今回は信用取引と現物取引とのちがいについて見ていきたいと思います。主なポイントは以下の3点に整理されますが、実際に信用取引を始める際に、現物株取引とどこが異なるのかを把握することはとても重要です。
まずは取引にかかる費用(コスト)についてです。現物取引では、売買注文が成立(約定)する毎に売買手数料(委託手数料)が発生しますが、これは信用取引でも同様に発生します。ただし、信用取引ではこの売買手数料に加え、状況に応じて様々な費用が発生します。例えば、信用取引の買い建ては、買付代金を借りることになりますので、借りた金額に対して金利が発生します。
この他にも、売り建ての際に発生する貸株料や、月を跨いで建玉を保有した時に発生する信用管理費、配当などの権利を跨いで建玉を保有したときに発生する名義書換料、株不足の際に発生する可能性がある逆日歩など様々ありますが、詳しくは別の機会で説明します。とりあえず、ここでは、売買手数料以外にもコストが発生することを押さえてください。
現物株取引では、原則としてほぼ全ての銘柄を売買することができますが、信用取引では「取引できる銘柄」というものが指定されています。これまで信用取引と一言で説明してきましたが、厳密に言うと、日本国内には証券取引所が取引ルールを定めている「制度信用取引」と、各証券会社がルールを定めている「一般信用取引」の2種類が存在しています。最近はネット証券の普及によって一般信用取引の利用も増えてきてはいますが、ポピュラーなのは制度信用取引の方です。
その制度信用取引では、取引所が「これなら信用取引をしてもいいよ」という基準や条件を設けています。そして、こうした条件をクリアした銘柄が信用取引のできる対象になります。信用取引が可能な銘柄を「信用銘柄」、さらに、その中で売り建てもできる銘柄を「貸借銘柄」と呼んでいます。
つまり、信用銘柄は買い建てオンリーの銘柄、貸借銘柄は買い建て・売り建ての両方ができる銘柄というわけです。「売り建てしたいのに、貸借銘柄じゃないから出来ない」ということはよくあります。信用取引ができる銘柄は、証券会社の情報画面等で、「信用」もしくは「貸借」という表示がありますので、是非チェックしてみてください。
ちなみに、一般信用取引でも各証券会社が信用取引の可能な銘柄を設定しています。中には、制度信用取引で取引できない銘柄が一般信用取引では可能という銘柄もあったりします。ただし、一般信用取引は制度信用取引に比べて金利が高めになっていることが多いなど、コスト面について注意する必要があります。
現物株取引では、当たり前ですが、自分で保有している資金と株券で取引するため、「いつ買って、いつ売っても自分の勝手」です。売買の期間やタイミングに制限はありません。ただし、先ほど紹介した制度信用取引では、取引の期限が設けられており、新しく信用取引で売買した(新規建てした)日から6カ月以内に反対売買をして資金や株式を返済しなくてはいけません。勝負は6カ月間に決着というわけです。こうした信用取引の期限のことを「期日(きじつ)」といいます。
もっとも、一般信用取引では、上場廃止や合併、株式分割などの例外を除き、原則として期限を設けていない証券会社が多いです。とはいえ、一般信用取引は先ほども触れたように、金利が高めですし、その金利自体も日々発生するため、返済までの期間が長くなるほど、それだけコストが増えることになります。
以上、ざっくりと信用取引と現物株取引との違いを見てきましたが、信用取引を有効に活用する上で、コストについてより深く理解しなければならないことや、現物株保有でもらえる配当や株主優待はどうなるのだろうかなどの疑問も新たに湧いたかと思います。次回以降も、ポイントごとに詳しく見ていきたいと思います。
本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。
土信田雅之
信用取引入門講座
信用取引という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。ただし、その割には意外と「近くて遠い」存在であるのも事実です。このシリーズでは、「そもそも信用取引とは何なの?」という初歩の初歩から、一歩進んだ活用法までを毎回テーマを決めて解説していきます。
株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「ゼロコース」「超割コース」「いちにち定額コース」の3コースから選択することができます。
〔ゼロコース(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSOR(スマート・オーダー・ルーティング(※1))注文 のご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
ゼロコースをご利用される場合には、当社のSORやRクロス(※2)の内容を十分ご理解のうえでその利用に同意いただく必要があります。
※1 SORとは、複数市場から指定条件に従って最良の市場を選択し、注文を執行する形態の注文です。
※2 「Rクロス」は、楽天証券が提供する社内取引システム(ダークプール(※3))です。
※3 ダークプールとは、証券会社が投資家同士の売買注文を付け合わせ、対当する注文があれば金融商品取引所の立会外市場(ToSTNeT)に発注を行い約定させるシステムをいいます。
〔ゼロコース(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
但し、原則として当社が指定するSORのご利用が必須となります。(当社が指定する取引ツールや注文形態で発注する場合を除きます。)
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
かぶミニ®(単元未満株の店頭取引)は、当社が自己で直接の相手方となり市場外で売買を成立させます。そのため、取引価格は買付時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を上乗せした価格、売却時には基準価格に一定のスプレッド(差額)を差し引いた価格となります(1円未満の端数がある場合、買付時は整数値に切り上げ、売却時は切り捨て)。なお、適用されるスプレッドは当社ウェブサイトにて開示していますが、相場環境の急変等により変動する場合があります。
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