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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2012年6月4日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (6/1終値) |
前週末比 (5/25比) |
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日経平均 | 8,440.25 | -140.14 | -1.63% |
NYダウ | 12,118.57 | -336.26 | -2.70% |
金利・為替 | 週末終値 (6/1終値) |
前週末比 (5/25比) |
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長期金利 | 0.805% | -0.080% | |
ドル/円 | 78.01 | ||
ユーロ/円 | 97.01 |
この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。日経平均株価は週を通じて△1.63%の下落となる140円安の8,440円となり、ついに8,500円を割込む水準で一週間の取引を終えました。ただその一方で、日経平均株価をTOPIXで除して得られるNT倍率は2000年4月17日の12.24倍に次ぐ高水準である11.93倍にまで高まりました。記憶にある方は少ないかもしれませんが、2000年4月24日には日経平均株価の継続性に疑義が生じるほどの30銘柄の入れ替えが行われています。この事実を考えると、実質的にはNT倍率は過去にないほどかなり高いレベルにあると言えます。すなわちTOPIXが日経平均株価に対しては史上稀にみる割安な状態になっているという意味ですが、それもそのはず、TOPIXの水準はリーマン・ショック後の最安値である700.93pts(2009年3月12日)に迫る水準にまで下落しています。おそらく、日経平均株価指数の水準から想起されるものよりもかなり酷く年金などの機関投資家のポジションは今現在傷んでいるものと考えられます。
また5月に入って急激に値を消した東証マザーズ指数ですが、先週も下げ足を速めて対前週末比では△3.56%となる299.88まで急落しています。欧州債務危機などの外部環境にはあまり左右されない企業や業態が多いと思われていた中小型株にもかなり厳しい向かい風が引続き吹き続けているようです。
またやはり5月に入ってから下げ基調の続く米国株式市場ですが、NYダウは12,000ドル台を割り込むリスクが危惧されるような水準にまで下落し、またS&P500は1,300ptsを維持できずに週末を迎えました。背景にあるのは、5月初めの株価下落のきっかけともなった雇用統計について、最新の5月のものが週末に発表されたことにあります。内容は後述しますが、市場の失望を買うかなり残念な結果となっており、世界経済の情勢に黄信号が灯る中で最後の砦であったアメリカも持ち堪えられないかもしれないということがクローズアップされてきました。こうした流れを受けて、週末のシカゴの日経平均先物は東証の終値8,440.25円に対して200円近く安い8,255円で取引を終えています。週末に発表された中国のPMI(製造業購買担当者指標)が50.4と年初来の低水準となり、市場予想の52.2も下回ったことが、より頼みの綱の米国経済という色彩を強めていたようにも思われます。ちなみに、PMIは50を上回ると景況の改善を、50を下回ると景況の悪化を示しますが、前月は53.3と発表されていました。
(出典:Bloomberg.)
<TOPIXの2005年からの推移です。----------リーマン・ショック後の安値を窺う展開となってきました。>
注目を集めていた米労働省発表の5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が69,000人増と昨年5月以降で最も低い伸びとなった上に、失業率も前月の8.1%から8.2%に上昇しました。非農業部門雇用者数は本来は前月比で20万人以上の増加が期待されるところなのですが、前月と前々月がその期待を裏切る11.5万人増、15.4万人増と振るわなかったため、市場はせめて15万人増と期待していましたが、結果はその半分にも満たない結果となり、また失業率も再び増加してしまったということが気掛かりです。じつは先週これに先立って発表になった米雇用サービス会社オートマチック・データ・プロセッシング(ADP)の全米雇用リポートでも5月の非農業部門の民間雇用者数は前月比13万3,000人増にとどまり市場予想の15万人程度の増加を下回ったり、また米労働省発表の5月26日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)も38万3,000件と先週の改定値から1万件増、ほぼ横ばいの37万件程度を見込んでいた市場の予想より悪かったりと、雇用統計にポジティブ・サプライズを期待していた向きはなかったであろうと思われますが、発表された内容はそれでも「ああ、酷い」とため息が洩れる結果となっています。
こうした米国経済の動向に一番最初にビビッドに反応しているのは、米国債券市場かもしれません。先週1.7%台で始まった金利の週末終値は1.4520%です。最安値は1.4387%、これはすなわち多くの投資資金が安全資産と目される米国債に逃げ込んでいることを示しており、過去最低を更新しています。30年債利回りについては、一時2.5089%にまで低下しており、これは1953年にFRBが集計し始めて以降、最低の水準です。ちなみにこれまでの最低水準は2008年12月18日につけています。
日本の長期金利も週末の東京市場の終値で0.805%と前週末対比で△0.080%と大幅に低下しています。ただこれはまだNY市場の米国債券の下げを織り込んでいませんから、週明けの市場はこの下げを織り込みに行くことになるはずです。ただ、米国債券に比べてすでに金利の低下余地は少なく、この結果が金利差の縮小となって円高要因に繋がることは明記しておきたいと思います。
ブラジル中央銀行も30日、通貨政策委員会で政策金利を0.5%幅引き下げて、過去最低の水準となる8.5%とすることを決めました。利下げは昨年8月に約2年ぶりに決めて以来、これで7回連続となり、その下げ幅は合計で4.0%となります。中国が預金準備率を引き下げたり世界中で金利引き下げが相次いでいますが、ブラジルの場合、前回の下げ幅も市場のおおかたの予測も0.75%の利下げだったので、その意味では終盤という印象もなくはありません。
引続きギリシャ問題とスペイン問題でユーロが信用失墜しています。対ドルでは1.22台まで売り込まれており、印象としては1.2台をこの先維持できるのかどうかという印象が高まっています。現状の水準はリーマン・ショック後も含めて何度か揉み合った水準であり、この水準を下回るとユーロ安の歯止めは利かなくなるかもしれません。ユーロから出た資金は米ドルや日本円に向かっているため、日本円は対ドルでは円高になるテンポが遅くても、対ユーロではその勢いは加速しています。週末、ユーロは対円では一時95.59円と安値を付けています。
(出典:Bloomberg.)
<ユーロの対ドルの過去5日間の推移です。----------対ドルの安値は1.2287ドルです。>
先週は総合商品指数であるCRB指数の低下はさらに進みました。週末の終値は268.31です。この1週間でさらに5%程度下落したことがわかります。それだけ各商品価格が下落しているということですが、実需を伴うものであるだけに、引続き注視していく必要があります。
ただそんな中にあって朗報とも言えるのは、原油価格の下落です。週末のWTI価格は83.27ドルと昨年10月以来の安値を付けています。円高も併せて考えると、日本にとっては原料としても燃料としても、どちらもコスト圧縮要因であることはたしかなので、こうしたポジティブな要素が少しでも景気を押し上げる方向で働くことを期待したいと思います。
市場の悪い癖で、どうしても多くが強気になると強気の楽観論ばかりが聞こえ、逆に多くが弱気になると弱気の悲観論ばかりが聞こえてきます。正直、今は後者に入っていると思います。もちろん、安易に下げ止まったとか、底入れ宣言とかするつもりはありませんが、その一方で、ここから下値を何を根拠に売り叩くのかというと、今現在の材料だけではそれも厳しいと思います。少なくとも、日経平均ベースで考えて予想PER(株価収益率)はすでに10.82倍、PBR(株価純資産倍率)は0.89倍にまで低下していることを冷静に考えておくべきです。仮にPER13倍が適正と考えるのであれば、逆算される日経平均株価は10,140円であり、PBRを1倍とすると9,483円がフロアーになります。投資は目隠しをしたチキンレースではありませんので、何らかの指標となる根拠が必要ですが、「イベント・リスクによるショック」という一時的な要因を除くと、今の株価は今期がすでに2割近い下方修正が行われることを織り込んでいることになります。何割の下方修正を織り込むことが適正かという議論になるべきです。
今期の企業収益の見通しとして、為替のレベルは対ドルが80円、対ユーロが105円という水準が多いのは事実で、対ドル78円、対ユーロ97円という事実に基づいて再計算が必要だとは思いますが、この水準がどの辺りで落ち着いていくのかを見極めない限り、次の一手は打ちにくいと思われます。もし一過性の為替水準だとすれば、現時点で与えられているPERやPBRの水準に、ある程度のイベント・リスクやグローバル・マクロの減速などを織り込んでもまだ割安だと判断できるかもしれません。その一方で、この状態が長引くか、もしくはさらに欧州情勢が悪くなってユーロ安が進むとするならば、グローバル・マクロへの相当なダメージを織り込んだレベルを再計算しないとなりません。
いずれにしても、現状の株価水準を合理的に説明するのはかなり難しいものであり、ここからさらなる悲観論を煽るのも、楽観論を持ち出すのも、共に根拠に乏しいと思われます。つまりその答えが最初にわかるのは6月17日のギリシャの総選挙であり、それまでは固定概念を作らずに市場動向を見ておくというのが得策かと思われます。
こんな動きの取れない状況で、ひとつのアイデアは日経平均オプションを使った取引です。オプションというとカタカナでの説明が多かったり、あるいは「コールオプションとは買う権利のことで、それを売ったり、買ったり…」と日本語自体が段々意味不明に感じられたり、もしくは「オプションの売りは損失が無限定でとても怖いもの」という印象が先走りしていたりと、なかなか手を出し辛いということは非常によくわかります。たしかに中途半端な上っ面だけの知識の人の説明を聞いていると、より難解な特殊な存在になってしまうのがオプション取引ですが、「買う(買建て)」という取引だけに限って考えていけば、これは皆さんが海外旅行される時に加入される旅行傷害保険とほぼ同様なものだとお考えいただいて全然問題なく、もっと積極的に利用されても良いものだと思います。
6月17日のギリシャの選挙結果如何によっては、極端なリスクオフの姿勢は改善されてそれだけでもリバウンドするかもしれません。また逆に、ギリシャのユーロ離脱という話が実際の流れとなって、より円高が進んだり、世界経済の混迷が現実のものとして話され始めるかもしれません。そうすればやはり株価へのダウンサイドリスクは高まると言えるでしょう。
そんな時、上がっても、下がっても、どちらでも投資収益を狙える可能性がある取引が「ロング・ストラドル」というオプション取引のひとつの方法です。これは今現在の日経平均株価に近いところを中心として、コールオプションとプットオプションをそれぞれ同じ枚数だけ買い建てるという方法です。そうすれば、基本的に株価が上がっても、下がっても、どちらに動いても利益を出すことができます。もし、その利益が当初支払ったプレミアムを上回るものならば、いわゆる“儲け”になるというものです。週末の日経平均オプションで、7月限月の8,500円を行使価格とするものを使って考えると、コールオプションが約220円、プットオプションが約295円ですから、おおむね約515円前後の支払いプレミアムでこの「ロングストラドル」、すなわち上がっても、下がっても利益を出すポジションを組むことができます。
この場合、もし日経平均株価が7月13日のSQ清算値において、7,985円以下になっているか、あるいは9,015円以上になっているかすれば、何らかの“儲け”を出すことができます。もちろん、この「ロングストラドル」を買った直後数日以内に大きくどちらかに市場が動けば7月13日を待たずして反対売買によって“儲け”を計上することもできるかもしれません。そして何より肝心なのは、最大の損失は支払ったプレミアム、すなわち掛け捨て保険として海外旅行の前に払った旅行傷害保険の保険料と同じ、支払いプレミアム以上には損失は発生しないということです。
市場が膠着し、でもイベント・リスクによってどちらかに大きく変動することが予想される時にはこんなオプション取引も便利なものです。またヘッジの有効な手段でもあるので、これを機会にオプション取引を勉強してみるのもよいかもしれません。
今週も頑張りましょう。
≪ロングショート戦略で運用≫■買い建てと売り建ての両方で収益をめざす |
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楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。
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