※配信先の変更・停止は巻末をご覧ください。

楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2011年2月7日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

2月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(2/4終値)
前週末比
(1/28比)
日経平均 10,543.52 +183.18 +1.77%
NYダウ 12,092.15 +268.45 +2.27%
金利・為替 週末終値
(2/4終値)
前週末比
(1/28比)
長期金利 1.280% +0.065%
ドル/円 82.18  
ユーロ/円 111.62  

米国市場は年初来高値を更新中

前週の総括

■米国市場は今週も高値を更新

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。当初、緊迫化して市場の大きな懸念材料となったエジプト情勢ですが、市場が警戒したような最悪の事態にはならないという見通しが広がったこともあり回復、米国市場では大引けベースでNYダウが12,000ドルを回復するとともに、週末に向かって右肩上がりに上昇したことで金曜日の終値は年初来高値を更新する状況で終了しました。それはS&P500種についても、ナスダック総合指数についても同様で、CEOのメディカル・リーブ(病気療養)を理由とした利食い売りに押されたアップル(AAPL)の株価下落でいったんは“利食いモード”に入ったハイテク株も再び騰勢を強めています。こうした流れを受けて日経平均株価も上伸、週末終値は10,500円水準を超えました。

■新日鉄と住金の前向きな合併を市場は好感

 すでに山のような報道がされましたから、あまり多くの説明は不要かと思われますが、3日に発表された国内鉄鋼最大手の新日本製鉄(5401)と同3位の住友金属工業(5405)の合併検討発表は少なからず市場に好感されました。これにより世界第6位にまで低下していたわが国の粗鋼生産量ベースの鉄鋼メーカーの地位も再び世界第2位にまで浮上することになります。2003年に川崎製鉄とNKKの統合で誕生したJFEホールディングス(5411)は、停滞する経済環境の中で「1+1<2」とするような国内遊休設備の統合と効率化を目指したものでしたが、今回の合併意図は「1+1>2」とするような海外市場への攻めの統合であることが株式市場で高く評価された理由です。前向きな構造改革に対してはエールを送るのが株式市場の習性でもあります。

 鉄鋼産業の困難さの一つは当然のことながらその製品の重さです。いかに技術的に優れた高張力鋼板などを開発しようとも、主たるユーザーである自動車産業の工場が海外に進出してしまえば、その重い製品の輸送コストで価格競争力がなくなってしまいます。基本的にはユーザーの生産現場に近いことが高炉に求められるひとつの条件となりますが、新興国市場の台頭、そしてメーカーの海外進出は日本の素材産業にそうした意味でも暗い影を投げ掛けていました。すなわち現地生産化を進めないと現地素材メーカーに価格で負けてしまうということですが、それを克服する方向へ経営が舵を切ったということは充分に評価されます。

 また最近では原料メーカーに対する価格交渉力という点においても、国内シェアという小さな視点ではなく、国際市場でのシェアという力を発揮しなければ発言力の低下は否めません。そうした事態を打開すべく新展開を迎えようとする新日鉄と住金の合併を市場が前向きに捉えない訳がありません。ただ、まだ公正取引委員会の承認など、経営の意思決定後の状況は未定であり来年10月までの間に「合併交渉破綻」などという文字が新聞の見出しを飾らないことを願うばかりです。


(出典:Bloomberg.)

<ナスダック総合指数のこの一週間の動きです。----------- 一旦調整色が出たハイテク関連株でしたが、再び騰勢を強め始めていることがわかります。>

■日本企業も決算は概ね好調を維持

 米国企業の決算発表に続いて日本企業の10-12月期の決算発表が相次いでいますが、結果はおおむね良好な状態が続いています。同四半期の連結経常利益は前年同期に比べ24%増で5四半期連続の増益となり、増収増益の決算傾向は4四半期連続となります。これは新興国の経済状況が強いことも大きな要因ですが、米国経済の回復が企業収益にプラス貢献していることがポイントです。前述の米国市場の回復がその証左でもありますが、やや円高に傾いていることによるマイナス影響を帳消しにする以上の効果があります。

■米国雇用統計は複雑ながらも失業率は改善

 個人消費、国内総生産(GDP)そして住宅市場関連統計と市場の予想以上の回復をこのところ示している米国経済指標ですが、残る懸念材料のひとつが労働市場の状況です。週末4日に米労働省から発表になった雇用統計によると1月は豪雪の影響を一因に非農業部門雇用者数が36,000人増に留まり市場予想の145,000人増を大きく下回りましたが、失業率は前月の9.4%から9.0%に低下し、2009年4月以来の水準にまで改善しました。失業率は職を求める人を分母とするため、豪雪により求職活動を中止する人が増えたがため失業率は改善したと言われています。ただ製造部門の雇用が49,000人増え、前月の14,000人増から伸びが大きく加速して1998年8月以来の大幅な増加となったことは要注目と言えます。

■国会情勢は混迷を深める

 2月1日は検察審査会の起訴議決に基づく国会議員の強制起訴としては初めて民主党の小沢一郎元代表が在宅起訴されました。これを受けても小沢元代表に対する国会招致については与党民主党内でも意見が分かれており、これに対し自民党を筆頭に野党は予算審議に協力しないという姿勢を続けています。衆院で3分の2以上の議席を持つ民主党が、予算案を強引に成立させることはもちろん可能ですが、それらに伴う予算関連法案は参議院で否決される可能性が高く、結局はこのまま行くと来年度予算が実行されないという事態に突入することは避けられないかも知れません。内閣支持率の低下も続いています。

 また消費税引き上げと社会保障の問題が一気にクローズアップされているようですが、こうした流れに対しても公明党が民主党との対決姿勢を強めるなど、国会情勢は予想された通りに混迷の度合いを深めています。ただ幸いなことに、資本市場の世界では、これら混乱は既定路線でもあり、マネー・マーケットはこうした永田町の動向にはすでに見切りをつけている風が続いています。余程の想定外の事態に突入でもしない限り、市場は当面政治には興味がなさそうです。本来はこの状況、極めて由々しき事態なのですが、都知事選の候補者選定や顔触れの前評判を聞く限り、日本の政治は地方選挙も含めて当分は多くを期待しては駄目だというのが受け入れざるを得ない事実なのかも知れません。その政治家を決めるのに投票したのは、選挙に行かないということも含めて国民ひとりひとりの判断の積み重ねなのですから。


(出典:Bloomberg.)

<ドルベースで見た日経平均株価のこの1年間です。----------- 一月中旬に飛び放れたところにローソクが一本ありますが、トレンドとしての右肩上がりの図が回復して来ました。>

今週のポイント

■立会4営業日、前半中国は引き続き休場

 今週は週末に3連休を控えているため4営業日しか立会日数はありませんが、前半2営業日については、中国市場の春節のための休場がまだ続くため、アジア市場が正規にフル稼働するのは後半2営業日だけということになります。春節明け後に中国が利上げすると言う予想が市場にないわけではありませんが、直後の利上げはリアリティがなく、中国当局も経済活動が正常に戻りだすまで最低数日は様子を見て検討すべきものは検討するというのが現実的な流れかと思われます。従って、大きな動きとしては好調な米国市場の流れを受けて、日本企業の10-12月期の好決算を素直に織り込みやすい展開が続くと考えます。

■エジプト情勢は気になるところ

 しかしながら一方でエジプトの情勢が予断の許さない状況であることには変わりありません。欧州連合は4日にブリュッセルで首脳会議を開き、エジプトのムバラク大統領に対して「広範な支持基盤を持つ政権」への権力の即時移行を求める宣言を採択し、ムバラク大統領に対する即時退陣要求を突き付け、一方、米国もスレイマン副大統領を軸に、反体制派が加わる暫定政権を樹立する構想を描いて即時退任を促す発言をしましたが、現時点においてはまだムバラク大統領は即時辞任の意向を表明してはいません。現時点では軍も最低限の衝突しか民衆やデモ隊とはしていないようですが、もし大きな衝突にでも発展すれば事態は急展開を見せることもあり得ます。

 本件の一義的な問題点はスエズ運河の封鎖ということで、欧州圏の経済に大きな打撃を与えかねないというのがひとつの見方ですが、根本的な問題点としては、現状イスラエルとも友好関係にある親米派の大国であるエジプトがイスラム原理主義の台頭でともに袂を分かつことになると中東の平和が一気に再び崩れるということが挙げられます。一時は102ドルを超える水準まで飛び上がった北海ブレントの原油価格も週末は99.83ドルと100ドルを下回る水準にまで低下しています。ただ再び緊張感が高まるようなことがあれば再び騰勢を強めることは必定であり、その場合は株式市場全体に大きく影響を及ぼすものと思われます。

■インテルの新チップセットに設計ミス

 半導体最大手の米インテル(INTC)が市場投入したばかりの『Sandy Bridge』は処理能力の大幅な向上などにより予想以上に市場での受けもよく、滑り出しは順調な展開が続いていましたが、同CPU向けに新開発されたチップセット『インテル6シリーズ』に設計ミスが発見されました。新CPUはこの新チップセット『P67』と『H67』が無いと事実上使えないものであるため、同製品の出荷停止は少なからず新型パソコン全体の売上数値に影響を及ぼすものと思われます。インテル自体はこの設計ミスの修正および影響を受けた製品の交換に約7億ドル(約574億円)のコストがかかると説明していますが、同製品を搭載する各パソコンメーカー総体での売上インパクトは世界中で合算するともっと大きくなります。

 しかしながら民間の調査会社であるMM総研が2月3日に発表したところによると、2010年年間の国内パソコン出荷台数は09年比17%増の1,527万1,000台で、同社によれば「95年の統計開始以来、過去最高の出荷台数になったということのようです。出荷金額もネットブックの出荷構成比率が減少し、一体型デスクトップやA4ノートの構成比率が上昇したことで17%増の1兆3,579億円となり、出荷金額の増加は00年以来10年ぶりの水準だそうです。『Windows 7』の市場投入が消費者に受け入れられたという結果でも、インテルの設計ミスによるダメージは一過性に終わるだろうと考えています。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

「大島和隆からの手紙」からの投信アイデア

≪日経平均株価上伸、週末終値は10,500円水準!≫

■日経平均株価に採用されている銘柄に投資!

MHAM株式インデックスファンド225の詳細はこちら
MHAM株式インデックスファンド225

日本の金融商品取引所に上場されている株式に投資する。日経平均株価採用されている銘柄の中から200-225銘柄に、原則として等株数投資を行う。日経平均株価の動きに連動する投資成果を目指します。

ファンドの詳細・注文はこちら

 

PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声”(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

免責事項

本メールマガジンに掲載している内容はお客様への情報提供を目的としたものであり、勧誘を目的としたものではありません。最終的な投資決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、掲載している内容は予告なしに変更または廃止される場合がございます。必ず楽天証券のホームページなどで最新の情報をご確認のうえ、各サービスをご利用くださいますよう、お願いいたします。

リスクと費用について

投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、申込手数料等の費用が異なり、多岐にわたりますので、詳細につきましては、それぞれの投資信託の「目論見書」「目論見書補完書面」を必ずご覧ください。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。

■投資信託の取引にかかるリスク

■投資信託の取引にかかる費用

■金融商品取引法に係る表示弊社の取扱商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。各商品等へのご投資にかかる手数料等およびリスクについては、楽天証券ホームページの「リスク説明」ページに記載の当該商品等の契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解ください。

商号等:楽天証券株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195号、商品先物取引業者
加入協会:日本証券業協会、社団法人金融先物取引業協会、日本商品先物取引協会

■楽天証券ホームページ
http://www.rakuten-sec.co.jp/

東京都品川区東品川4-12-3 品川シーサイド楽天タワー
カスタマーサービスセンター(平日8時-18時)
お手続き専用ダイヤル
0120-885-687(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3322(通話料有料)
各種商品に関するお問い合わせダイヤル
0120-41-1004(通話料無料)
携帯・PHS・050で始まるIP電話からは03-6739-3333(通話料有料)

Copyright © 2011 Rakuten Securities, Inc. All rights reserved.