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第46回 負の連鎖という自己強化プロセス

2008年10月6日

リーマンの破綻後、米当局はカラ売り規制や流動性の供給といった対策をとってきたが金融市場の混乱はいっこうに収まらなかった。そこで財務省はブレイディー元財務長官、ルードビック元財務省通貨局長、ボルカー元FRB議長による三者の共同提案を受けて、金融危機を封じ込めるためにRTCによる不良資産の買い取りプログラムである金融安定化法を提起した。しかし、これが議会で一度否決され、かえって市場心理を冷やすことになった。10月3日に金融安定化法案は成立したものの、一時362ドル高まで買われたNYダウが終値では157ドル安となり、「7,000億ドルの金融安定化法案は信用収縮の緩和および景気後退回避には不十分」とTVや新聞でなどで報道されている。

非常に不評な金融安定化法だが、あまり過小評価するのも疑問である。今回の法案で時価会計の適用を一時停止する権限が監督当局に付与されたからだ。「SECが必要もしくは適当と判断した場合、時価会計を停止する権限を与える」との条項を盾に不良資産を時価ではなく満期保有価格で買い取る体制ができたことは重要であろう。米国企業は実現損も評価損も同じという時価会計を採用しているので、現在の金融危機や信用収縮の状況下では評価損の計上で急激に財務が悪化する。しかし、時価会計が凍結されれば金融機関のバランスシート悪化や資本不足の加速的悪化には、いったん歯止めがかかる可能性がある。

不良資産の買い取り支出7,000億ドルのうち、(1)当初 2,500億ドル(2)必要に応じて1,000億ドル(3)議会の承認を得ればさらに3,500億ドル、と3段階になっているが、(1)と(2)の3,500億ドルに関しては議会の承認がいらない。3,500億ドル分は金融安定化監視委員会(FRBや議会などが委員を指名)が裁量で決めるので、これを使い切るまでは不良資産の買い取りを積極的に行うだろう。このプログラムの成否は満期保有価格を目安に決められる「不良資産の値決め、価値評価の方法がどうなるか」にあり、現在の市場の関心はそこに向かっている。

カラ売り規制、ドル資金供給、金融安定化法案と当局の対策のフェーズ1は終わった。フェーズ2は10月10日に予定されているG7から始まる。協調利下げ(米単独では効かないため)を期待する市場関係者も多い。しかし、パリで開かれていた英独仏伊の欧州主要4か国の首脳会議は「フランスが検討していた3,000億ユーロ(約44兆円)にのぼる金融安定化の基金創設がドイツの反対で見送られるなど、欧州全体で即効性のある協調策は打ち出せなかった」(ブルームバーグ)ことで失敗に終わった。ドイツの信用収縮は楽観できないレベルにあると思われるが、ユーロ圏経済が好調な時には隠れていたユーロのもつ矛盾や脆弱性があらわになってきた。欧州通貨は軟調な展開が続くだろう。いずれにせよ、国際協調に向けての足並みは乱れており、グローバリゼーションの時代に救済プランが発表されているのは米国の金融機関のみというのも市場の緊張を高めている。

世界の主要100金融機関の帳簿は現在1,500億ドルの自己資本不足である。また、SIVなどの簿外資産やヘッジファンドの資産はRTC(整理信託公社)の買い取り対象外である。過去7年間に続いたバブル相場のツケは大きく、想定元本5京円規模の店頭デリバティブのレバレッジの解消にはいましばらく時間がかかりそうだ。約5,000兆円といわれる世界のGDPと比較して、デリバティブマネーは肥大しすぎている。オーバーレバレッジの解消相場は来年の夏あたりまでをメドに急速に進むだろう。リーマンとAIGの問題で62兆ドルのCDS市場に焦点があたってしまった現在、流動性・単純・質への投資はしばらく終わらないだろう。金融機関救済の最終段階は公的資金注入による金融機関の自己資本不足の解消であるが、そこにたどり着くまでには大手銀行の危機が必要である。

現在の相場の位相はジョージ・ソロス氏の言う【自己強化プロセス】の(7)番目に位置している。「(1)まだ多くの目には不明瞭だがトレンドが発生する →(2)トレンドを発見した投資家により自己強化プロセスが動き出す→(3)方向性のテストが何回か繰り返されるが、結局、確認される→(4)方向性に対する信頼感が増幅される→(5)その結果、現実と認識のギャップを顧みなくなる→(6)クライマックス的上昇または下落が起こる→(7)行き過ぎへの強い反省と反対方向への自己強化プロセスが始まる」

相場は循環である。売りの時代には売り、買いの時代には買いで対処すればよい。

それにしても、激しい相場だ。長くポジションを持っていると売り方も買い方もストップ・ロス注文が打たれやすい。筆者は現在、1時間足の短期売買がメインである。変動幅が大きすぎてリスクのコントロールが難しいからだ。短期売買においては、移動平均線に傾きがあるのを確認して、小さいポジションでボリンジャーバンドの1σの外側でのみ取引している。ストップ・ロス注文はボリンジャーバンドの1σの近辺に置いているが、さすがにクロス円もここまで下がると売られすぎの感も強く、利食いを優先して深追いはしていない。

楽天FXチャート 豪ドル/円(1時間足)


(出所:楽天証券、石原順)

楽天FXチャート ニュージーランド/円(1時間足)


(出所:楽天証券、石原順)

楽天FXチャート ユーロ/円(1時間足)


(出所:楽天証券、石原順)

楽天FXチャート ユーロ/ドル(1時間足)


(出所:楽天証券、石原順)

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