現在地
ホーム > マーケット情報 > レポート・コラム&コメント > 株式 > 足立武志「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」 > 第322回 「マイナス金利」後の日本株の投資戦略を考える
投資情報メディア「トウシル」がオープン!レポート・コラムはこちらでご覧いただけます。

足立武志「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」一覧へ

2016年2月4日

第322回 「マイナス金利」後の日本株の投資戦略を考える

1月29日に日銀から発表された「マイナス金利」の導入は、市場参加者に大きなサプライズを与えました。マイナス金利は日本にとって初めてですから、日本株に及ぼす影響は未知数です。しかし、筆者は過去の経験則が大いに役立つ可能性が高いのではないかと考えています。

そこで今回は、マイナス金利導入が決定された後の日本株の投資戦略について考えてみたいと思います。

マイナス金利で本当に貸し出しが増加するのか?

マイナス金利導入の目的の1つは、金融機関が日銀に預けている預金にマイナスの金利を付することによって、日銀に預けていたお金を新規の貸し出しなどに回し、企業の設備投資等を促し、経済の好循環を作り出すことにあります。

しかし素朴な疑問として、そもそもマイナス金利を導入すれば、本当に資金需要が増えて日本経済が活性化し、景気回復につながるのでしょうか。

残念ながら筆者はそうはならないと思っています。

今の日本では、いくら低金利にしたところで、お金に対する需要がありません。需要がある会社は安全性に問題のあるところばかりです。そのため、貸出先を増やそうにもなかなか増やせないのが実情です。現在は、資金需要があり焦げ付きの心配がない一部の優良企業に対し、金融機関同士が金利引き下げ競争を展開しています。これは当然金融機関の収益圧迫要因になりますが、マイナス金利導入後は、この傾向が一層強まるのではないかと危惧しています。

潜在的成長率が低いままでは資金需要は増えない

では、なぜ日本の資金需要が増えないのでしょうか。それは日本国内に魅力的な投資案件が少ないからです。

バブル崩壊後の日本は、潜在的成長率が1%前後と、非常に低い水準で推移しています。潜在的成長率とは、いわばその国の持つ経済の「実力」といえるものですが、これが低いままではいつまでたっても資金需要は増えていきません。

残念ながら日本政府は、この潜在的成長率を高める努力をすることなく、単に資金供給のみを増やすことで市中に回る資金を増やそうとしていますが、資金需要が盛り上がらなければそれは夢物語に過ぎません。

現在は、高度にグローバル化した世界経済により、日本だけでなく先進国は軒並み潜在的成長率が低下しています。つまり、世界中においてデフレの傾向が強まっているのです。デフレというのは一言でいえば「供給過多・需要不足」の状況です。需要がない状況で、企業が積極的に投資をするはずはありません。

そんな状態で、お金はどんどん出す、金利も限りなくゼロで構わない、と借り入れを促しても、想定しているような効果は見込めないのです。

金融機関は今後どのような行動が考えられるか

しかし一方で金融機関としては、今まで余剰資金は日銀に預けておけば0.1%の金利が受け取れていたのが、逆に0.1%を支払わなければならなくなります。となると日銀への預け金は減少せざるを得ませんが、ではそのお金をどこに振り向けようか、という話になるはずです。

前述のとおり貸出需要はそれほど増えないでしょうから、どこかに投資するほかありません。もちろん、あまりに高リスクのものへの投資はできません。となると、利回りの比較的高い外国債券や、REIT(不動産投資信託)といった利回り商品がその受け皿になるのではないかと思います。

外国債券の需要が高まると、それは円安要因となります。円安になれば、日本株は上昇する傾向にありますから、その意味ではマイナス金利導入は「円安→日本株高」の効果が大いに期待できます。

REITについては、足元で利回りは3~4%程度です。マイナス金利導入に伴い日本国債の利回りがさらに低下するなか、これだけの利回りを確保できるREITは金融機関にとって非常に魅力的に映るでしょう。仮に利回り4%のREITが2%水準まで買われるとなると、REIT価格は2倍になる計算です。無論REITがそこまで買われるかどうかは未知数ですが、可能性の1つとして頭に入れておくべきでしょう。

過去の金融緩和直後の株価の値動きから傾向を学ぶ

では、こうしたことを念頭に置いて、マイナス金利導入後の日本株の投資戦略を考えてみましょう。

「歴史は繰り返す」と言われますが、実は過去と同じような事柄が起こったとき、株価も似た動きをすることがよくあります。

今回のマイナス金利発表時と同じような状況が、2014年10月末の追加金融緩和の発表時です。マイナス金利も「金融緩和」の一手法であることに変わりはありませんから、この2014年10月末以降の株価の動きは大いに参考になるはずです。

まず注目すべきは、マイナス金利発表後に大きく株価が上昇した不動産株です。添付のチャートは三菱地所(8802)ですが、2014年10月は、金融緩和発表当日に株価は急上昇したものの、翌営業日にはすでに天井をつけてしまい、その後金融緩和発表前の水準まで株価は値下がりしてしまっています。

三菱地所(8802) 週足チャート

(出所:マーケットチェッカー2

また、チャートは載せていませんが、例えば金利敏感株の1つである消費者金融株のアイフル(8515)アコム(8572)も、金融緩和発表の翌営業日に株価はピークをつけてしまっています。

一方、金融緩和に直接的な影響はないと思われる好業績株はどうでしょうか。例えば日本M&Aセンター(2127)は、金利敏感株ではありませんし、円安メリット株でもありませんが、毎年増収増益が続いています。添付のチャートをみていただくと、2014年10月の金融緩和発表時は、ほとんど株価は反応していません。しかし、その後株価は右肩上がりに順調に上昇しているのが分かります。

このように、2014年10月の金融緩和発表直後は、不動産株など金利敏感株が急騰したもののその勢いは続かなかったこと、好業績銘柄は株価が長期間上昇を続けたことを事実として押さえておく必要があります。

なお、1月29日の後場は、マイナス金利による業績への悪影響を懸念して銀行株が大きく値下がりしました。現時点では銀行の業績への影響は限定的とは思いますが、マイナス金利という、これまでの金融緩和とは異なる手法によるものです。今後の株価の推移に注目し、下降トレンドが続くならばあえて手出しする必要はないと思います。

<まとめ>マイナス金利の最大の効果は「株式市場の安定化」

金融緩和に対する株式市場の影響をまとめると次のとおりです。

  • 現状ではマイナス金利導入により資金需要アップ→景気回復となることは考えにくい
  • 過去の金融緩和発表後は、株価上昇・円安の効果を一定期間もたらした
  • 金融緩和発表直後は不動産株など金利敏感株が上昇するが長続きしないことが多い
  • 金融緩和発表後は好業績株が長期間順調に株価を伸ばす傾向にある

実は、今回のマイナス金利を含め、金融緩和がもたらす最大の効果は、「株式市場の安定化」だと思っています。例えば、昨年8月~9月のいわゆるチャイナ・ショックや、今年に入ってからの株価急落局面では、好業績の銘柄を含め、ほぼすべての個別銘柄が下降トレンドになってしまっていました。しかし、1月22日以降のリバウンド局面の株価の動きをみると分かる通り、一旦下げ止まると、やはり好業績の銘柄が真っ先に先の高値近辺までで反発しています。

つまり好業績株にとっては、極端な下げ相場でない限りは好業績を好感した買いが入りやすくなり、その結果右肩上がりの上昇が続きやすいといえます。金融緩和により、当面は株価が下がりにくいと市場参加者の多くが考えるようになれば、好業績の銘柄を安心して買える環境が整い、好業績銘柄の株価が上昇することにつながっていくのです。

筆者が導き出した結論は、不動産株をはじめとした金利敏感株は短期的には急騰するものの長続きしないので高値掴みに注意すること、好業績株で上昇トレンドのものへ投資した方が、長期的には良好な投資成果をもたらす可能性が高いということです。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

足立武志

知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識

株式投資がうまくいかない、という個人投資家の皆様へ。実践をベースにした「すぐに役立つ真の基礎知識」は、お客様の株式投資戦略に新たなヒントを提供。負けない、失敗しないためにはどのように行動すべきか、これから「株式投資」を始めようと考えている方、必見です。

新着レポート

最新の情報は、投資情報メディア「トウシル」で公開中です。
窪田真之/香川睦

国内株式 2017/07/31

嵐の前の静けさ 日経平均膠着はいつまで?(窪田)

窪田真之/香川睦「3分でわかる!今日の投資戦略」

今中能夫

国内株式 2017/07/28

決算コメント:任天堂、日本電産、東京エレクトロン

今中能夫「楽天証券投資Weekly:セクター・投資テーマ編」

吉田哲

コモディティ 2017/07/28

原油価格上昇の裏側に潜む、弱材料の7つの芽

吉田哲「週刊コモディティマーケット」

足立武志

ライフ 2017/07/28

相続時精算課税での上場株式贈与は要注意!

足立武志「個人投資家なら誰もが知っておきたい「相続」の基礎知識」

石原順

FX 2017/07/27

「ここから3~4カ月の相場は要注意」

石原順「外為市場アウトルック」

足立武志

国内株式 2017/07/27

ファンダメンタル分析入門(7)~配当金にまつわるアレコレ

足立武志「知って納得!株式投資で負けないための実践的基礎知識」

ハッサク

FX 2017/07/26

物価の見通し

ハッサク「ハッサクのなるほど為替超入門」

優待主婦 まる子

投資を楽しむ 2017/07/26

人気優待が多い8月。流通系や外食銘柄も多く、定番のクオカード、食事券も。

優待主婦 まる子「優待マニアが選んだ!今月のお宝優待株」

山崎俊輔

投資信託 2017/07/25

分からないことを認める勇気と、分からないことがある場合の投資方法について

山崎俊輔「『なんとなく』から卒業!実践・資産形成術」

出島昇

国内株式 2017/07/25

今週は、ドル売り要因多く、日経平均の上値は重い

出島昇「柴田罫線をベースとした相場分析」

国内株式のリスクと費用について

■国内株式 国内ETF/ETN 上場新株予約権証券(ライツ)

【株式等のお取引にかかるリスク】

株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。

【信用取引にかかるリスク】

信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。

【株式等のお取引にかかる費用】

国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
5万円まで 55円(税込)
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)

〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)

超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 0円
20万円まで110円(税込)
50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
150万円まで559円(税込)
3,000万円まで 886円(税込)
3,000万円超936円(税込)

〔超割コース 大口優遇(信用取引)〕
約定金額にかかわらず取引手数料は0円です。

〔いちにち定額コース〕
1日の取引金額合計(現物取引と信用取引合計)で手数料が決まります。
1日の取引金額合計 取引手数料
100万円まで0円
200万円まで 2,200円(税込)
300万円まで 3,300円(税込)
以降、100万円増えるごとに1,100円(税込)追加。
※1日の取引金額合計は、前営業日の夜間取引と当日の日中取引を合算して計算いたします。
※一般信用取引における返済期日が当日の「いちにち信用取引」、および当社が別途指定する銘柄の手数料は0円です。これらのお取引は、いちにち定額コースの取引金額合計に含まれません。

  • カスタマーサービスセンターのオペレーターの取次ぎによる電話注文は、上記いずれのコースかに関わらず、1回のお取引ごとにオペレーター取次ぎによる手数料(最大で4,950円(税込))を頂戴いたします。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引には、上記の売買手数料の他にも各種費用がかかります。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 信用取引をおこなうには、委託保証金の差し入れが必要です。最低委託保証金は30万円、委託保証金率は30%、委託保証金最低維持率(追証ライン)が20%です。委託保証金の保証金率が20%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります。

【貸株サービス・信用貸株にかかるリスクおよび費用】

(貸株サービスのみ)

リスクについて
貸株サービスの利用に当社とお客様が締結する契約は「消費貸借契約」となります。株券等を貸付いただくにあたり、楽天証券よりお客様へ担保の提供はなされません(無担保取引)。
(信用貸株のみ)
株券等の貸出設定について
信用貸株において、お客様が代用有価証券として当社に差入れている株券等(但し、当社が信用貸株の対象としていない銘柄は除く)のうち、一部の銘柄に限定して貸出すことができますが、各銘柄につき一部の数量のみに限定することはできませんので、ご注意ください。

(貸株サービス・信用貸株共通)

当社の信用リスク
当社がお客様に引渡すべき株券等の引渡しが、履行期日又は両者が合意した日に行われない場合があります。この場合、「株券等貸借取引に関する基本契約書」・「信用取引規定兼株券貸借取引取扱規定第2章」に基づき遅延損害金をお客様にお支払いいたしますが、履行期日又は両者が合意した日に返還を受けていた場合に株主として得られる権利(株主優待、議決権等)は、お客様は取得できません。
投資者保護基金の対象とはなりません
貸付いただいた株券等は、証券会社が自社の資産とお客様の資産を区別して管理する分別保管および投資者保護基金による保護の対象とはなりません。
手数料等諸費用について
お客様は、株券等を貸付いただくにあたり、取引手数料等の費用をお支払いいただく必要はありません。
配当金等、株主の権利・義務について
貸借期間中、株券等は楽天証券名義又は第三者名義等になっており、この期間中において、お客様は株主としての権利義務をすべて喪失します。そのため一定期間株式を所有することで得られる株主提案権等について、貸借期間中はその株式を所有していないこととなりますので、ご注意ください。(但し、信用貸株では貸借期間中の全部又は一部においてお客様名義のままの場合もあり、この場合、お客様は株主としての権利義務の一部又は全部が保持されます。)株式分割等コーポレートアクションが発生した場合、自動的にお客様の口座に対象銘柄を返却することで、株主の権利を獲得します。権利獲得後の貸出設定は、お客様のお取引状況によってお手続きが異なりますのでご注意ください。貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金については、発行会社より配当の支払いがあった後所定の期日に、所得税相当額を差し引いた配当金相当額が楽天証券からお客様へ支払われます。
株主優待、配当金の情報について
株主優待の情報は、東洋経済新報社から提供されるデータを基にしており、原則として毎月1回の更新となります。更新日から次回更新日までの内容変更、売買単位の変更、分割による株数の変動には対応しておりません。また、貸株サービス・信用貸株内における配当金の情報は、TMI(Tokyo Market Information;東京証券取引所)より提供されるデータを基にしており、原則として毎営業日の更新となります。株主優待・配当金は各企業の判断で廃止・変更になる場合がありますので、必ず当該企業のホームページ等で内容をご確認ください。
大量保有報告(短期大量譲渡に伴う変更報告書)の提出について
楽天証券、または楽天証券と共同保有者(金融商品取引法第27条の23第5項)の関係にある楽天証券グループ会社等が、貸株対象銘柄について変更報告書(同法第27条の25第2項)を提出する場合において、当社がお客様からお借りした同銘柄の株券等を同変更報告書提出義務発生日の直近60日間に、お客様に返還させていただいているときは、お客様の氏名、取引株数、契約の種類(株券消費貸借契約である旨)等、同銘柄についての楽天証券の譲渡の相手方、および対価に関する事項を同変更報告書に記載させていただく場合がございますので、予めご了承ください。
税制について
株券貸借取引で支払われる貸借料及び貸借期間中に権利確定日が到来した場合の配当金相当額は、お客様が個人の場合、一般に雑所得又は事業所得として、総合課税の対象となります。なお、配当金相当額は、配当所得そのものではないため、配当控除は受けられません。また、お客様が法人の場合、一般に法人税に係る所得の計算上、益金の額に算入されます。税制は、お客様によりお取り扱いが異なる場合がありますので、詳しくは、税務署又は税理士等の専門家にご確認ください。

ご質問は
ありませんか?