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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年5月30日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

5月第5週

マーケット概況

株式 週末終値
(5/27終値)
前週末比
(5/20比)
日経平均 9,521.94 -85.14 -0.89%
NYダウ 12,441.58 -70.46 -0.56%
金利・為替 週末終値
(5/27終値)
前週末比
(5/20比)
長期金利 1.120% -0.005%
ドル/円 80.78  
ユーロ/円 115.67  

内閣不信任案はポジティブ

前週の総括

■値幅なく、出来高なく、枯れている

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。前回「動きようがない」とお伝えしましたが、先週一週間の市場も日経平均株価の値動きで9,500円を中心値として上下に80円弱しかなく、売買の方も尻すぼみに縮まり、週を通じた売買代金が平均で1兆1,418億円、週末金曜日は1兆559億円に過ぎず、徐々に枯れいく展開となりました。これはゴールデンウィーク前の4月26日につけた1兆420億円に次ぐ低調さで約ひと月ぶりの低水準です。市場を取り巻く環境にはギリシャ問題をはじめとした南欧問題、また米国は公的債務が法定上限に達っしてしまった問題など材料はいくつもあるのですが、肝心な日本国内の情勢は、原子力発電所の問題が意図的な情報秘匿が背景にあるのではと思われるほど政府発表が二転三転するなど、一向に何を信じて良いのか解らない状況が続き、市場もどっちに動いて良いか解らないというのが実際のところかと思われます。

 震災復旧や原発問題のみならず、会期延長をしてでも2次補正予算を成立させないとならない本国会の切羽詰まった状況にもかかわらず、菅首相はフランスに行ってしまいました。これでは例えば「銀行は東京電力(9501)向け債権放棄をさせられるのかさせられないで済むのか」といった政府方針(このところは重要決定が唐突に発表されますから)が見えず、(売りでも、買いでも)銀行株に手を出しても良いのか悪いのか解らないといった不透明感を払拭できません。首相がG8で発言した「太陽光パネルを1,000万戸に設置します」という発言も、じつは担当大臣である海江田経産相でさえ、まったく知らされていなかったというお粗末さですから、政治の不透明要因が最も市場を動けなくしている理由だと思います。そしてついに野党である自民党と公明党が週明けにも内閣不信任案を出す公算が高くなってきた以上、この不透明感はピークに達しつつあるものと思われます。震災前の時のように、永田町劇場は兜町シネマとは別のものとは言えない段階にすでに来ていると考えています。

 もちろん、11年3月期決算発表がほぼ一巡し、アナリスト達が今後の見通しなどを分析しているのがまさにこのタイミングですから、その結果を待っているからという前向きな見方もできますが、どう考えても最大の不透明要因は政治ですし、この問題が解決しない以上、安心して投資方針を決定することができません。性善説に立って楽観論を言うことは簡単なことでもあるのですが、正直、今はそうしようと思いません。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価のこの5営業日です。----------- 真中の9,500円の線を中心に上下にほとんど動きがないことが一目瞭然です。>

■自動車生産の回復急ピッチに進む

 震災の影響を大きく受け、11年3月期の決算発表時に12年3月期決算の見通しすら発表できずにいた自動車産業ですが、『ルネサスエレクロトニクス』の那珂工場などの復旧などが進み、ようやく生産が立ち直り始めたようです。最近の自動車がハイブリッド車などエレクロトニクス部品を多用しているものに限らず、多くの部分で半導体を利用したコンピュータ制御が肝を握っていることはご承知の通りですが、メーカーや車種ごとに特定固有設計(カスタムIC)のものが使われているため汎用性がなく、これが今回の大規模な生産調整の原因となりましたが、かなりの部分で部品調達の目途が立ち始めたようです。

 ただ実際には先週後半に確認した段階では、トヨタ自動車(7203)の今年度注目の新型車である『プリウスα(ワゴン形式)』は、発表当月にも関わらず、現在の納車目途は1年後という有様です。以前ならば「人気で大量のバックオーダーを抱えたから」と納車遅延も好材料と見ることもできましたが、現時点ではまだ生産の滞りが原因と判断せざるを得ません。また従来、他社に比べて国内生産を重視してきた同社が海外生産を加速させざるを得ないと発言し始めたことは、日本国内の産業空洞化という点でも安穏と「回復してきた」と手放しで喜べるとは思えません。

■『消去法』的に買われている円

 毎回本メルマガではギリシャ問題を取り上げてきていますが、東京市場引け後の時間帯で、為替市場最大の変動要因は、目下引き続きギリシャの債務再編問題です。週末にはドイツ、ルクセンブルグに続いてフランスのサルコジ大統領がギリシャ国債の民間の保有者に対する責任分担について言及を始めました。

 こうした内容を背景に、先週はユーロが一時約2カ月ぶりに対ドルで1.4ドル台を割り込む場面も見られ、ユーロへの信認はかなり揺らいだ状況が続いています。結果的にはこの流れが今までユーロをドルに続く第2の基軸通貨とみなして外貨準備をユーロにシフトしていた新興国などが円買いに動く流れを作り、こうした需給要因も手伝って円高がやや加速しました。しかし、その円に対しては、格付け会社フィッチ・レーティングスが27日に日本国債の格付けを「ネガティブ(弱含み)」に引き下げ、震災後の影響についてかなり厳しく見ている姿勢を見せたことから週明け後の円の動きに影響が出てくるかもしれません。


(出典:Bloomberg.)

<ブラジル・レアルと円のこの2年間です。----------- ユーロ、ドル、円と言った先進国通貨が財政状態などでそれぞれ問題を抱える中、やはり資源を持つ国の通貨は相対的に強い傾向を示しているように見て取れます。>

今週のポイント

■10年後、20年後の日本の繁栄が試される時

 一介の市場関係者が政治について語ることは憚られますが、3月11日の東日本大震災で大きく傷ついたこの国が、10年後、20年後に今まで以上に繁栄した国でいられるのかどうかということが、真剣に試される時が今だという認識でいます。もし、それが厳しいという判断に傾くならば、基本的に長期的な収益見通しを元に行われるべき日本株への投資行動自体を見直していかないとならず、ひいては今後の資産運用のコア部分を「円ベースの金融資産」で考えたままで良いのかという問題に発展していく節目が今だと捉えています。

 残念ながら、世論調査などの結果を待つまでもなく、現在の菅直人首相率いる民主党政権がこの震災後の諸々の対応で国民の信望を極端に失っていることは否定し難く、しかしその一方で、現状のこの国難を乗り越えて行くリーダーシップを発揮できるのは政治の力でしかないというのも同様に事実です。

 個々の人間関係においても同様ですが、信頼を得るのは大変な時間と労力がいるテーマですが、それを失うことは一瞬で可能です。本来は震災を政局の材料として政治的な空白を作るべきではないタイミングであるとも思いますが、国が一致団結して復旧と復興にあたって元気な日本を取り戻すためには、事ここに至っては一度「国民の信を問う」ということが必要なのではないでしょうか。その意味において、過半数を握らない野党連合が内閣不信任案を国会に提出するというのは、可決されることへの期待は低いながらも、妥当な選択と思います。

 震災から早くも70余日、報道が福島原子力発電所の問題やその他のものにシフトしてしまった現在、日本国内においても被災地の正確な情報伝達は乏しくなっています。極端な自粛ムードはむしろ景気にマイナスに影響するという判断もあり、普通の日常生活に戻ろうとするムードは正しいと思いますが、一方で、日々被災当事者以外にとっては震災が過去の出来事として風化していくことで、国民のセンチメントにどんどんと温度差が拡がっていくことも事実です。それは計画停電の経験に基づいた節電意識のあり方一つをとっても、すでに明らかです。当事者以外は残念ながら「喉元過ぎれば・・・」は現実なのですから。しかし、実際にはまだ「原爆が落ちたような状態」のまま瓦礫が放置されている状況が被災地では続き、今なお多くの方々が避難所で暮らしている状況にはほとんど変化がなく、こうした状況に正しく手を差し伸べられるのは政治と行政以外にありません。それには幅広く国民の理解が必要です。在日米軍のあり方一つとっても、今の東北地方の方々の意識と、沖縄地方の方々の意識とでは大きな乖離があるということでも、まとめられるのは政治の力以外にありません。

 政治に無関心な状態でも普通に日常生活が営まれ、恐らく10年後、20年後についてもそれなりに先進国のままでいられたであろう平時の時のポピュリズムで選ばれた政権ではなく、復興財源の問題、放射性物質による汚染問題など、将来の日本及び将来世代の生命に甚大な影響を及ぼす大問題を抱えたこの国難の時に、国民総てが将来のあるべき姿を真摯に見詰めた上で選ぶ政権に舵取りを任せるというプロセスを今ここで敢えて踏むことは、結局は「急がば回れ」という結果に繋がるのではないかと考えます。

 格付け機関が信用格付けを引き下げたのも、そうしたこの国の将来への不安を見抜いているからこそ、です。しかしながら一方で、欧州問題などで消去法的に円を買うと言った現状を鑑みれば、幸運にも資本市場では時間的なモラトリアムを与えて貰っているのも今と言う現実です。ならばここで政治が決断するということが今の悲観論を収束させる最良の処方箋だと思います。内閣不信任案が提出されるのかどうか、それが可決されるのかどうか、そしていずれにしてもその経緯・結果によって現政権がどう動くのか、今週は目先の市場見通しとは別に今後の大きな流れを決定する重要な一週間になると考え、推移を注視していきたいと思います。その結果によっては、今後の投資方針は大きく変化すると考えます。

 今週も頑張りましょう。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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