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売買成立方式にはどういう種類があるの?
板寄せ方式とザラバ方式の2種類の方法で売買が成立する!
株価の決まり方には2つの方法があります。1つは始値・終値を決定する場合に用いられる「板寄せ方式」で売り注文と買い注文のバランスにより売買を成立させる方法。もう1つは「ザラバ方式」で、注文が入ってきたらその都度、取引を成立させる方法です。
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「板寄せ」ってどんな方法?売買開始時までの注文をまとめ、最適株価を出して「始値」を決定!
取引所では午前8時から午前9時までの間は注文の受付けを行っていますが、売買は行われていません。このため、売り注文と買い注文がいろいろな値段に存在し、売り注文と買い注文が交錯しています。このように、注文が交錯している状態から売買を成立させる場合は、「板寄せ方式」により売買を行います。「板寄せ方式」では、以下の3つの条件を満たす値段で売買が成立します。
「板寄せ方式」の場合、以下の3つの条件を満たす値段で売買が成立するというのがポイント!
【条件1】成行の売り注文と買い注文すべてについて約定すること
【条件2】約定値段より高い買い注文と、約定値段より低い売り注文がすべて約定すること
【条件3】約定値段において、売り注文または買い注文のいずれか一方すべてについて約定すること
具体的に「板寄せ」でどのようにして値段が決まるのか?
売りと買いの注文が交錯した状態からまずは始値を仮定する
右は売買開始前の板状況です。
売りと買いのバランスがとれている値段とは売り注文と買い注文のそれぞれ累計数量が逆転する値段を探します。
この場合、累計数量が逆転する値段は501円と500円になっています。このどちらかの値段で始値が決定することになります。
売り成行注文と買い成行注文を約定させる
それでは、まず500円で始値が決定すると仮定、3つの条件の中の【条件1】を満たすために買いと売りの成行注文をすべて約定させます。
この時点では買い成行注文はすべて約定し、売り成行注文の200株が残ります。
500円より高い買いの指値注文と500円より低い売りの指値注文を約定させていきます。
次に売り成行注文の残り200株と、【条件2】のとおり500円よりも低い売り注文600株と、500円より高い買い注文800株を約定させます。
これにより、成行注文、500円より安い売り注文と500円より高い買い注文は残りませんので、【条件1】と【条件2】を満たします。
約定値段の売りまたは買い注文のいずれかがすべて約定する状態にする
最後に、500円の売り注文400株と、500円の買い注文1,000株を約定させます。
これにより、売り注文400株すべてが約定し、買い注文についても400株約定します。
以上の結果、始値500円で売買が成立します。また、始値が決まった後の板状況は501円の売り注文が2,000株、500円の買い注文が600株となります。
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「ザラバ方式」ってどんな方法?
売買注文の値段が合致する都度売買が成立!
始値が決まった後から終値を決める前までの間(ザラバ)の株価を決定するザラバ方式では、「すでに発注されている売り注文(または買い注文)の値段と、あらたに発注された買い注文(または売り注文)の値段が合致した」ときに売買が成立します。
どのように株価が決まるのかを具体的に見てみましょう!
- 1一番安い売り注文が501円2,000株、一番高い買い注文が500円600株のとき、買い成行注文200株が発注されました。
- 2あらたに発注された買い成行注文は、最も安い501円の売り注文と値段が合致するので、501円で売買が成立します。
- 3次に498円1,000株の売り注文が発注されると、まず一番高い買い注文である500円600株の買い注文と約定、次に残った400株は499円の買い注文と約定が成立します。
どのように株価が決まるのかを具体的に見てみましょう!
価格優先の原則とは?
買い注文については値段の高い注文が値段が安い注文に優先し、売り注文については値段の安い注文が値段の高い注文に優先するというルールです。
例えば、1,010円の買い注文は、1,000円の買い注文よりも高くてもいいから買いたいという注文ですので、優先して売買が成立するわけです。
時間優先の原則とは?
同じ値段の注文の場合、取引所が受付けた時間が早い注文が遅い注文に優先するというルールです。
ただし、同時に受付けたとみなされる注文(同時注文)については、「時間優先の原則」は適用されません。
始値等が決まるまでの注文、比例配分(ストップ高、ストップ安)においては、同時に受付けたとみなされる「同時注文」として配分されます。
以下の注文については、すべて同時に受付けた注文「同時注文」とみなされます。
- 前場と後場の始値が決定するまでに受付けた注文※
- 売買停止し、その後再開した際の最初の値段を決定する時までに受付けた注文
- 午後立会終了時にストップ配分が行われる場合のストップ値段(ストップ高、ストップ安)での注文
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「特別気配」っていったい何? 株価が更新値幅以上に一気に動かないように「特別気配」を表示!
直前の株価から一定の値幅内であれば即時に売買は成立しますが、その値幅(気配の更新値幅)を超えてしまう場合に「特別気配」が表示されます。
「特別気配」は取引時間中であれば始値決定前でもザラバ中でも表示され、直前の株価よりも高い値段で売買が成立する状態の場合は「買い」の板情報に「S(特別気配)」、安い値段で成立する状態の場合は「売り」の板情報に「S(特別気配)」が表示されます。
直前の約定値段が500円の時に次の約定値段が540円(+40円)となるような注文が入った場合、気配の更新値幅が10円のため510円に買いの特別気配が表示される。
「510円よりも高い注文があるので売り注文を出してくれませんか?」と呼び込んでも売り注文が入ってこないで、510円の特別気配の値段で約定しない場合、3分間隔で特別気配を520円、530円と引き上げ、売買が成立する値段に近づけていきます。
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ストップ高・ストップ安の売買は?
"比例配分"で証券会社ごとに株が配分される!
前日終値に基づき株価が一日に変動する値幅が一定の範囲内になるように制限値幅が決められています。(右表)
前日の終値が500円の場合は制限値幅が100円なので、600円で「ストップ高」、400円で「ストップ安」となります。
通常、終値を決める売買は「step2」で説明した板寄せ方式で行われますが、売り買いどちらかの成行注文などが大量に発注されてストップ値段になっている時は、「成行注文がすべて約定すること」という条件を満たさなければならない板寄せで終値をつけることができなくても、「比例配分(ストップ配分ともいう)」という方法で売買を成立させていきます。
ストップ配分が成立する条件
- 成行注文を制限値段における指値注文とみなします。※
- ストップ高の場合には制限値段に1売買単位以上の売り注文がある場合、売買が成立することとしています(ストップ安の場合には、1売買単位以上の買い注文がある場合、売買が成立します)。
比例配分のルール(証券会社への配分方法)
注文数量の多い証券会社から少ない証券会社の順番で1単位ずつ配分する
(例)ストップ買い気配で終了、買い数量が33,000株、売り数量が8,000株の場合
- 買い数量の多いA証券からE証券まで1,000株ずつ割当…合計5,000株
- 8,000株から1の5,000株を差し引くと残り3,000株。A証券からC証券まで1,000株ずつ割当…3,000株
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A証券 |
B証券 |
C証券 |
D証券 |
E証券 |
合計 |
買い数量の内訳 |
15,000株 |
9,000株 |
5,000株 |
3,000株 |
1,000株 |
33,000株 |
11単位ずつ配分 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
5,000株 |
21単位ずつ配分 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
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3,000株 |
割当数量 |
2,000株 |
2,000株 |
2,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
8,000株 |
同時注文の場合、売買が成立する都度、数量の多い証券会社から少ない証券会社の順番で1単位ずつ配分されます
(例)株価500円で、買い数量が33,000株の場合
- 500円で3,000株の売買が成立すると、買い数量の多いA証券からC証券まで1,000株ずつ割当…合計3,000株
- 次に500円で5,000株の売買が成立すると、D証券からC証券まで1,000株ずつ割当…合計5,000株
- 次に500円で5,000株の売買が成立すると、D証券に割当後、E証券は買い数量がないため、次にA証券からD証券まで1,000株ずつ割当…合計5,000株
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A証券 |
B証券 |
C証券 |
D証券 |
E証券 |
合計 |
買い数量の内訳 |
15,000株 |
9,000株 |
5,000株 |
3,000株 |
1,000株 |
33,000株 |
11単位ずつ配分 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
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3,000株 |
21単位ずつ配分 |
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1,000株 |
1,000株 |
5,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
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31単位ずつ配分 |
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1,000株 |
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5,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
1,000株 |
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