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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年3月7日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

3月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(3/4終値)
前週末比
(2/25比)
日経平均 10,693.66 +166.90 +1.59%
NYダウ 12,169.88 +39.43 +0.33%
金利・為替 週末終値
(3/4終値)
前週末比
(2/25比)
長期金利 1.295% +0.055%
ドル/円 82.32  
ユーロ/円 115.14  

米国景気はシナリオ通りに回復を確認

前週の総括

■米国雇用統計は予想通り、良好な結果となった

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。リビア情勢に神経質に振られる原油価格に全ての市場が上下に振り回される一週間となりましたが、日経平均株価は一時10,768.43円を付けるなど強い展開が続いていると言えます。週末終値こそ10,693.66円と大引けに掛けて伸び悩んだことは弱気筋コメントの格好のターゲットになるとは思いますが、この環境下で米国の雇用統計発表を待たされた市場のリアクションとしては、当然というか、むしろ出来過ぎの部類だと思います。週前半の安値が10,448.83円ですからよく戻した方です。売買代金の方も1兆5,000億円台から1兆6,000億円台とそれなりに膨らんでいます。そして何より東証マザーズ指数に至っては2008年7月の水準とリーマン・ショック前の水準を取り戻したことを特筆したいと思います。

■ボラティリティは底打ちした

 市場のエネルギーを測るのにボラティリティをよく使います。変動率の標準偏差でもあるため、見方を変えると市場変動に対する「マンネリ度数」と考えることもできます。これは市場が緩々とアクセントなく上昇を続けたりすると低下し、私の経験則では10日間のヒストリカル・ボラティリティが一桁台になると市場が下落する傾向が強くなると記録しています。このことについては以前から何度かご案内したことがありますが、言い換えるならば「何となくダラダラと上昇する状況がマンネリ化して飽きられた」ということを表していると考えます(これに対し、予想される変動率から計算されるものがインプライド・ボラティリティです)。

 日経平均株価の変動率に対して3倍のレバレッジを掛けた弊社のブルベア投信の追加解約の動向を見ていてもこの傾向は極めて顕著で、ボラティリティが低下すると目立って追加解約のボリュームが減少し、飽きがピークに達する頃(つまり追加解約の量が激減する)、やがて市場の大きな変動局面(だいたい下落)を迎えます。そしてそれなりに大きな値動きがあってマンネリが吹き飛ぶと市場は再び上昇をはじめ、またファンドの追加設定が増えて来るという傾向があります。今回もこの「マンネリ度数」とも言えるボラティリティの値が10を下回って6台を付けたのが2月後半ですが、セオリー通りに株価は下落、そして先週末現在のボラティリティは22.626とマンネリな状態から抜け出し、今はそれなりに市場が"エキサイティング"な状態に入ったと思われます。つまりこの面からは目先の下落は示唆し難くなったと考えています。


(出典:Bloomberg.)

<CRB指数のこの1年間の動きです。----------- 原油価格も重要な構成要素ですが、綿(コットン)などその他の商品価格も上昇していることを反映して急騰しています。>

■WTIの104ドル乗せは流石に厳しい

 週末発表になった米国の雇用統計(後述)は市場の予想通りに良い結果となりましたが、NY市場は前日比88.32ドル(0.7%)安の12,169.88ドルで取引を終了しました。その背景にあるのが再び原油価格が上昇したことが挙げられます。週末の終値はWTI先物で104.42ドルと2008年9月の水準です。北海ブレントやドバイ原油の価格はリビア情勢の緊迫化以前であるチュニジア情勢の混乱の段階で上昇をはじめ高止まりをしていましたが、比較的縁遠い展開を続けていたのがWTI先物価格でした。ただここに来てWTIの価格が急騰する場面が多くなり、これが結果として株式市場の足を引っ張る最大の理由と目下のところなっています。バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言においても、米国景気回復の足取りにはある程度の自信を見せる一方で、原油価格の上昇が原材料価格の上昇などを通じてマイナス要因になることを懸念されていました。

 こうした原油価格の上昇を受けて商品市場も綿花などを含めて急騰しており、これらを総合して測ることが出来るCRB指数も362ptsと急騰しています。当然これはインフレ懸念の芽となるわけで、インフレ抑制のための利上げが各国で必要となれば世界景気の回復に大きな阻害要因となることは火を見るよりも明らかです。

■米国雇用統計は失業率も改善された

 米労働省が4日発表した2月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が19万2,000人増加となり、昨年国勢調査が押し上げ要因となった5月以降で最大の伸びとなりました。失業率も8.9%と2009年4月以来の水準に改善し、市場予想の9.1%を下回る結果となりました。また失業率の改善は3カ月連続となっています。市場では1月の失業率が9.0%に低下したため、2月は逆に失業率が9.1%程度に上昇することを見込んでいましたので、このさらなる低下である8.1%というのはポジティブに受け止められています。

 一方、非農業部門雇用者数が19万2,000人増加についてはやや見方が分かれています。この数値自体は大変大きな改善であることは確かなのですが、市場予想と考えられている数値が通信社によって違うということが明白になってしまったからです。例えば、ロイター通信社の集計したものでは18万5,000人増であるのに対し、ブルームバーグ社が集計したものは19万5,000人と10,000人の乖離があります。これではポジティブともネガティブともつかない斑色の判定と市場はいったん受け止めても仕方ありません。でも19万2,000人という絶対値の大きさは、いずれにしてもポジティブなものとして消化されていくはずです。

 しかし、前述の原油価格の上昇などの流れを受けながらも先週の足元の株価が堅調に推移した要因は直近の新規失業保険申請件数の減少、あるいはISM製造業・非製造業景況指数の改善など、市場の当初の思惑以上に改善傾向を見せる米国経済のマクロ統計が理由であり、今回の雇用統計も週末の織り込みとしては慎重なものとなったとも言えますが、米国経済の回復状況は原油問題を除くとほぼオントラック、市場は後追いで織り込んで行っていると言えると思います。

■どうにかして欲しい日本の政治

 その一方で、我が国日本の政治のダッチロール状態は惨憺たる状況ということができると思います。ここに来て前原誠司外相の政治資金規正法違反(外国人からの献金受け取り)問題が噴出するなど、予算案こそ与党民主党の衆院議席数がものをいって年度内可決がきまりました(やり方の是非は別です)が、関連法案については全く目途が付かない状態が続いています。最後の最後で何か逆転のウルトラCを首相は見せるつもりなのかも知れませんが、普通に考えれば財源の目途が付かないままに2011年度予算が執行されても、この国の財政が年央にパンクするか、あるいは財源が底をついて行政サービスの停止という最悪の事態に突入することになる可能性が濃くなってきました。バラまき政策は予算案が通っていますから走り始めることは可能ですが、赤字国債発行の関連法案が可決されていない以上、お財布の中身が空になることだけは明らかです。目先でいえば、子供手当については年度内成立しない限り、4月からは支給されないことになります。首相は首相の椅子に座ったままですが、その足元はすでに完全にボロボロになっています。こうした状況を資本市場が無視し続けてくれることを市場参加者としては切望する限りです。


(作成:楽天投信投資顧問)

<10日間のヒストリカル・ボラティリティと日経平均株価のこの1年間の動きです。----------- この水準までボラティリティも回復すると取り敢えずこの面は安心です。>

今週のポイント

■アップルが『iPad2』発売を発表

 新聞報道等でもご覧になった方も多いと思いますが、スマートフォン・ブームあるいはタブレットPC・ブームの火付け役となったアップル(AAPL)が早くも『iPad2』の発売を発表しました。米国では3月11日、日本では3月25日に発売となり、私もすでに欲しくてたまりません。米国で開かれた発表会には健康状態が気になっていたスティーブ・ジョブズCEOもさらにやせ細っていましたが登場し、『iPad 2』を発表する元気な姿を披露しました。『iPad2』は厚さが最薄部で8.8ミリと初代『iPad』の13.4ミリから約3分の2に薄型化し、『iPhone4』の9.3ミリよりさえも薄くなります。重さはWi-Fi版で601グラム、3G版が613グラムとのことで私が使う初代『iPad』(Wi-Fi版680グラム)より3G版でもさらに軽量化したことになります。

 内蔵フラッシュメモリの容量は引き続き16Gバイト、32Gバイト、64Gバイトの3モデルで3G版は『iPhone 4』と同様CDMA版も提供されるため、米国ではAT&T(T)Verizon(VZ)が販売します。日本でもぜひソフトバンク(9984)のみならず、Verizonと同じ通信規格であるauでも使えるようになって欲しいものです。そしたら今回は3G版の32Gバイトモデルを買うつもりです。

 プロセッサは初代『iPad』や『iPhone4』よりさらに進んだ、やはりアップル独自の『A5プロセッサ』(1GHz)となります。これはデュアルコアを初めて搭載したプロセッサです。CPUで2倍、グラフィックスで9倍高速化とのことですが、それでも初代『iPad』の『A4プロセッサ』と同等の消費電力で済むためバッテリー持続時間は10時間だそうです。新たに前面と背面にそれぞれカメラを装備し、背面カメラは720p/30fps、前面カメラはVGA/30fpsの動画撮影が可能となるため前面カメラを使えば『FaceTime』によるテレビ電話が利用できます。また『iPhone 4』や『iPod touch』と同様に3軸ジャイロも搭載するなど機能的にもかなりてんこ盛りなるようです。そして値段についても米国ではまず据え置きというのが素晴らしい限りです。日本でも据え置かれることを希望します。

■どこの部品メーカーが儲かるかなんて発想は小さ過ぎ

 『iPad』が初めて登場した時も、そして『iPhone4』が登場した時も、私は当時コメンテーターをさせていただいていたテレビ番組や、あるいはあちらこちらの取材へのコメントで「凄いことになる」と大騒ぎしましたが、初期市場の反応は「どこの電子部品会社が潤うのか?日本製品はあまり使われていないらしいから恩恵はあまりない。」といったネガティブなものが多かったと記憶しています。恐らく今回も、そうした論調は多くでるでしょうし、冷静に部品市場を評価する関係者からはそういうトーンの声が聞かれるのでしょうが、しかし結果はどうだったでしょうか? 日本のみならず世界的な大ブームが起こっています。

 今や『iPad』や『iPhone』の便利さや楽しさを否定できる人は誰もいません。それどころか『iPhoneOS』を利用しないAndroid端末も各社から一斉に発売され、そして2010年はスマートフォン元年と言われるまでになりました。要は、今はまだ初期段階であり、このように世界に広がることがまずは重要なのです。当然その流れは日本企業にもたくさんの恩恵がもたらされます。その流れの中で投資先を見つければ良いし、日本株と米国株なんて区分けをして考えるなんて、最早投資の世界ではナンセンスの極みです。というより、そういう区分けを行うこと自体が「ガラパゴス」な日本の投資家独自の世界となっているのではないでしょうか?

■『Widows 7』のSP1が早くもリリース

 いまだに『Windows XP』を使っている法人や個人は多いと思いますが、早くも『Windows7』のSP1(Service Pack1)がリリースされ、ダウンロード可能となりました。マイクロソフト(MSFT)のWebによれば「これまでにリリースされたすべての更新プログラムと、お客様やパートナー様からのフィードバックにもとづき継続的に行われてきた 『Windows 7』に対する更新が含まれており、Windows オペレーティング システム (OS) の最新の改良を取り入れることができます」というものです。早速私もインストールしてみましたが正直ベース、即座に何か体感するものがあるかと言えば何もありません。ただ1.増大するモバイル ビジネスの要求に対応する2.仮想化テクノロジの最新の成果を利用するといったうたい文句があり、これらが追々効果を発揮してくるのだろうと思います。

過去の例からするとSP1リリース後から法人需要がさらに喚起されます。それは当初発売の時点では初期のバグが潰されていないという企業内IT関係者の慎重論が多く、SP1リリース後に導入した方が安心と考える人が多いからです。ブログの方で解説していますが、インテル(INTC)が鳴り物入りで市場の高い期待にこたえるように投入した『Sandy Bridge』も、チップセットの開発ミスの関係で当初躓きましたが、これもやっとFIXされましたのでパソコンの販売も予想以上に伸びるかも知れません。実際、私の周りではまだまだ個人的にも職場環境でも2世代前の『Windows XP』のパソコンを使っている人が圧倒的に多いですから。セキュリティその他諸々考えても、『XP』から『VISTA』への移行はお勧めしませんでしたが、『Windows 7』への移行は早くした方が良いとお勧めします。

それらがスマートフォン需要と併せてハイテク業界の次へのステップになると確信しています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪原油価格の急騰を受けて商品市場も上昇≫

■商品市場へ投資!

損保ジャパン−DBLCI コモディティ 6
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主として「損保ジャパン−DBLCIコモディティ・マザーファンド」を通じてDBLCI Total Return Unhedged JPYの騰落率に償還価格などが連動するユーロ円建債券に投資することにより、ドイツ銀行グループ商品指数が表す商品市況の中長期的な動きを概ね捉える投資成果を目指した運用を行う。信託財産の中長期的成長を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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