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第248回 ユーロ崩壊で最も損をする国はドイツ

2012年6月28日

人類の歴史の中でこれだけカネをばらまいている時期があっただろうか? 無茶苦茶な金融緩和をしているのにもかかわらず、世界景気はなかなか浮上しない。これには2つの要因が考えられる。

1つ目は、ばらまいたカネがリーマン危機後の「バランスシート調整(不良債権処理)」というブラックホールに吸い込まれてしまっているということだ。2つ目は、ボルカー・ルールの影響で積極的にリスクをとる投機マネーが収縮していることである。

「ゴールドマン・サックスなど米銀大手6社に1株利益は2007年から6割減少。ダウ平均株価は危機時から上昇したが大手銀株は大幅下落している」「金融規制改革法(ボルカー・ルール)が成立した10年夏以降、大手銀は自己勘定での取引を相次ぎ縮小・停止。GSは160億ドルのファンド投資をほぼなくす方向だ」(6月28日 日経新聞「流転ウォール街」から抜粋)と報道されているように、今後、金融界が脱レバレッジの方向に進むのは間違いがない。

「あらゆるリスクを公共部門に担わせ、利益のいっさいは私企業が吸い上げる」という新自由主義(ネオリベラリズム)のシステムはリーマン危機で崩壊した。

バンカメ(左)とゴールドマン・サックス(右)の日足

住宅と金融株の回復なくして米景気回復はない・財政の断崖前にQE3に追い込まれる?


(出所:石原順)

世界的なカネ余りでヘッジファンドの資産が拡大しているような報道も見かけるが、運用成績はよくない。この6月にモナコで開催された「ヘッジファンド国際大会」では、「名うての運用者達もブラックスワン的な相場に翻弄されており、ファンド全体では過去2年間は儲かっていない」ことが明らかになっている。グローバル・マクロ取引もナノテクのアルゴリズム取引も苦戦を強いられている。

儲からない最大の原因は欧州危機である。欧州のリスクで投機マネーは臆病になっている。市場は相変わらず欧州危機に振り回されている。ドイツのメルケル首相は6月26日、「私が生きている限りは、欧州で債務を共有することはない」と述べ、ユーロ圏共同債構想を全否定している。しかし、これは政治的な駆け引きとみるべきだ。

財政統合には時間がかかるが、ドイツは他の出来ることで譲歩するだろう。リーマン危機後、「市場原理は放棄された」のである。ドイツも追い込まれればなんでもやるだろう。今のところ、ドイツはそれほど追い詰められていないので動かないが、相場が暴落すれば対策は出てくるはずだ。

ギリシャに対する融資(151億7,000万ユーロ)やTARGET2を通じてのギリシャ中銀への1,040億ユーロの債権を抱えるドイツは、ギリシャがデフォルトすれば甚大な損害を被る。アイルランド、ポルトガル、スペインに対しても多額の債務保証を行っており、これらの国がひっくり返れば、ドイツも共倒れである。

6月26日、イーガン・ジョーンズ社がドイツの格付けを「AAマイナス」から「Aプラス」に引き下げ、見通しを「ネガティブ」としたが、欧州危機のなかでドイツだけ勝ち逃げすることは不可能と思われる。既にドイツはユーロ加盟国と運命共同体だ。

欧州危機が長引くなか、心配なのは新興国の経済である。現在、日本の銀行は新興国投資に熱心だが、欧州や英国の銀行は資金の引き上げ作業に躍起になっている。金は入るときはじりじり入ってくるが、引け上げるときはいっせいである。過去の経済危機は概ねこのロジックで発生している。日本の「失われた20年」の過程では、中国経済の経済成長が景気の下支えとなった。今、景気の牽引車となるような国は見あたらない。世界中が新興国で飯を食っている状況のなかで、新興国の景気低迷は気味の悪い話である。

「米ゴールドマン・サックス・グループは、欧州中央銀行(ECB)が来週の定例政策委員会で現在1%の政策金利を0.75%に引き下げるとの見通しを示し、これまで横ばいとしていた予想を修正した」(6月27日ブルームバーグ)、「FRBは同国の経済成長を促すため、9月に量的緩和第3弾(QE3)に基づく債券購入の方針を公表する公算が大きい。BOAメリルリンチの米金利戦略責任者プリヤ・ミスラ氏は27日の会見で、FRBが住宅ローン関連証券を中心に5,000億ドル(約40兆円)規模購入すると同行が予想していることを明らかにした。ミスラ氏は、量的緩和は米10年物インフレ連動債(TIPS)と同年限の米国債の利回り格差(ブレークイーブンレート)などの指標が消費者物価の低下を示唆する中で実施されることになると予想」(6月28日ブルームバーグ)と、金融緩和を囃す報道が相次いでいる。

ユーロ圏のドタバタ劇もそうだが、政治(財政)が動かず、金融政策だけの経済が続いている。ECBが0.25%利下げしたところで何の効果もない。しかし、追加の金融政策に対するアピールが何もないと、相場は催促相場になってしまう。

為替市場では「見通しの悪い相場環境」が続いているが、これは為替市場の指標銘柄とも言えるユーロ/ドル相場が明確な方向性を持っていないためだ。6月のユーロ/ドル相場は標準偏差とADXが共に下落基調となっており、典型的な調整(方向感のない)相場となっている。ユーロ/円相場もレンジ相場の範疇に収まっている。

ユーロ/ドル(日足) トレンドの発生(緑色の)・トレンドの消滅(水色の

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶)
9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ユーロ/円(日足) トレンドの発生(緑色の)・トレンドの消滅(水色の

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶)
9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ドル/円は3月以降日銀が「市場との対話」に失敗し、「失われた4カ月」相場となっている。先週は相場が21日ボリンジャーバンド+1シグマの外に飛び出し、保合離れの可能性もあったが、再び21日ボリンジャーバンド+1シグマの内側に入ってレンジ相場に戻っている。一目均衡表週足の雲の上限・下限のなかでのレンジ相場をブレイクできない。

ドル/円(日足) トレンドの発生(緑色の)・トレンドの消滅(水色の

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶)
9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ドル/円(週足)一目均衡表 雲の中のレンジ相場


(出所:楽天証券マーケットスピード)

豪ドル/円は26日標準偏差ボラティリティ上昇・26日ADX下落という中途半端なトレンド状況のなかでミニトレンド相場となっていたが、今週の相場で相場が21日ボリンジャーバンド+1シグマの内側に入り相場の勢いは失われている。豪ドル/円もドル/円も21日移動平均線は維持されており、比較的底堅い展開が続いている。それは先週のレポートに書いたように、7月以降の金融緩和観測が根強いからである。7月はECB、BOE、BOJのいずれの中銀も何らかのアクションをとるだろう。なければ催促相場となる。

豪ドル/円(日足) トレンドの発生(緑色の)・トレンドの消滅(水色の

上段:26日ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:13日移動平均線(赤)・21日移動平均線(青)・21日ボリンジャーバンド1σ(茶)
9日RSI(鈍感バージョン)40-60 桃色=買い相場・水色=売り相場


(出所:石原順)

ドル/円(日足) 13-21日移動平均バンド(青)

矢印(押し目買い・戻り売りポイント)13日移動平均線に傾きがないときは見送り


(出所:楽天証券マーケットスピード)

豪ドル/円(日足) 13-21日移動平均バンド(青)

矢印(押し目買い・戻り売りポイント)13日移動平均線に傾きがないときは見送り


(出所:楽天証券マーケットスピード)

早いもので今年も半分終わった。今年のクロス円相場は1月~2月の円売りトレンド、5月の円買いトレンドという2つの大相場があった。6月以降の相場は次のトレンド待ち(それまではレンジ相場)の状況にある。

長期投資家で円安相場への転換点(逆張り)を狙っている投資家は、今年も4Q買いの来年1Qの売りを狙うのが良いだろう。今年も例によって、「逆張り的な株の買い場」は10月か11月頃になるのではないかという気がする。

戦後62年のNYダウと日経平均の運用開始月別リターン(半年間保有した場合)をみると、10月に買って3月に売るのが確率的には一番良いという結果が出ている。逆に4月・5月に買って半年持つと報われない。クロス円相場の動きは概ね株と同じなので、(まだ先の話だが)筆者は今年も「10月買いの3月売り」という「180日ルールに賭ける運用」を考えている。長期投資ではレバレッジを掛けてはいけないし、ストップ・ロスは必須であることを断っておく。相場で一番大切なことは資産管理である。

ドル/円(月足) 「前年4Q買いの1Q(緑に部分)売り」ドルの長期的な買い場はまだ先か?


(出所:石原順)

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