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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年6月27日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第4週

マーケット概況

株式 週末終値
(6/24終値)
前週末比
(6/17比)
日経平均 9,678.71 +327.31 +3.50%
NYダウ 11,934.58 -69.78 -0.58%
金利・為替 週末終値
(6/24終値)
前週末比
(6/17比)
長期金利 1.105% -0.010%
ドル/円 80.43  
ユーロ/円 114.12  

ギリシャ問題、安易な楽観は禁物

前週の総括

■ギリシャ問題に安堵感広がる

 この一週間の各市場の動きは上記の表の通りです。最早国内市場においてもいわゆる“永田町問題”は「何か前向きな良い話があったら教えてください」という風を決め込んでしまったかのように、市場はその動向を一顧だにしなくなり、先週の変動要因はギリシャ問題を中心に欧米市場の動向でした。大連立に失敗し内閣改造により誕生したギリシャのパパンドレウ新内閣が現地21日に議会の信任を受け、ギリシャの債務問題の行方を危ぶんでいた金融市場に安堵感が広がったことで米国株式市場が反発、この流れをそのまま引き継いで日本市場も6月初め以来となる9,600円台を回復しました。ただ震災後の市場の動きはある一定の範囲の中での膠着相場が続いており、またそのレンジは徐々に切り下がっていると見ることもでき、上向きトレンドになるとは考え難いというのが印象です。


(出典:Bloomberg.)

日経平均株価のこの一年間。-----------震災後の狭い取引レンジは下を向いている。この上限を飛び越えることができるかが注目。>

■週末のギリシャのCDSは最高値2405bp台へ

 ギリシャ議会がMTFS(Medium Term Financial Strategy:財政再建計画)を28日から開始する審議で30日までに承認すれば、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)による7月初めの120億ユーロ(約1兆4,000億円)の金融支援(昨年合意した救済融資の今年7月実行第5次融資分)とそれに続く3年間の追加プログラムが行われると楽観したからです。もし第5次融資が実行されれば、ひとまず7月中の40億ユーロのTビル償還と28.5億ユーロの利払いに目途がたち、ギリシャ国債デフォルト(償還不能)というリスクを一時的には回避することができます。しかし一方で、同日に首都アテネで歳出削減に反発する“公務員”らが抗議行動をおこしたり、週末には新たな緊縮財政法案について与党・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)の議員が賛成票を投じる意思はまだ固めていないと発言したりするなど、事態はまだ極めて流動的であると言わざるを得ません。週末の欧米市場はこうした流れでギリシャのクレジットデフォルトスワップ(CDS)は史上最高値となる2,405.39まで急騰して終了、これらを受けて欧米市場の株価は再び下落、ユーロも売り込まれました。


(出典:Bloomberg.)

<ギリシャ国債5年物のCDS推移。-----------直近の水準急上昇に注目。2,405.39は当然史上最高値。>

 「なぜギリシャでこの財政再建計画問題が難航するのか」と聞かれたことがありますが、日本の現状に置き換えてみればその答えは明白です。日本においても、国家財政は危機に瀕していると言われながらも、政府与党からは今でも「低所得者向け年金給付の拡大」や「高齢者医療の拡充」といった歳出増と、従前までは「子供手当て」や「高速道路無料化」などといった歳出増ながらも世論に受けやすい政策、そして震災復興に名を借りた増税という安易な歳入増計画は聞こえてきますが、マニフェストに描かれたような公務員の人件費削減などの歳出カットなどは全く進んでいません。さらに言えば、小泉改革時のような大胆な財政改革が行われれば、国内世論は「痛みを伴う改悪政策」「弱者切り捨て」といった非難ムード一辺倒になり、結局は元の状態に戻ったということは記憶に新しいものです。現在のギリシャもその日本と同様にまさに「国民に痛みを強いる財政改革」ができるかどうかの瀬戸際ですが、市場が都度安堵するほどそれらが簡単な話ではないということは、この国の人達がむしろ一番良く実感としてわかるのではないかと考えます。

■米国FOMCは予想通りの内容

 現地22日と23日にわたって開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)では、予想通り量的緩和第2弾(QE2)として実施してきた米国債の買い入れを6月末で終了することを確認する一方で事実上のゼロ金利政策は継続(政策金利FFレートの誘導目標は現行の年0%〜0.25%で据え置き)することが発表されました。また景気判断については「緩やかな回復が続いているが、想定よりも幾分遅い」と下方修正しています。そのため政策金利について「今後も長期間、異例の低水準とすることが正当化される可能性が高い」との表現も維持しています。

■米国住宅関連指標と新規失業保険申請件数

 21日に全米不動産協会(NAR)が発表した5月の米中古住宅販売件数は、季節調整済みの年率換算で481万戸と500万戸台を割り込み、前月の改定値を3.8%下回りました。マイナスは2カ月連続で、前年同月比では15.3%減と大幅な減少。ただし販売件数は市場予測の479万戸は上回っています。さらに23日に米商務省が発表した5月の新築一戸建て住宅販売件数は季節調整済みの年率換算で31万9,000戸となり、前月に比べて2.1%減少しました。前月比マイナスは3カ月ぶり。ただしこれも市場予測の平均(約30万5,000戸)をやや上回っており、住宅市場の絶対水準自体は依然として低迷していますが、市場が思うほどには悪くないところがポイントになると思われます。

 一方、18日に米労働省が発表した新規失業保険週間申請件数(季調済み)は前週から9,000件増加し、42万9,000件となりました。11週連続で節目となる40万件を超えたことになり、こちらは市場予想の41万5,000件を上回り、まだ斑模様であることを示しています。

■原油価格が急落

 前回原油価格が急落ということを話題にしましたが、ついに23日追い打ちをかけるように国際エネルギー機関(IEA)が日米など加盟28カ国に義務づけている原油や石油製品などの石油備蓄を協調放出すると発表しました。原油価格の高騰が続くことで世界経済への悪影響が強く懸念されているため、備蓄放出で原油の安定供給を確保し価格安定を目指すものです。背景にはリビアの石油供給不安や新興国の成長に加え、日本の原発停止や復興に伴う需要増など含まれており、これを受けて23日の取引時間内では一時期90ドルを割り込む場面も見られ、週末の終値は91.16ドルです。NYダウを構成する30銘柄の中ではエクソンモービル(XOM)やシェブロン(CVX)といったオイルメジャーのウェイトが高いこともあり、原油価格の下落に伴うこれらの下落がNYダウの下落に大きく寄与しました。


(出典:Bloomberg.)

<米国10年債の利回り推移です。-----------8月2日までに債務上限法案が可決できるかきになりますが、投資家は米国債を買っているのはこれをみれば明らかです。>

今週のポイント

■自動車大手、期間従業員の採用再開

 少しは何か明るい話は国内で見つからないものかと考えていましたが、新聞でも報道された通り、自動車大手各社が工場で働く期間従業員の採用を相次ぎ再開します。トヨタ自動車(7203)はほぼ2年ぶりに約2,000人を新規雇用し、日産自動車(7201)、ホンダ(7267)なども大幅な増員を計画しているようです。東日本大震災の影響でサプライ・チェーンが寸断され大幅な減産を迫られた自動車産業ですが6月末までにほぼ通常生産に戻り、今秋以降の増産に備えて生産体制を拡充、急ピッチの生産復旧が雇用にも好影響を与えることが期待されます。

 先日、あるトヨタ自動車の営業担当の方から「やっと2月に受注した『クラウン』を今日納車して来ました。」という話を聞きました。当初予定から2カ月以上も納車が遅れたようですが、こうした生産正常化が進むことが今の日本経済にとってはとても重要なことです。雇用が回復しないことには個人消費が回復せず、結果として内需が盛り上がらなければ、増税がもし行われるとそのまま景気をスローダウンさせる結果になりかねません。こうした話は朗報として市場は今後も評価していくものと思われます。

■猛暑と電力不足が今後気になるテーマ

 6月の観測史上最高気温を各地で記録するような猛暑が早くも訪れました。通常の年ならば夏物衣料などの販売が加速し、エアコンを始めとした白物家電などに動きがでるということもあって株式市場は歓迎するテーマでもあるのですが、今年に限って(もしかすると今後数年かも知れませんが…)言えば、決して歓迎されるニュースではありません。

 すでに最大電力消費の時間帯が当初予想されていた1時から3時ではなく、4時前後になるということが明らかになっていますし、すでにこの6月の段階で電力推定使用率が93%近くまで上昇していることを考えると、計画停電が不可避の状態になるのか、あるいは想定外のタイミングで大停電が起こるのかと危惧されます。もしくはさらなる節電要請があるとすれば、残念ながら企業の生産性はかなり落ち始めるのではないかと懸念します。暗い照明にエアコンの設定温度を上げたオフィス、いくら非常事態だから我慢しようと考えても、オフィス内で熱中症が発生する可能性をゼロとは言い切れない状況が各地で起き始めていると思われます。ここからさらなる節電が必要となるとそれはいかがなものでしょう。ただ予期せぬ停電を回避するためとなれば致し方ない面もあり、今年の夏はそうしたギリギリの状況だということを考えると、あまり鷹揚に構えた投資スタンスは取れないとやはり思ってしまいます。

 今週も頑張りましょう。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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