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第142回 ファンド勢の思惑と次のマーケット・テーマの模索

2010年7月9日

年後半相場がスタートしたが、今年の後半相場はどうなるのだろうか? 筆者は、基本的にどのような相場になろうとも、相場についていくという姿勢で<Bollinger Bands 1σ Breakout Trigger with StdDev>の手法を使い、順張り(トレンドフォロー)で機会収益を追求する。問題はどの通貨あるいは金融商品を取引するかによって、相場のパフォーマンスが大きく違ってくることである。

相場で大きく儲けるには、大きなトレンドの出そうな金融商品(銘柄)を狙わなければならない。この銘柄選択にはマクロ経済分析や次のマーケット・テーマの予測が必要となる。もちろん、予測が当たるかどうかはわからないので、筆者は取引商品の<分散>を行っている。

余談になるが、昨今、自動売買と呼ばれるシステムトレードが流行っている。取引手法にもよるが、システムトレードで毎年安定した運用成績を上げるには、理想的には20~40品目ぐらいの金融商品(銘柄)をトレードする必要がある。言い換えると、日経平均先物、ドル/円、原油先物、米国債先物などの商品のどれか一つだけをトレードしていても、年ごとの収益はプラスとマイナスの繰り返しになることが多い。これは筆者が90年代に経験してきたことである。

さて、2010年の相場に対して筆者は基本的に年前半楽観、年後半悲観という大局観でみてきた。現時点でもその見方に変わりはない。為替相場に対しては、<年前半ドル高・年後半ドル安>という変動相場制以降のドル相場の持つ基本的な相場パターンが2010年の相場では展開されるのではないかとみている(「2010年後半の相場シナリオと注目ポイント」2010年7月28日(水)で基本シナリオを紹介します)。

出口戦略の大幅な遅れで、年後半の為替相場はドル高の修正が起こりそうだ。しかし、これが2010年後半相場の大きなトレンドになっていくのか否か、グローバル・マクロ・ファンドの間でも意見が分かれている。ユーロはファンダメンタルズ的に買う理由はなく、パリティに向けての下げ相場をもう一度やってもおかしくないが、<通貨危機の賞味期限である6~8カ月>の美味しいところはもう終わっている。そこで、投機筋は次のマーケット・テーマを探している。

ユーロ/ドル(日足)

上段:26日標準偏差ボラティリティ(青)・14日ADX(赤)
下段:21日ボリンジャーバンド1σ


(出所:石原順)

ギリシャ発のソブリンリスクは、現在、皮肉にもソブリンバブルとなっている。このソブリンバブル=国債買いが意味するのは、金融機関のリスク回避とカネ余り現象である。国債買い(金利低下)は本来景気の下支え要因であるが、90年代の日本は金利低下→株安の構図で動いた。したがって、金利低下は株買いの決定的要因にはならない。

リーマン危機とボルカールール(金融規制監督強化法案)の影響で、先進国の金融機関はリスクをとるのをやめてしまった。先進国の設備投資の減少と資金調達の悪化をみていると、金融機関は本来業務の貸し出しをやめて、国債ばかり買っているのがわかる。現在、銀行に残されているのは決済業務だけだ。「銀行が金を貸さなくなると、景気は必ず悪くなる」という単純明快理論を根拠に、マクロ・ファンド勢の一部は「米国経済の2番底懸念」を掲げ、ドル安・株安・債券高を仕掛けている。リーマン危機後の景気対策が一巡し景気指標が悪化しているが、G20で財政再建を謳っている以上、財政出動は無理だし、金融政策はすでに限界だ。よほどの株価暴落がないと次の対策は打たれないだろう。また、米中間選挙に向けてオバマ政権はドル安バイアスが強くなっている。この弱いところを突いて、米国がゼロ金利から脱するまで「ドル安・債券高(金利低下)のシナリオ」でいこうというのがマクロ・ファンド勢の一部の思惑だ。

今週は筆者の周辺にいるグローバル・マクロ・ファンドの思惑を紹介したが、年後半の相場は金余りVSリスク回避の構図の中で、難易度が上がりそうである。

米10年国債金利(日足)


(出所:石原順)

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