世界的な大規模金融緩和の影響で、歴史的な低金利が日本のみならず世界中で続いています。投資家は少しでも高い利回りを求め、高リスクの債券にも手を出しており、まさに「債券バブル」の様相です。
本コラムをご覧の個人投資家の皆様は、債券投資を行わない方も多いかと思います。しかし、債券価格の動向が株価にも影響を与えることは少なくありませんし、最近では「株式の債券化」などという聞きなれない言葉も使われるようになりました。
そこで今回と次回の2回にわたり、個人投資家の方すべてが最低限知っておきたい債券投資の基礎知識や現状についてご説明したいと思います。
まず、基本中の基本として、債券の価格と利回りとの関係を押さえておきましょう。
債券価格と利回りとは逆相関の関係にあります。利回りが上昇すれば債券価格は下落し、利回りが低下すれば債券価格は上昇する、まずこの点を理解してください。
例えば、金融危機が生じた国の国債価格は急落します。イコール、利回りは急上昇します。3%だったものが20%にまで跳ね上がるといったようにです。これは、金融危機によって国債がデフォルト(債務不履行)になる恐れが高まるとして、国債を売りたい人が急増した結果です。売りたい人が買いたい人より多ければ価格が下がるのが経済の大原則です。3%だった利回りが20%にまで上昇して、ようやく売り手と買い手が均衡する状態になったということです。
逆に、金融緩和が行われている国の国債利回りは低下します。これは、中央銀行が国債を買い入れたり、金融緩和によりあふれ出て行き場を求めたマネーが債券市場に流入してくるからです。買いたい人が増加するため、売り手と買い手が均衡する状態まで利回りが低下するのです。
このように、低金利の状況とは、債券に対する買いの需要が高いことを表しています。しかし、ものには限度というものがあります。金利はどんなに低くてもゼロまでしか下がらない、これが従来の常識でした。ところが、欧州各国や日本では、期間の短い国債を中心に、金利がゼロを突き抜けてマイナス圏に突入しています。いわゆる「マイナス金利」が、今ではすっかり当たり前になってしまいました。
しかし、損をすることを承知で債券へ投資するのは、どう考えても行き過ぎです。確かに多額の資金を運用する人たちにとっては、どんなに低金利になっても債券へ投資しなければならないという事情もあります。さらに金利が低下すると見越して、満期まで保有せずに途中で売却して利益を得ようと考えて投資しているのかもしれません。
でも、私たち個人投資家が、それに追随して超低金利の債券に投資するのは、バブル真っ只中にとんでもない高値で株式を買うのと同じような行動だと気付かなければなりません。
世界的な金融緩和により行き場を失った緩和マネーは、債券市場に次々と流れ込んでいます。その結果、債券市場はバブルの状態になっていることは上でお話ししたとおりです。株式市場のバブル相場では、業績に関わらずほとんどすべての銘柄が大きく上昇しました。これと同じことが債券市場でも起こっているのです。つまり、他の債券に比べて利回りが高い債券は、リスクに見合った利回りとなっていない可能性が高いのです。
例えば2012年にヨーロッパ各国で金融危機が生じた際、ギリシャをはじめポルトガル、スペイン、イタリアといった国の国債の利回りは大きく上昇しました。ギリシャの10年物国債は40%近くに達し、ポルトガルは17%、スペインやイタリアも7%まで上昇しました。
ところが4月17日現在の各国の国債利回りは、ポルトガルが2.0%、スペインやイタリアが1.5%まで低下しています。まるでこれらの国には金融危機など初めから存在しなかったと錯覚をしてしまうほどの低金利です。
さすがにギリシャについては現在もゴタゴタが続いていますから13%と高水準ですが、それでも2012年の金融危機のときよりははるかに低い水準です。
注意しなければならないのは、これらヨーロッパ各国について、金融危機により債務不履行になるリスクが大きく低下したわけではないという点です。
大規模金融緩和により行き場を失ったマネーが、高リスクを承知で仕方なく、相対的に利回りの高いこれらヨーロッパ各国の国債を買っているのが実情なのです。
社債についても国債と同様です。いわゆるジャンク債といわれる、格付けが低い社債であっても利回りがどんどん下がっています。日本でも、個人投資家向けに販売されているある企業の社債は高い利回りが好評で、あっという間に売り切れてしまうようです。
でも冷静になってみれば、この超低金利の中で相対的に高い利回りであるということは、それだけ他の投資対象と比べてリスクも高いと考えるべきです。
高利回りという理由だけでその社債に個人投資家が群がるという光景は、あまり感心できたものではありません。「果たしてこの社債を買う個人投資家は債券の基本的な知識が分かっているのだろうか」と心配になってしまいます。
そしてもう1つ筆者が懸念しているのは、ある企業の高利回り社債について、ファイナンシャルプランナーや投資アドバイザーなど「専門家」が書いたインターネット等の記事です。それをみると、経営破たん等による債務不履行リスクが限りなく小さいと評価しているのです。この専門家は債券投資の知識を有しているのかと疑問に感じてしまいます。
もちろん投資は自己責任ですから、リスクを理解したうえで納得して投資するのは全く構いません。しかし、債券投資についての基本的な知識やリスクについてよく学ばないまま単に高金利につられて投資していると、いつか大けがをすることになりかねませんから十分に注意してください。
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足立武志
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株式等は株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等、ライツは転換後の価格や評価額の変動等により、損失が生じるおそれがあります。※ライツは上場および行使期間に定めがあり、当該期間内に行使しない場合には、投資金額を全額失うことがあります。
上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。
※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。
信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
国内株式の委託手数料は「超割コース」「いちにち定額コース」の2コースから選択することができます。
〔超割コース(現物取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
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10万円まで 99円(税込)
20万円まで 115円(税込)
50万円まで 275円(税込)
100万円まで535円(税込)
150万円まで640円(税込)
3,000万円まで1,013円(税込)
3,000万円超 1,070円(税込)
〔超割コース(信用取引)〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引金額 取引手数料
10万円まで 99円(税込)
20万円まで 148円(税込)
50万円まで 198円(税込)
50万円超 385円(税込)
超割コース大口優遇の判定条件を達成すると、以下の優遇手数料が適用されます。大口優遇は一度条件を達成すると、3ヶ月間適用になります。詳しくは当社ウェブページをご参照ください。
〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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取引金額 取引手数料
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50万円まで 261円(税込)
100万円まで 468円(税込)
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1日の取引金額合計 取引手数料
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