第三十話 どんな投資信託が“積立最強ファンド”なのか?

どんな投資信託が“積立最強ファンド”なのか?

では少し照れるが今日も始めますか。投資信託の仕事で32年目の僕が、父親の最後のアドバイスとして結婚した娘とその夫2人にこんな話ができるのは、まぁありがたいことだよね。

●「ドルコスト」は魔法の杖じゃない

前回はオール・カントリーなどのインデックスファンドをベースに「チューニング」を施すという考え方のもと、「買いたいファンドありき」でNISAという器を使っていくという考え方を紹介したね。あくまで買いたいファンドが主でNISAは従なのだから、それが逆になる主客転倒には気を付けてね、という話をしたつもり。

しかしよく考えると、ここ数回って結構高度な話をしちゃってるよね。すまん、今日もそうかもしれない。でも君たちのファンド選びにとって、きっと意味ある話になると思う。積立にはどんな投資信託がいいのか、というまさにど真ん中の話だから。

最初の頃に、僕自身の30歳頃からの積立の話をしたの覚えてるよね。日本株に絞っちゃったという後悔はあれど、それでも素晴らしい成果だったことを自慢したよね。その理由として、途中で大きく下がった時に口数を大きく増やしていて、それがその後の上昇局面で花開いた、“ターボ”がかかってグワっと大きく増えていったという、投資信託の定額積立ならではの効果の話をしたよね。専門的には「ドルコスト平均法」の効果っていうやつだ。

何で「ドルコスト」なんだって思うよね。イギリスでは「ポンドコスト平均法」って言うらしいから、日本独自のネーミングがあってもいいはずなんだけど、昔誰かがそのまま使っちゃったのが広まって今に至っているんだと思う。要は「定額」の定期投資のことで、投資信託の積立は金額を指定して口数を毎月仕入れていくのでピッタリ該当するわけだ。

僕は2000年に日本株ファンドで積立を始めたんだけど、ITバブルの崩壊でいきなり暴落し、そのまま日本経済は銀行の不良債権問題などで本格的におかしくなっていく。2003年頃にはようやく下げ止まって反発していくんだけど、2008年にはリーマンショックでまた大暴落して……って話をしたよね。

その間、僕はずっと積立を止めずに続けたわけだけど、今言った2度の暴落が実はすごい価値があったんだったよね。基準価額が激しく下がり続ける中、同じ金額で同じファンドを買っていることで先月より今月、今月よりも来月にゲットする口数が多くなるかたちで、僕は口数を溜め込んでいた。それが2013年頃からの日本株の回復ですごい勢いで花開いていったと。

あの時は言わなかったけど、実はこれってドルコスト平均法の理想形なのよ。途中で大きく下がって後の方で上がる。これが積立の理想なの。今日はこの話をしていくね。

ところでネットとか本では、「定額」積立と「定口数」積立の比較とか、一度に買うべきか、ドルコストで買うべきかとかといった話を見かけるけど、積立の「投資手法としての優劣」の議論って意味ないんだよね。まとまったお金があって、もし明日から上がっていくのなら、今日一括で買うのがいいに決まってるんだしさ。

僕も君たちもそうだけど、積立ってそうしたまとまったお金がない場合に「仕方なく」選ぶものじゃない。まとまったお金がない、あるいは十分にないからコツコツと毎月積立するしかないからやるのであって、ドルコスト効果が優れてるから選ぶという話ではないはずだ。

僕の例みたいに理想的な軌跡だったおかげでドルコスト効果が発揮される場合もあるけど、そうでない可能性だって十分あるよね。もし日本株が今もずっと低迷しているなら、僕の積立は今みたいに花開いてはいないわけだよね。少なくともまだ。

もちろん、コツコツと続けてきたことで、いつの間にかたくさんの投資元本は投じられてきたし、毎月買ってきたことでその買値は均されていて、それが賢い投資になっていることは間違いないわ。もし今まだ日本株が低迷したままだったとしても、今後ちょっとでも上がってくれたら僕の積立はやっぱり成果が出るはずだ。途中で適当に相場を見て、積立を停止したり再開してみたりしていたら、それは絶対に叶わない。

あ、「ちょっとでも上がったら」僕の積立は成果が出る、ってところが意味わからないかな。説明するわ。

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