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NISA活用法③ まとまった資金を有効活用!成長投資枠を使いこなすためのNISA徹底活用法

NISA活用法③ まとまった資金を有効活用!成長投資枠を使いこなすためのNISA徹底活用法

更新日:2024年12月19日
掲載日:2023年7月14日

2024年から新しくなったNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの枠を同時に利用することが可能になりました。本記事では、つみたて投資枠よりもさらに自由度の高い、成長投資枠を使いこなす方法についてご説明します。

要約すると
  • NISAでは成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能に!
  • NISAの成長投資枠の徹底活用方法を3つご紹介
  • NISAの成長投資枠とつみたて投資枠を併用するコツと注意点をご紹介

NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の2つが併用可能に!

日本に住む18歳以上の人を対象に2024年以降、恒久的に利用可能となるNISA制度の概要について最初に確認しておきましょう。

NISA制度の概要(出所:金融庁ホームページ等より筆者作成)

NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠という2つの枠が併用でき、年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円ですので、最大では年間360万円となります。ただし、一人あたりの非課税保有限度額が1,800万円となりますので、累計ではこの金額を上回ることはできません。

それぞれの枠で投資できる商品は、つみたて投資枠は旧つみたてNISA対象商品と同様で積立・分散投資に適した一定の投資信託、成長投資枠は旧一般NISAと同様に上場株式・投資信託等となっています。ただし、成長投資枠では、次のような商品は資産形成に向けては適切ではないと考えられるため対象外となります。

  1. ①整理・監理銘柄
  2. ②信託期間20年未満の投資信託等
  3. ③高レバレッジ型の投資信託等
  4. ④毎月分配型の投資信託等

ここで、実際に成長投資枠で購入可能な投資信託・上場投資信託(ETF)・上場投資法人(REIT等)の商品を確認してみましょう。具体的には、一般社団法人投資信託協会のホームページで公表されています。

投資信託(非上場)の対象商品(2024年8月23日時点)は1,946本となっています。また、上場投資信託(ETF)および上場投資法人(REIT等)は、それぞれ合計260本、合計63本(2024年8月7日時点)となっています。

なお、実際に各金融機関で取り扱われるかどうかは金融機関ごとに異なりますので、ご自身が口座をお持ちの金融機関で購入できるかどうかは、それぞれの金融機関でご確認いただければと思います。

ここで、つみたて投資枠と成長投資枠の違いについて、金額以外の部分について整理すると、次のようになります。

つみたて投資枠は、買付方法が積立買付のみ、そして対象商品が積立・分散投資に適した一定の投資信託(旧つみたてNISA対象商品と同様)と限定されている一方、成長投資枠についてはスポット買付もできますし、つみたて投資枠対象商品以外の上場株式・投資信託等も購入することができるようになっています。

以下では、成長投資枠を徹底的に活用していく3つの方法をご紹介します。

成長投資枠活用法①:つみたて投資枠対象商品のみを買付

1つ目の方法は、成長投資枠ではあるものの、つみたて投資枠と同様に、つみたて投資枠対象商品を積立もしくはスポットで買付していくものです。

成長投資枠という名前からは、成長が期待できる株式や、グロース株を対象としたアクティブファンドといった商品が連想されるかもしれませんが、必ずしもそういった商品である必要はありません。つみたて投資枠同様に、世界株式インデックスファンドや先進国株式インデックスファンドのような、世界の幅広い株式に分散投資できる低コストのインデックスファンドを購入していくのです。

つみたて投資枠のみだと年間投資枠は120万円ですが、成長投資枠分まで使うと合計で年間投資枠は360万円まで広がります。毎月の収入からこれほどの金額を投資にまわすのは難しいと思いますが、ボーナスが入った時など、好きなタイミングで同じ商品を買い付けるという使い方が考えられます。

成長投資枠活用法②:上場株式・投資信託等を積立買付

2つ目の方法は、上場株式・投資信託等を積立買付していくものです。

積立買付となると、主にアクティブファンド等の投資信託が中心になると思います。つみたて投資枠対象商品は299本の公募投信およびETF(2024年8月23日時点)となっていますから、それ以外の商品を積立買付していきたい場合に、成長投資枠を活用していくことが考えられます。

成長投資枠活用法③:まとまったお金がある場合、自由に買付

最後の活用法は、ある程度まとまったお金がある場合に、好きなタイミングで買いたい分だけ購入していくというものです。

成長投資枠では、つみたて投資枠対象商品に限定することなく、上場株式、ETF、REIT、アクティブファンドなどの商品を、年間240万円まで、累計1,200万円まで自由に購入することができます。

ここで、まとまったお金がある方のイメージとしては次のような例が考えられます。

  1. 退職金を受け取る予定の方、またはすでに受け取って預金などで寝かせている方
  2. 旧一般NISAで投資してきており、今後、5年の非課税期間満了を迎えていく方
  3. 課税口座ですでに1,800万円程度などまとまったお金を持っている方
  4. 相続・贈与などでまとまったお金が入った方
  5. マイホームの売却や暗号資産の売買などで、まとまったお金が入った方

例えば、定年退職されて退職金を受け取った方が、つみたて投資枠のみで積立投資を始めていくと、投資が完了するまでかなりの時間がかかってしまう可能性があります。そのような場合に、成長投資枠をキャッチアップ枠として利用し、年間240万円まで投資すれば最短5年間で1,200万円分、つみたて投資枠も併用すれば最大1,800万円分までの投資を行うことが可能です。

また、これまで旧一般NISAを利用されてきた方は、今後5年間の非課税期間満了を毎年迎えていくことになります。

旧一般NISA口座で保有していたものは非課税期間満了時には課税口座に移管するか、売却するかになりますが、NISAの非課税メリットを受けるために売却後速やかに成長投資枠で購入し直すという利用方法が考えられます。商品は、これまで旧一般NISAで保有してきた同じもの(ただし、成長投資枠での対象商品であることが前提)でもよいでしょうし、これを機に変更するのもよいでしょう。

また、特定口座などの課税口座でまとまった金額をお持ちの方は、保有資産を変更しなくとも、一度売却してNISA口座で買い直した方が税制上のメリットは大きくなります。

最後に、相続・贈与や、マイホームの売却や暗号資産の売買など何らかの要因でまとまったお金が入った方は、成長投資枠を積極的に利用していくとよいでしょう。

上場株式やアクティブファンドなどを持つならコア・サテライト戦略という考え方も

NISAでの成長投資枠を利用される際に1つ注意していただきたいのは、一般的に上場株式やアクティブファンドなどへの投資はその投資対象によってパフォーマンスが大きく異なりますが、銘柄の選択や売買のタイミングはやさしいものではないということです。

そのような意味では、上場株式等のリスクが高い資産も含めて、運用資産全体を管理する方法として、コア・サテライト戦略がおすすめです。これは運用資産を比較的安定的なパフォーマンスが期待できるコア(中核的な部分)と、そのまわりでより高いパフォーマンスを追求するサテライト(衛星のイメージ)として管理する戦略です。

具体的な資産としては、コアはグローバルに分散された株式インデックスファンド等を中心に、サテライトは個別株式やアクティブファンドなどより高いリターンを求めて購入するもの、楽しむための投資を行うためのものを保有するイメージです。

コアとサテライトの比率としては、1つの目安としてコアを8割以上、サテライトは残りの部分となります。もちろん個別株式やアクティブファンドなどどのように選べばよいかわからない、興味がないという方はコア100%という選択肢もアリです。

NISAで売却する時はつみたて投資枠と成長投資枠のどちらを優先すべきか?

NISAで使い勝手が大幅によくなったポイントの1つに、枠の再利用があります。いったん売却しても、非課税保有限度額1,800万円以内であれば再び利用可能になるというものです。この売却する時ですが、つみたて投資枠と成長投資枠ではどちらを優先すべきでしょうか。

例えば、つみたて投資枠でインデックスファンド、成長投資枠で上場株式など保有している商品が明らかに異なるのであれば、どちらの商品を今後も継続保有していきたいか、という銘柄についての投資判断になるでしょう。

一方、つみたて投資枠と成長投資枠でまったく同じ商品を保有していた場合にはどちらを優先すべきでしょうか。以下のような例で、考えていきましょう。

つみたて投資枠でインデックスファンドを累計300万円購入しており、売却を検討する時点の評価額が450万円、成長投資枠でも同じインデックスファンドを累計400万円購入しており、評価額が800万円だったとします。

  つみたて投資枠 成長投資枠 合計(総枠)
購入価格
(簿価)
300万円 400万円 700万円
評価額 450万円
(購入価格の1.5倍)
800万円
(購入価格の2倍)
1,250万円

この時、何らかのライフイベント(マイホーム購入の頭金、車の買い替え等)で300万円分を売却する必要があった場合、どちらの枠を優先的に売却すべきでしょうか。まずつみたて投資枠から評価額で300万円相当売却すると、売却後は次のようになります。

  つみたて投資枠 成長投資枠 合計(総枠)
購入価格
(簿価)
100万円 400万円 500万円
評価額 150万円
(購入価格の1.5倍)
800万円
(購入価格の2倍)
950万円

450万円のうち300万円分を売却するわけですが、売却後のつみたて投資枠は200万円分が空きますので、NISA全体の非課税保有限度額の使用額は700万円から500万円に減少します。

一方、成長投資枠から300万円相当売却した場合には次のようになります。

  つみたて投資枠 成長投資枠 合計(総枠)
購入価格
(簿価)
300万円 250万円 550万円
評価額 450万円
(購入価格の1.5倍)
500万円
(購入価格の2倍)
950万円

800万円のうち300万円分を売却すると、売却後の成長投資枠は150万円分が空きますので、NISA全体の非課税保有限度額の使用額は700万円から550万円に減少します。

将来的に、再利用する可能性を考えると、相対的に簿価が高い方の枠(含み益が少ない方の枠)を優先的に売却した方が有利になることがわかります。売却する時はこのポイントをチェックしていただければと思います。

最後に

NISAでは、2023年までの旧つみたてNISAと旧一般NISAの選択制から、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できる形となり、飛躍的に柔軟性が高く、使い勝手がよくなります。

つみたて投資枠、成長投資枠のそれぞれの特徴を理解した上で、最大限活用していただければと考えています。

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筆者の紹介

横田 健一

ファイナンシャルプランナー 株式会社ウェルスペント 代表取締役

大手証券会社にてデリバティブ商品の開発やトレーディング、フィンテックの企画・調査などを経験後、2018年1月に独立し、株式会社ウェルスペントを設立。社名の「ウェルスペント」(英語でwell spent)は、直訳すると「有益に使った」「有意義に過ごした」の意味。より多くの方が、貴重なお金や時間を“ウェルスペント”し、より幸せな人生を送っていただけるようサポートしたい、という思いが込められている。独立系FPとして家計相談やライフプランシミュレーションを行っている。

「フツーの人にフツーの資産形成を!」というコンセプトで情報サイト「資産形成ハンドブック」を運営。2023年6月、初の著書「新しいNISA かんたん最強のお金づくり」(河出書房新社)を発売。「ファイナンシャル・ウェルビーイング検定」監修

YouTube:資産形成ハンドブック

X(旧Twitter):@ken1yokota

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