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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年10月11日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

10月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(10/7終値)
前週末比
(9/30比)
日経平均 8,605.62 -94.67 -1.09%
NYダウ 11,103.12 +189.74 +1.74%
金利・為替 週末終値
(10/7終値)
前週末比
(9/30比)
長期金利 0.985% -0.035%
ドル/円 76.76  
ユーロ/円 102.69  

悲観し過ぎの米国経済修正が市場を救う!?

前週の総括

■ポジティブ・サプライズの米国雇用統計

 この一週間の各市場の動きは上記の表のとおりです。前回お伝えしたとおり、ギリシャ問題が燻り続けていることで市場は一向にあく抜けしない状態が続いています。何か「良い話」が出て束の間それを好感したかと思えば、かならず「欧州不安がぶり返し」というコメントが並ぶ展開で一週間がまた終わったという印象を持っています。結局、残念ながらこの問題には収束の糸口が掴めていないということでしょうか。

 しかし一方で、このところの米国経済統計には米国マクロについては「悲観し過ぎ」ということを裏付けるようなものが頻発しています。残念ながら市場の目線は欧州にあるので、それを正当に評価しきれているとは思えませんが、徐々に「???」のマークを感じているようにも思います。つまり「ショート(売り)戦略」だけで勝てるのかということです。

 米国マクロについて「悲観し過ぎ」と言える最たるものが週末発表された米国の雇用統計です。事前に発表されたADP(オートマチック・データ・プロセッシング)についても、新規失業保険申請件数の増加ペースについても同様なことが言えましたが、留めは雇用統計でしょう。週末のNY市場はこれを評価し寄り付きから買われ、いったんは前日比+108.72ドルとなる11,232.05ドルまで上昇しました。ただイタリアとスペインの格下げが伝わると市場は一気に嫌な面を思い出し、NYダウも4連騰はできずに3連騰で諦めたという印象を持っています。ただ引け値ベースでも11,000ドル台を100ドル上回って終わったことは好材料です。


(出典:Bloomberg.)

<NYダウの週末7日一日中の動きです。-----------雇用統計で買われて、イタリアとスペインの格下げで売り、もうひと踏ん張りしてみたものの、週末前で諦めたという感じです。>


(出典:Bloomberg.)

<続いて日経平均株価のこの一年間の動きです。-----------やはり震災直後のフリー・フォール水準を下回る水準まで売り叩く蛮勇はないように見えます。>

■ポジティブ・サプライズの米国雇用統計

 米労働省が7日に発表した9月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数(季節調整済み)は前月比10万3,000人増と市場予想の約55,000人〜57,000人という水準を大きく上回る結果となりました。同時に過去2カ月分も7月が同+8.5万人→同+12.7万人、8月が同0.0人→同+5.7万人へと上方修正され、米国の雇用環境は市場が悲観し過ぎているほどには悪くないとかねてからお伝えしてきた内容が裏付けられたように思われます。

 じつはこれに先立ち6日に米労働省により発表された10月1日までの週の新規失業保険週間申請件数(季節調整済み)も40万1,000件と前週から6,000件の増加に留まり市場予想の41万件増加を下回っていました。また企業向け給与計算サービスのADPが5日に発表した9月の雇用統計は、民間部門雇用者数が9万1,000人の増加となっており市場予想の7万5,000人増も上回っていました。つまり市場予想はすべて悲観的に見過ぎていたことが証明されたことになります。ただし、失業率が9.1%と引き続き高いままであることは事実であり、こうしたことから予断を許さない状況であることはたしかなのですが、頭から決め付けたように「アメリカも景気が悪いから」という先入観で捉えていくのはいかがなものかと思われます。ファッションのように「アメリカは景気が悪い」と言う人が多過ぎるように思われてなりません。

■それ以外の米国データも改善を示しています

 前回も「米国経済については悲観し過ぎ」と項目立てをしましたが、それは9月30日に発表された9月のトムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数(確定値)、シカゴ購買部協会が発表した9月のシカゴ地区の製造業景況指数(季節調整済み)などが予想以上に改善していたからです。そして今週3日に入ってもその流れは続き、米供給管理協会(ISM)が発表した9月の製造業部門景気指数も51.6と、前月の50.6から上昇していました。ちなみに市場予想は50.5に過ぎません。ポイントの一つは景気を見極めるうえでの分岐点となる50を26カ月連続で上回っているということも加えられます。

 また3日に発表された米国9月の新車販売台数は、前年同月比9.9%増の105万3,722台となり年率換算で5カ月ぶりに1,300万台を超えてきています。米調査会社オートデータによると9月の新車販売台数は年率換算で1,310万台となり、8月の1,212万台から大幅な上方修正となりました。さらに言えば、今後の個別銘柄選定の投資判断のうえでも重要なインプリケーションを与えてくれる話でもあるのですが、販売を底上げしたのが大型車の復調だということです。原油安に伴うガソリン価格の下落でピックアップトラックなど大型車部門が16.1%増と大幅に伸びたことは、米国消費者の真のニーズがどこにあるかを明確に浮き彫りにしたように思われます。同時に日本勢ではトヨタ自動車(7203)が17.5%減で4位に転落、ホンダ(7267)も8.0%減となったことにも注意が必要です。

 本題に戻すと、米国経済のマクロ動向を示すデータは市場が悲観するほどには悪くないということです。たしかにNYのウォール街で始まったデモは「全米に拡大している」と報道されていますし、私自身もそれをこの目で見てきたわけではないので、あえて肯定も否定もしませんが、今までの私自身の経験則(米国本土の企業調査を自ら行うために、全米各地を転々と出張しながら皮膚感覚で得た情報と、国内などの報道情報との間に感じたギャップの長年の経験)から言えば、少なくとも現段階においては与えられたデータの方を信じるべきだと思っています。

■イタリア、そしてスペインの格下げ

 先月20日、米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)がイタリア国債の格付けを1ノッチ引き下げ「シングルA」とした時にすでにこの流れになることは明らかになっていましたが、米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが4日、イタリア国債の格付けをほぼ20年ぶりに引き下げ「A2」としました。これは「Aa2」からの3段階の引き下げで慢性的な低成長の下で同国政府による債務削減策が難航するとの懸念が理由だとしています。そして格付け会社フィッチ・レーティングスもイタリアの信用格付けを「AA-」から「A+」にそれぞれ引き下げ、見通しは「ネガティブ(弱含み)」としました。なぜムーディーズがこうした動きに出てくるか先月の段階で明らかになっていたかと言えば、S&Pのイタリア国債格付けがすでにムーディーズより3ノッチ、フィッチより1ノッチ低くなっていたからです。つまり催促状態です。ムーディーズは10月半ばまでに同国格付けの見直しを完了する予定だとしていましたから、ある意味では既定路線なのですが、市場はこの手の話題に大変ナーバスになっているのも事実です。

 あわせて格付け会社フィッチは7日、スペインのソブリン信用格付けも引き下げています。ユーロ圏債務危機の悪化や、両国の財政健全化をめぐるリスクを理由に挙げていますがスペインを「AAプラス」から2段階引き下げ「AAマイナス」としています。こうしたユーロ圏の国々に対する相次ぐ格下げが欧州問題の根深さを想起させ、いつまでたっても解決しないという印象を強く持たせるようになっています。

今週のポイント

■さよなら、スティーブ・ジョブズ

 先週の驚きと言えば、やはりアップル(AAPL)のカリスマCEOと呼ばれたスティーブ・ジョブズ氏の訃報だと思われます。それは4日にアップルが『iPhone 4S』のリリースを発表し、なぜ『iPhone 5』ではないのかということが話題になっていた矢先でした。『iPhone 4S』が発表された日、出演させていただいた日経CNBCで“なぜ『iPhone 5』ではなく、このタイミングで『iPhone 4S』なのか”という問いかけに対し「ジョブズCEOの引退で燻る市場の不安を早期に消し去るためではないか」とコメントさせていただいたのですが、まさかそれが“引退”などという次元ではなかったということには驚くばかりです。巷では「4S」は「For Steve」の意味だとまで言われていますが、アップル社側が『iPhone 4S』の発表の日には、すでにジョブズ氏の自宅地元警察にその可能性を伝え、警備の依頼をしていた事実を踏まえると、あながちそれも嘘ではないのかもしれないと思えてしまいます。だとしたら、アップル関係者はどんな気持ちで『iPhone 4S』を発表したのかと思うと、思わず胸が詰まります。

 即座に予想される市場反応の可能性についても、メディアの方々から何件もお問い合わせをいただきましたが、私は「今後の上値は将来不安もあり重くなるかと思われますが、この発表を受けて、すぐさま投資評価格付けを引き下げたり、持っている同社株を今晩売り叩きに来る投資家も少ないでしょう」と申し上げました。結論はほぼ私の予想通りで、血も涙もない冷徹な場所のように語られることの多い資本市場に隠されたじつはセンチメンタルな部分を垣間見た気がしました。


(出典:Bloomberg.)

<Steve Jobs氏の訃報を聞いた翌日のアップル株の一日の動きです。-----------引け値はややマイナスになりましたが、ザラ場では384ドルまで買われる場面もあったほどです。>

 ジョブズ氏は自ら作ったアップル社のCEO職から、自分が採用した人に追い出されたことがあるというのは有名な話で、その後復職してアップルを立て直し、時価総額で世界最大の企業に育てたわけですが、ジョブズ氏がその苦労している頃に、彼の自宅近く(Menlo Park)のお寿司屋さんで隣のテーブルに座った経験は今でも忘れられません。CEOとは孤独な仕事であり、そのストレスたるや恐らく経験してみないと解らないだろうと思います。ましてや自分が作って育てた会社を何だかんだ言われて追い出されたりしたのなら、なおさらです。当時の彼はどう見ても疲れ果てた風采の上がらないただの「オジサン」にしか見えませんでしたから。ただそうしたストレスが活性酸素を体内で作り…癌の要因になったのかもしれない…、そう思うと残念でなりません。「Stay hungry, stay foolish」、忘れられない言葉となりそうです。

■米国企業決算に注目

 間違いなく、まだ当面はギリシャ問題に始まった欧州問題が市場の主要な変動テーマになります。安心することなどまったくできず、常にヘルメットをかぶった状態で見ていた方が良いと思いますが、前述のように米国の状況については先入観は捨てるべきだと考えます。そしてこの先の展開を、すなわち欧州問題などが何がしかの決着を見た後の展開などを考えるうえで、恐らくこれがとても重要なこととなると考えます。その意味でも、今週から始まる米国企業の決算内容については要注目です。かならずや次の一手のインプリケーションがある筈です。

 ひとつだけ悲観的なシナリオを描くとすれば、全米に拡がりつつあるといわれる格差是正を求めるデモの流れの行方です。問題はそれ自体ではなく、これがオバマ政権なり、ワシントンの風向きに少なからず影響を与えることで、ギリシャ問題が最悪な事態に展開した際、彼らの金融政策の手足を縛る可能性があるということです。つまり苦しむ米銀を放置せざるを得ないかもしれないということです。そんなことにはならないと思いますが、それが今市場で言われている悲観論のひとつであることは事実です。

 最後に、日本のことについてはほとんど言及していませんが、それがすなわち今の日本市場の状況だということです。嫌になりますね。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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