先週をもって、3月決算企業の本決算発表が出そろいました。本決算では来期の業績予想が企業側から示されるため、新規投資の銘柄選択や持ち株保有継続の要否を判断する際に非常に重要となります。
今回も、決算発表の結果を受けて数多くの銘柄の株価が大きく反応しました。上昇トレンドが続いていた銘柄が決算発表の翌日に急落したり、逆に下降トレンドが続いていたにもかかわらず決算発表をきっかけに急騰するという光景が至る所でみられました。
では、決算発表を受けて株価が大きく下がり下降トレンドに転換してしまった銘柄を、投資対象から外してしまってよいのでしょうか。決してそんなことはありません。
なぜなら、決算発表直後の株価の反応は、長い目でみれば「間違っている」ことも少なくないためです。
決算発表が集中する時期には、1日で数百もの企業が決算発表を行います。その内容につき、例えプロの投資家であっても、瞬時に適切な判断を下すことは不可能です。
企業が発表する業績予想の数値には当然ながら根拠があります。でも、投資家がその根拠を決算発表の当日とか翌日に調べ上げることは非常に困難です。そのため、増収増益が続いていて、来期も増収増益間違いなし、と多くの投資家が思っていた銘柄が減益の業績予想を出してきた場合、とりあえずネガティブな材料としてその翌日の株価は大きく下がります。その時点では、減益の予想が出たということしか判断材料がないからです。
しかし、その後減益の業績予想を出した理由についてプロの投資家が企業側に問い合わせたり、機関投資家向けに開催される会社説明会において詳細に説明がなされると、それを受けた見直し買いが入ることによって株価が持ち直すことは多々あります。
例えば今後の事業拡大にあたって先行的に費用が発生したような場合は、一時的に来期の決算は減益になってしまいます。でもその次の期は、事業拡大の効果が表れて売上、利益とも大きく伸びることが期待できます。そうなると、プロ投資家の視線はすでに来期ではなく再来期以降に向かうこととなり、来期の業績の落ち込みは一時的で再来期以降の業績を鑑みれば今の株価は割安だ、と判断して買ってくるのです。
このようにして、決算発表時の期待外れの来期業績予想を受けて急落した株価は徐々に持ち直し、やがては株価が上昇トレンドに復帰し、上値を追う動きになっていくのです。
例えプロであっても、企業が発表した業績予想を投資家が正しく理解するまでには時間がかかります。決算発表直後の株価の反応は間違っていた、というケースも多々あります。ですから、自身が投資対象として考えていた銘柄が決算発表を受け急落していても、しばらくは株価の推移に注意を払い、その後株価が上昇トレンドに復帰したならば新規買いを大いに検討すべきなのです。
実は、本決算時に各企業が発表する来期の業績予想は、結構外れます。大きな理由は2つあります。
1つ目は、半年後・1年後の国内外の景気や国際情勢、為替レート、商品市況などの動きを今の時点で読み切ることは非常に難しいからです。為替レート次第で業績が大きく変動するような銘柄であれば、適切な業績予想には将来1年間の為替レートを正確に予測する必要がありますが、それはほぼ不可能に近いと言わざるを得ません。
2つ目は、多くの経営者が、業績予想の下方修正を恐れて控えめな決算発表をする傾向にあるという点です。これは、1つ目の理由のとおり半年後・1年後の業績を適切に予想すること自体が難しいため保守的な予想になる傾向が強いこと、そして下方修正をすること自体に強い抵抗を持つ経営者が多いと思われることによります。
実際、本決算時に発表した来期の業績予想をその後毎年のように上方修正する企業は少なくありません。
ですから、例えばあまり景気や為替レートの変動に業績が左右されず、かつ過去も当初発表した業績予想を上方修正することを繰り返しているような銘柄は、おそらく来期の決算も上方修正してくる可能性が高いと予想することができます。
その上で、四半期ごとの業績の推移をチェックします。四半期ごとの売上高や利益を2年分(8四半期分)並べてみて、増収増益が続いているならば来期も同様に増収増益が期待できそうだと判断します。季節要因などにより四半期ごとに業績のブレが大きいような銘柄の場合は、四半期ごとに前年同期と比べます(当期の第4四半期と前期の第4四半期を比べる、というように)。直近の4四半期の全てが前年同期より増収増益であれば、同様に来期も増収増益が期待できます。
増収増益が続いているわけではない銘柄についても、例えば直近の2~3四半期の業績が連続して増収増益となっていたり、前年同期と比較して増収増益の傾向が見て取れれば、今後の業績の回復、ひいては株価の上昇が大いに期待できます。
このようにして、新規投資対象の候補をピックアップしていきます。
例えば、毎年のように控えめな業績予想を発表する銘柄が、来期を減収減益と予想していたにも関わらず、過去2年間の四半期ごとの売上と利益の推移をみると、見事に増収増益を達成しているケースを考えてみてください。
減収減益で来期の決算が着地する可能性は極めて低く、おそらく期中に業績予想が上方修正されて、結局は増収増益の決算になると予想できるはずです。
となれば、株価が上昇することが大いに期待できるわけですが、それでも株価のトレンドに逆らって、下降トレンドにある状態で新規買いをすることには筆者は賛成できません。
「控えめな業績予想と過去2年間の増収増益基調を踏まえれば、業績予想は上方修正され株価もやがて上昇するはず」と考えているのは、もしかしたら自分だけかも知れません。
プロ投資家は、業績にネガティブな情報を独自に持っていて、逆にその銘柄を売却しているかもしれないのです。ある程度の業績の伸びはすでに株価に織り込み済みで、プロ投資家は成長率の鈍化を見込んで売却を進めている、という可能性もあります。
従って、どんなに自分が「業績が良いからやがて株価は上昇する」と思っていても、株価が下降トレンドにある間は新規投資を控えることが重要です。株価のトレンドは、いわばプロを含めたすべての投資家のコンセンサスです。いくら自分自身が素晴らしいと思っている銘柄であっても、常に株価のトレンドは重要視すべきです。
ところで、来期の業績を適切に予測することが困難であるとして、来期の業績予想を発表しない企業があります。これに対してはどのように対処すればよいでしょうか。
プロの投資家は、そもそも各企業が発表する業績予想の数値を鵜呑みにはしません。独自に業績を予想し、それをもとに各銘柄に対して売買を実行します。そして、その投資行動は自ずと株価の動きに反映されます。
ですから、企業が業績予想を発表しない銘柄については、自身で精度の高い予想ができるならば別ですが、株価のトレンドに従って売買をすることが原則になります。
また、企業規模(≒時価総額)がある程度大きければ、業績予想を発表しない銘柄であってもアナリストが独自に各銘柄の業績を予想していますから、それを参考にするのもよいでしょう。
しかし、アナリストの独自予想が、イコールプロ投資家のコンセンサスというわけではありませんので、やはり最後は株価のトレンドに従うことが、大きな失敗を避けるためには大いに有効です。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
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取引金額 取引手数料
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50万円超 385円(税込)
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