昨今の日本株で顕著になっているのが株価の「二極化」。上がる銘柄はどこまでも上がるものの、そうでない銘柄はてこでも上がらない・・・。そこで今回と次回とで、「バリュー」と「グロース」、2つの投資スタイルを分析し、足元の日本株ではどちらがより有利なのかを探っていきたいと思います。
株式投資をする際、当然ながらどの銘柄に投資するかを選ばなければなりません。その際の選定方法として、大きく分けると2つのスタイルがあります。それが「バリュー投資」と「グロース投資」です。
バリュー投資とは「割安株投資」とも言われ、企業価値と株価とを比較して、株価が企業価値よりも割安と判断される銘柄に投資するスタイルです。株価が割安な時に買い、企業価値が正当に評価されて株価が上昇するのをじっと待つ、というイメージです。
一方のグロース投資とは「成長株投資」ともいわれ、企業業績が年々成長を続けているような銘柄へ投資するスタイルです。企業の成長に伴う株価の上昇の恩恵を受けようというものです。
バリュー投資で重要なのが、企業の価値と株価との比較です。
企業の価値は、フロー(損益計算書)の面とストック(貸借対照表)の面とで測ることができます。フロー面における1株当たりの企業価値は「1株当たり当期純利益」、ストック面における1株当たりの企業価値は「1株当たり純資産」です。
フロー面で企業価値に比べた株価の割安度を測る指標がPER(株価収益率)です。これは、株価が予想1株当たり当期純利益の何倍かを表したもので、一般的にこの数値が低いほど、株価は割安とされます。
ストック面で企業価値と比較した株価の割安度を測るための指標がPBR(株価純資産倍率)です。これは、株価が1株当たり純資産の何倍かを表したもので、これが1倍を割り込んで低くなるほど株価が割安とされます。
これ以外に、配当利回りにより、株価の割安度を測ることもあります。配当利回りは「1株当たり予想配当金÷株価」で求められます。この数値が高いほど株価が割安であるとされます。
一方のグロース投資で重要なのは、企業の「成長」です。成長度合いを見るための重要なポイントが「売上」と「利益」です。売上と利益が増加すればするほど、高成長であると判断されます。
理想は、売上高と営業利益、経常利益、当期純利益の全てが毎年増加を続けていて、来期以降も増加予想となっている銘柄です。
アベノミクス相場で株価が5倍、10倍になっている銘柄が続出していますが、その多くが毎年増収・増益を達成しているグロース株です。
なお、時折見受けられるのが、売上高は横ばいであるものの、利益は毎年増加を続けているというケースです。しかし、こうした銘柄はグロース投資の際はできるだけ避けるべきです。
売上高は利益の源泉です。売上高が増えないのに利益だけ増やすことにはどうしても限界があります。売上高が増えなければ近い将来利益も頭打ちになってしまうはずです。そうなれば株価も大きく下落してしまうでしょう。
グロース投資であれば、売上高・利益とも増加している「増収増益」の銘柄を選択するのが基本です。
バリュー投資とグロース投資を比べると、バリュー投資の方がグロース投資よりもリスクは小さいですがリターンも小さいという傾向にあります。
これは、株価は長期的にはおおむね企業の業績に連動して動くため、業績が毎年伸び続けているグロース株の方が、株価が大きく上昇することが期待できるからです。
反面、ひとたび成長が鈍化すると株価が大きく下落するため、天井付近で投資した場合適切な損切り等を行わないと大きな損失を被る可能性が高い点に注意が必要です。そのため、グロース投資はバリュー投資よりもハイリスク・ハイリターンであると言えます。
一方、バリュー投資は、すでに株価が企業価値より割安な状態のものを選んで投資しますから、そこからさらに株価が大きく下がるという可能性は小さくなります。その一方、増収・増益が続くわけではないので、企業価値が正当に評価されなければいつまでたっても株価が上昇しないということも少なくありません。
バリュー投資はPERやPBR、配当利回り、対するグロース投資は増収増益が続いているかどうか、というように、両者は着目するポイントが大きく違います。そのため、基本的にはグロース投資目線とバリュー投資目線とで、選択される銘柄は異なってきます。
ただ、グロース投資目線でもバリュー投資目線でも同じ銘柄がピックアップされることが時々あります。つまり、「高成長」かつ「割安」な銘柄です。これは、マーケット自体が大きく売られているときや、長期的な下降トレンドにあるときに起きる現象です。
例えば、毎年30%の増収増益にもかかわらずPER7倍という銘柄が放置されていたりします。増益率30%であれば、PERが30倍でもおかしくありません。もし、この時点で買って、3年後、PER30倍という正当な評価がなされれば株価は約10倍にまで上昇する計算です。
現に、アベノミクス相場が始まる前はこのような銘柄がゴロゴロしていて、アベノミクス相場によってこうした銘柄の株価が正当に評価されるようになった結果、株価が5倍、10倍にまで上昇した銘柄が続出したのです。
このような、バリュー株かつグロース株は、ローリスクでハイリターンが見込めるお宝銘柄となり得ます。こうした銘柄を見つけたら、10%、20%の利益で満足することなく5倍、10倍を狙っていきたいものです。
次回は、足元の日本株では2つの投資スタイルのどちらが優位にあるのか、筆者が日々ウォッチしている約400銘柄の株価の値動きから見えてきた明らかな傾向について解説したいと思います。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 0円
20万円まで110円(税込)
50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
150万円まで559円(税込)
3,000万円まで 886円(税込)
3,000万円超936円(税込)
〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。
〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。
(貸株サービスのみ)
(貸株サービス・信用貸株共通)