株価は常に将来を見据えて動くものです。そのことを如実に表した有名な相場格言に「株は思惑で買って事実で売れ」というものがあります(「噂で買って事実で売れ」と表現されることもあります)。
画期的な新製品が開発されるようだとか、爆発的なセールスが期待できそうだ、業績が劇的に変化しそうだ、といった思惑や噂が存在する銘柄は、その先行きに強い期待感が抱かれます。
するとその銘柄は将来業績が飛躍的に良くなりそうだと投資家から判断されることになり、株価は大きく上昇していくのです。
しかし、実際に思惑や噂が真実となり、好業績が明らかになると、その後の株価は逆に下落していくことがよくあります。(もちろん、思惑通りにならないことが明らかになったときも株価は急落します。)
繰り返しになりますが、株価というものは将来を織り込んで動くものです。噂や思惑の段階で、その将来を織り込んで株価はどんどん上昇していきます。そして、事実が確認できた頃には、好業績は株価上昇によりすっかり織り込まれているため、逆に材料出尽くしとして株価が下がってしまうのです。
噂や思惑が真実となり、実際に業績が良くなったことが確認できてからその銘柄を買っていてはもう遅いのです。そのタイミングでの新規買いは高値掴みになってしまう危険性もあります。
そうでなくとも、思惑の段階で安く買い仕込むのと、そこから株価が5倍、10倍になった後に事実を確認した上で買うのとでは、投資成果がまるで違ってきます。高い将来性が見込まれる銘柄ならば、時には足元の業績が赤字のうちから買い仕込みをしないと大きな利益を得ることは難しいのです。
思惑や噂が生じてから、事実が判明するまでに要する期間は、その思惑や噂の中身によりさまざまです。
比較的期間が短いものとしては、例えば当期業績予想の上方修正が挙げられます。決算発表は四半期決算を含めると3カ月に1度ありますし、決算発表前に企業側が業績予想修正を発表することもありますから、長くて2~3カ月ほどで決着する内容です。
また、東証1部への指定替えや各種指数(MSCIやJPX日経400など)の構成銘柄新規採用といったものも、発表のスケジュールが決まっていますから、事実が判明するまでにそれほど長い時間はかかりません。
一方、画期的な新製品・新技術の開発が期待されるが、それが実際世に出回るまでには数年~10年以上かかる、というケースでは、いつまでも思惑で株価が動くことになります。その典型例はバイオ関連株です。各社とも画期的な治療薬の上市を目指して開発を行っていますが、それが成功して世に出回るのはいつなのか、そもそも本当に成功するのかさえはっきりしない状態で、株式市場で日々売買が行われているのです。2013年前半には、足元の業績が大赤字にもかかわらずバイオ関連株が急騰したことは記憶に新しいところです。
基本的に、噂や思惑の段階で株価が上がり、事実が確認されれば材料出尽くしで上昇が一旦はストップするわけですから、極端な話、いつまでも噂・思惑の状態が続いた方が相場は長続きするといえます。
しかし、その一方で、こうした株は思惑のみで株価が動くため、株価が乱高下しやすいという特徴があります。
2013年前半のバイオ関連株は、新薬開発期待を織り込んで大きく上昇したものの、株価が上昇しすぎて自然崩壊してしまいました。その後は銘柄によっては再度上昇しているものもありますが、非常に波の荒い値動きといえます。
量子電池の開発に注目が集まる日本マイクロニクス(6871)も、IRからわずか3カ月で株価が約20倍に急上昇したと思えば、展示会への試作品発表で一旦の材料出尽くしとなり、高値から2カ月で5分の1にまで急落しました。そしてその後は再び上昇に転じ、直近安値からは3倍以上になりました。
極めつきは指紋認証システムなどを手掛けるディー・ディーエス(3782)です。2012年の安値から約1年で株価が70倍に急騰したものの、そこから半年で7分の1にまで急落しました。さすがに大天井をつけたと思いきや、そこから驚きの復活をみせ、4カ月で株価は9倍に上昇、直近高値をあっさり抜いてしまいました。しかし、7月15日に業績下方修正(赤字継続)を発表した影響などにより、再び高値から半値以下まで下落しています。
こうした点を考慮すると、どんなに画期的な新薬・新製品・新技術が期待される銘柄であっても、単に長期保有するだけでは思ったほど利益を得ることはできないことが分かります。株価が大きく買われた状況では保有株の一部を利食いする、株価のトレンドに従って売買する、といった対応が望ましいといえます。
次回は、思惑で株価が動く銘柄の見つけ方や売買方法などについて、筆者の実践を踏まえてご説明したいと思います。
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足立武志
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信用取引は取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。
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〔超割コース 大口優遇(現物取引)〕
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