プラスのリターンでもマイナスのリターンでも、変動する金額が非常に大きくなってきます。
以前は、同じ下落率でもマイナス100万円だったものが、資産額が倍になればマイナス200万円になる、プラスの場合も然り、ということになるのです。
含み益が増えてくると、皆さん通る道ですから、是非慌てないようにしてくださいね。

お役に立てましたでしょうか?
引き続き、皆様からのご質問をお待ちしております!

文字サイズ

総合口座をお持ちでない方

投資信託のリスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。

投資信託の取引にかかるリスク

主な投資対象が国内株式
組み入れた株式の値動きにより基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
主な投資対象が円建て公社債
金利の変動等による組み入れ債券の値動きにより基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。
主な投資対象が株式・一般債にわたっており、かつ、円建て・外貨建ての両方にわたっているもの
組み入れた株式や債券の値動き、為替相場の変動等の影響により基準価額が上下しますので、これにより投資元本を割り込むおそれがあります。

投資信託の取引にかかる費用

各商品は、銘柄ごとに設定された買付又は換金手数料(最大税込4.40%)およびファンドの管理費用(含む信託報酬)等の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

お買付時にお客様に直接ご負担いただく主な費用
「買付手数料」:ファンドによって異なります。
保有期間中に間接的にご負担いただく主な費用
「ファンドの管理費用(含む信託報酬)」:ファンドによって異なります。
ご換金時にお客様に直接ご負担いただく主な費用
「信託財産留保額」「換金手数料」:ファンドによって異なります。

買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
また、「その他の費用・手数料等」については、資産規模や運用状況によって変動したり、保有期間によって異なったりしますので、事前に料率や上限額を表示することはできません。

毎月分配型・通貨選択型ファンドに関するご注意について

投資信託は、預貯金とは異なり元本が保証されている金融商品ではありません。下記コンテンツでは、毎月分配型ファンドの分配金の支払われ方および通貨選択型の収益に関するご案内をしております。投資家の皆様につきましては、当該ファンドへの投資をご検討なさる前にぜひご確認くださいますようお願い申し上げます。

毎月分配型ファンド・通貨選択型ファンドに関するご注意

投資信託に関する情報提供について

(楽天証券分類およびファンドスコアについて)

  • 楽天証券ファンドスコアは、「運用実績」を一定の算出基準に基づき定量的に計算したもので今後の運用成果を予想または示唆するものではなく、将来の運用成果をお約束するものでもありません。最終的な投資判断は、運用コスト、残高の規模、資金流出入額、運用プロセス、運用体制等を考慮し、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。
  • 情報提供:株式会社QUICK
    各投資信託関連ページに掲載している情報(以下「本情報」という)に関する知的財産権は、楽天証券株式会社、株式会社QUICKまたは同社の情報提供元(以下三社を合わせて「情報提供元」という)に帰属します。本情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではなく、これらの情報によって生じた損害について、情報提供元は原因の如何を問わず一切の責任を負いません。本情報の内容については、蓄積・編集加工・二次加工を禁じます。また、予告なしに変更を行うことがあります。

ご質問は
ありませんか?