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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年2月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

2月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(2/18終値)
前週末比
(2/11比)
日経平均 10,842.80 +237.15 +2.24%
NYダウ 12,391.25 +117.99 +0.96%
金利・為替 週末終値
(2/18終値)
前週末比
(2/11比)
長期金利 1.295% 0.000%
ドル/円 83.43  
ユーロ/円 113.06  

※ 日本市場は2月10日との比較

夢を信じる者が報われる

前週の総括

■日経平均株価11,000円台超えへの挑戦

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は2月17日前場に高値10,891円60銭を付け、前回申し上げた通り11,000円の大台替わりが見えて来ました。背景は諸々ありますが、新興国市場がインフレ懸念で相次いで利上げに向かう中、米国を始めたとした先進諸国の株式市場が見直されているという大きな流れがまずあります。後述しますが米国市場の株価は引き続き好調に高値を切り上げています。一方で懸念材料として大きく市場の重石となっていた南欧問題や地政学的リスクとして懸念されていたエジプト問題がともに小康状態を保っているということも投資家がリスク・テイクをしやすい環境を作り出していると思われます。この流れは株式市場のみならず為替市場にも波及しており、従来回避先として買われていた円から資金が出て行っている(円安)ことが窺えます。

■日本の国会問題は無視されているが本当の状況は相当酷い

 「円から資金が出てマネーはリスク・テイクに向かっている」という前向きな見方の反対にあるのは、いよいよ「円(日本)が世界の投資家から見切られ始めている」というものです。株価は確かに永田町の情勢など無視するかのごとき動きをしていますが、為替市場債券市場にはやや違った動きという視点を持つことができます。10年国債で見る長期金利の週末ごとの対比ではともに1.295%で変化がないように見えますが、週央には1.345%に上昇する(国債が売られている)場面も見られました。米国金利の上昇傾向への連動性として見ることもできますが、米国金利が高値3.7373%を付けたのは2月8日であり、日本が高値を付けた時とは一週間のずれがあり、さらに米国金利の先週末水準は前週末の3.6288%からむしろ3.5799%へと低下している(債券が買われている)くらいです。ドル円も週末こそ83.18円ですが、週央には83.97円と84円が目前に迫るところまで円が売られました。一方、対ユーロでは週末113.92円と114円を窺う水準まで円はユーロに対して売られています。背景にはついに支持率が10%台に低下した菅内閣の現状とそれに伴う予算審議の停滞が挙げられます。企業価値をベースとする株価は、その企業のビジネスが順調である限り当該企業の国籍は二の次のテーマと成りえますが、通貨や国債は当該国の信用力そのものを反映するしかないからです。この意味において、野党との連携もできず、党内からも離反者が16人も現れ、支持率低下に尚も歯止めが掛からないにも関わらず具体的な打開策を菅政権首脳陣が見出せないでいる現状は、これら日本の信用を裏付けとした資産が売られる理由として充分とも言えます。


(出典:Bloomberg.)

<日本国債10年物利回りのこの2年間の動きです。----------- 南欧問題などに触れ、安全な投資先と見做されていた“化けの皮”は剥がれて来たとも見えます。>

■『J-GATE』も大きな混乱にはならなった様子

 前回お伝えした大証次期デリバティブシステム(『J-GATE』)稼働に伴う先物・オプション取引の取引制度変更については市場に大きな混乱を与えることはなく済んだようです。報道にもあったようにいくつかの証券会社で先物取引が不可能になるというようなシステム・トラブルはあったようですが、この導入に伴って裁定取引や機関投資家のインデックス取引が混乱するというような事態は避けられたようです。実際にはトレーダー達の現場では相当な緊張感を持って齟齬がないように対応が図られたのは事実ですが、大きな混乱にならずホッとしております。

■ボラティリティがかなり低下している

 日経平均株価は順調に値を上げていますが、その一方でボラティリティが順調に低下しており、どういう形でボラティリティが上昇する局面を迎えるのかやや危惧しております。一般論的にはボラティリティの上昇は株価の下落によってもたらされるので、やや慎重な態度が望まれるところです。ただ現状は売買代金の増加基調などを見ていてもわかりますが、外国人投資家などの見直し買いが入ってきている局面でもあり、手元にある材料で市場が底抜けするような状況はあまり考え難いと思われます。東証マザーズ指数も昨年4月30日以来の500pts乗せを果たし、昨年10月18日の安値344.56ptsからの戻りは約46%、4月27日の高値506.45ptsを超えると2008年7月下旬の水準まで戻す勢いです。

■内需関連株上昇が示すもの

 このところの市場上昇を支えているのは予想外に内需関連などの出遅れ株。好決算を発表している自動車セクターや為替の円安傾向に反応しやすい外需関連株ではなく、その反対側に居る内需関連ということに注目しています。国内景気が持ち直しているという見方もあるかとは思いますが、むしろこれは外国人投資家が日本株を買っているという証拠になります。

 日本株をオーバーウェイトにしている外国人投資家というのはあまり聞きませんが、痩せても枯れても日本経済、まったくわが国の株を保有しないというのはあり得ません。そうした場合にポートフォリオ・マネージャーの考える投資方法は「少しでも合理的な根拠を考え得る投資先」に選別投資するということになります。すなわち国内景気とは関係なく、中国などの新興国市場の景気回復で恩恵を受けるところに厚めにアロケーションするということです。しかし、ここにきて新興国は過熱感を打ち消すためにも利上げに走り、新興国市場の株式はパフォーマンスが劣化しています。これが先進国市場への資金の再配分の原動力になっていると考えられます。

 この時のポートフォリオ・マネージャーの判断としては「現状のポジションへの上乗せ」が順当なところになりますが、もしロットが大きければそうはできないはずです。アンダーウェイトしていたところをある程度引き上げないとあまりにポートフォリオとして歪んだものとなってしまうからです。またリターン・リバーサル効果などを狙うとなると余計そうしたアンダーウェイトで放置していたセクターへの厚めの配分という投資行動を取らないとなりません。

 もうひとつ言えることは、(そしてこれが、先進国株式市場が元気を取り戻している理由だと思いますが)、市場は米国経済の回復度合いを織り込めていなかったということだと思います。トヨタ自動車(7203)の決算内容とその後の動きを見れば明らかですが、米国経済は引き続き厳しい状況が続き、故にドルを売る(あるいは買えない)というのが市場のコンセンサスでしたが、米国経済の回復度合いは市場の予想を遥かに超えているのだと思います。故にその織り込めていなかった事実を織り込むためにNYダウなど米国株式市場の主要指数が軒並み連騰しているのだと思われます。


(出典:Bloomberg.)

ナスダック総合指数のこの5年間です。----------- あと30ポイントも上昇すると、ITバブル崩壊後の戻り高値を更新します。>

今週のポイント

■米国ナスダック総合指数が絶好調

 ハイテク株のウェイトが高い、つまりハイテク市場の動向をもろに映し出すと考えられているナスダック総合指数が絶好調です。過熱感を指摘する向きがあることは充分承知していますし、現在同指数に最も影響を与えるアップル(AAPL)の株価は17日に364.90ドルという市場最高値を付けた後に350ドル台まで下落していることも承知していますが、同指数の上昇が現状止まりません。先週の終値は2,833.95ptsですが、19日には一時2840.51ptsまで上昇しており、2,859.12ptsのITバブル崩壊後の高値(2007年10月31日)更新も眼前に迫ってきました。

 ちなみに、NYダウの高値は2007年10月9日の14,164.53ドルで、現時点の12,391.25ドルから見るとまだかなり高いところにあります。同じく、S&P500種については同じく1,565.15ptsで現時点の1,343.01ptsからはまだかなり遠くにあります。と言っても、NYダウやS&P500種については当然ながら2007年の時点でITバブル当時の高値を抜いており、もしこの水準を上回ることができれば市場最高値を更新するということになるので、ナスダック総合指数のそれとは相当意味が異なります。

■ナスダック総合指数は民主党、NYダウは共和党

 2007年と言えばまだ共和党ブッシュ前大統領がホワイトハウスの主人として君臨していた頃で、この当時の政策と言えば「大企業及び富裕層優遇」とよく言われるタイプのものでした。これを受けて世界のブルーチップとも呼ばれる米国の超優良企業30種で構成されるNYダウはもとより、S&P500種のような大型株価指数が史上最高値を更新することはある意味では当然だったのかも知れません。一方、時に日本の新興株市場と同種というような誤解も抱かれるほど新興のハイテク企業などをたくさん含むナスダック総合指数(時価総額で見ても東証1部よりも大きな市場です)は、ITバブル当時の2000年3月10日に付けた最高値5,048.62ptsはまだまだ遥か彼方であり、ましてや共和党政権時代に癒えてそれを更新するなど夢のまた夢でした。

 しかし、民主党オバマ政権誕生以来、そのブレインにグーグルのシュミット氏をはじめとしたシリコンバレー関係者が多く重用されていることは有名な話であり、また共和党政権時代に重厚長大に傾けていた多くの機関投資家ポートフォリオが傾きを変えることは容易に想像できました。また政策的にもスマート・グリッドの普及を経済対策の一環としても考えるなどオバマ政権の考え方はハイテク企業にとってフォローとなる要素をたくさん持っています。これはちょうど前回のITバブルが民主党クリントン政権の時代に、ゴア副大統領の「情報スーパー・ハイウェイ構想」の中で育まれたのと類似性を感じます。

■ハイテク技術開発の大きなうねりのサイクル

 人間の欲望は限りないものであり、常に「より幸せになりたい」、「より豊かになりたい」、「より楽しくなりたい」そして「より便利になりたい」などと考え続けるものだと思います。こうした欲望があるからこそ人類はここまで発展してきたのですし、環境破壊などの問題などにも対処しながらこれからも前へ進んでいくのだと思います。

 それを支えているのが技術開発であり、エンジニアの人達の不断の努力だと思いますが、大きなうねりが来るには海の波がそうであるように、必ずあるサイクルがあります。いくつかの小さな波のサイクルがタイミングよく重なって大きなものとなるということも重要な要素です。まさに今がそうしたタイミングの始まりなのだと思います。『Windows 95』や『Windows 98』でパソコンが普及し始め、糸電話のようなナローバンドではありましたがインターネットが始まり、そして携帯電話が普及の緒について大きなうねりとなりました。ただ、当時ひとつひとつのその役回りについては多くの人が懐疑的でした。今も同じ気がします。スマートフォン、クラウド、モバイルワイヤレスと言っても懐疑的な人はまだまだ多い。でも、以前もそうであったように、それらを夢見たナスダック総合指数は2000年3月に市場最高値を付けるまで、リアルビジネスのうねりの前に先駆して上昇しました。これが正しいか間違っているかは、何年か経ってみないと解りませんが、このナスダック総合指数の動きを見ているとそう考えてしまいます。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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「中央三井ダウ・ジョーンズ米国株式マザーファンド」の受益証券を主要投資対象とする。マザーファンドを通じて、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)に採用されている米国の主要な株式30銘柄(採用予定の銘柄を含む)への投資を行い、ダウ工業株30種平均株価(NYダウ)(円ベース)と連動する投資成果を目指して運用を行う。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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