信用取引は、新規建てを行った後に返済することで取引が終了します。そして、新規建て後、まだ返済されていないものを「建て玉(たてぎょく)」と言います。つまり、建て玉が返済されるまでは損益が確定しませんが、制度信用取引では新規建てから返済までの期間が6カ月と決められているため、いずれ必ず返済しなければなりません。買い建てならば「売り返済」、売り建てならば「買い返済」です。
一般的に、多くの投資家が「この銘柄の株価は騰がる!」という見通しならば、買いが増えて株価も上昇して行きます。信用取引でも、買いの建て玉が増えていくことになりますが、建て玉は必ず返済されますから、買い建て玉が増えるほど、将来の返済売りのエネルギーも蓄積されていくことになるわけです。反対に、売り建て玉の増加は、将来の買い返済エネルギーが溜まっていくことになります。
そして、そのエネルギーが大きいほど、株価にも影響を与えることが考えられ、「まだ返済されていない建て玉の状況が分かれば、投資判断のヒントになるのでは?」ということになります。そこで、建て玉の状況を知るデータとしてよく利用されるのが、「信用取引残高(信用残)」と「貸借取引残高(貸借残)」の二つです。両者とも、株数ベースで定期的に公表されます。
まずは「信用取引残高(信用残)」です。こちらは、取引所が毎週第2営業日の夕方(16時半ごろ)に公表しています。結論から言ってしまうと、信用残は非常に正確なデータです。制度信用取引はもちろん、一般信用取引、前回も触れた「店内食い合い」分までも含めた全体の状況を、取引所が各証券会社に報告させているからです。その一方で、週一回、週末時点の残高が翌週に公表されるというスケジュールは、データとしてやや使いづらい面があります。
そこで、信用残ともに使われるのが「貸借取引残高(貸借残)」です。貸借取引とは「証券会社が証券金融会社から信用取引に必要な資金や株券を借り入れること」で、前回のテーマでもありました。つまり、貸借残とは、信用取引全体のうち、証券金融会社が取り扱った分のみのデータになります。貸借残は信用取引のすべてではありませんが、何よりも日々公表されるという利点があり、建て玉増減の急激な変化なども捉えることができます。
ちなみに、貸借残の見方にはちょっとしたコツがあり、買い建て玉にあたるのが「融資」、売り建て玉にあたるのが「貸株」になります。買い建てのための資金を融資、売り建てのための株を貸すという証券金融会社の役割を示している格好です。
「自分は信用取引はやらない」という現物株取引派の投資家も、こうした信用取引の建て玉残高のデータは是非押さえておきたいポイントです。個別銘柄の動向を解説したニュースなどでも、「需給が良くない」とか、「売り方が踏み上げられている」などといった表現をよく見かけますが、次回はこうした信用建て玉残高の見方について、もう少し詳しく見て行きたいと思います。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
土信田雅之
信用取引入門講座
信用取引という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。ただし、その割には意外と「近くて遠い」存在であるのも事実です。このシリーズでは、「そもそも信用取引とは何なの?」という初歩の初歩から、一歩進んだ活用法までを毎回テーマを決めて解説していきます。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)