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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年9月21日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/17終値)
前週末比
(9/10比)
日経平均 9,626.09 +386.92 +4.19%
NYダウ 10,607.85 +145.08 +1.39%
金利・為替 週末終値
(9/17終値)
前週末比
(9/10比)
長期金利 1.070% -0.080%
ドル/円 85.85  
ユーロ/円 112.03  

変化が期待できる流れがでてきたかも知れない

前週の総括

■抜群のタイミング行われた為替介入

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。今週の最大のトピックスは民主党代表選ではなく、その翌日についに日本が単独で為替介入に踏み切ったことです。市場関係者から聞こえてくる声は一様に「あのタイミングで介入が行われるとは思わなかった」というもので、Bloomberg.の報道によれば世界有数のヘッジファンドでさえも今回の円売り介入に寄ってかなりの損失を出した模様ということが伝えられています。それほど今回の財務省の決断は市場にとってはサプライズであったということができます。

 また介入直後の動揺が収まった段階から「単独介入に寄る効果は限定的で長続きしない」と言った市場関係者のコメントを多々見ることができ、取引時間が欧州、米国と地球を回るうちに再び円高に戻ってくるという論調も散見されましたが、結果は日銀が邦銀を使って海外でも介入を続けたこともあり、週の終値を持っても85円85銭と効果を持続させて終わっています。

 じつは結果としてドル円よりも対ユーロの方が週末対比の変化率では大きなものとなっています。前週末9月10日の為替水準はドルが84円15銭、ユーロが106円69銭ですから、対ドルでは1.97%の円安に対して、対ユーロでは5.75%の円安に振れたことになります。ただ週を通じて為替の動きで言えば、対ユーロでは円高になる局面はなかったものの、対ドルでは一時15年3カ月ぶりとなる円高水準の82円台突入も見られたことが、政府日銀の円高に対する危機感を醸成したものと思われます。野田財務相も公言されましたが、82円台というのが為替介入のトリガーになったことは間違いないようです。財務相がトリガー水準を明示してしまったことは今後の為替市場の動きに一石を投じる結果となったと思われますが、円高こそが株安の最大の理由と言われていただけに、流れが変わる兆しとなったことだけは間違いないと思われます。


(出典:Bloomberg.)

<ドル円のこの一週間のチャートです。-----------------------15日午前10時25分に82円88銭の高値を付けた後、為替介入によって一気に円安に振れていることが一目瞭然にお分かりいただけると思います。>

■日経平均株価は9,600円台を回復

 この為替介入による円安を受けて日経平均株価はおおよそ1カ月ぶりの高値となる9,600円台を回復、週の後半は売買代金もそれまでの低迷状態からやや抜け出た感じがあります。週末は3連休を控えてやや減少しましたが、それでも1兆2,492億円は8月12日以来の水準、15日の1兆6,736億円は9月限先物オプション同時SQの日の売買代金を超え、6月のSQ取引日に次ぐ水準にまで回復しています。

■菅首相続投は結果オーライ?!

 民主党代表選の結果については、事前の市場予想で世論の趨勢は菅首相続投と思われたものの、目先の状況だけ考えれば小沢前幹事長代表就任の方が、為替介入についても、積極財政論に基づく景気刺激策についても株価上昇要因になりやすいと考えられていました。しかし先述の為替介入の結果から円高修正が行われたために株価は上昇、市場は結果として菅首相続投に対して好評価を与えた形になっています。ただ為替介入が行われた15日午前10半前後以前までは事前予想の通り円高が進行し株価は下落していましたから、市場の関心が政治よりも為替動向にあったことが図らずも証明されました。もちろん、為替の単独介入が菅首相の決断であり、まさにこのタイミングを狙った政治主導のものであるとすれば話は別です。政治主導を演出したいがあまり、具体的な介入に踏み切るのに時間が掛かったという説もあるので真実は闇の中です。


(出典:Bloomberg.)

<日経平均株価の一目均衡表です。-----------------------米国株式市場のそれはNYダウ、S&P500種そしてNASDAQ総合指数揃ってすでに雲の上を遊泳中ですが、日経平均株価はご覧のように雲の中です。この雲をこの勢いで抜けられるかどうかが今週の焦点にテクニカル上はなってきそうです。>

今週のポイント

■改造内閣を市場が何と評価するかを見極める

 前回のレポートに書きましたが、問題は代表選の結果自体よりもその後の民主党政権の舵取り、先の参議院選挙以降に放置され続けてきた我が国を取り巻く山積する難題に挙党一致で対処していけるのかどうかにあると考えています。まずは発表された改造内閣の顔触れを市場がどう評価するのかということが注目です。

 「今後は一兵卒になって」と政権執行部とは明確に一線を画すことを明示した小沢元幹事長とその支持する国会議員の動静が気になります。15日に掲載した緊急レポート『為替介入は抜群のタイミングだったが気掛かりな「206対200」』に詳しく書きましたが、政治の問題点は国会議員票が206対200とほぼ拮抗する状態で着地してしまったということです。本来与党と野党が交わすべきような議論が政権与党内で交わされており、その支持がほぼ拮抗する状態にあるということは、衆参捻じれ国会の運営以前に、民主党というひとつの政党の意思決定を行う段階で障害となることは必定です。

 今回の改造内閣では小沢派は一掃されました。小沢前幹事長支持に回った鳩山派から海江田議員が経済財政担当相として入閣するなど部分的な処遇は見てとれますが「脱小沢」をかなり強く印象付けるものだと思われます。これを受けて今後小沢派の議員がどのような対応をしてくるのか、政権与党として一枚岩の運営ができるのかなどを市場は注意深く観ていくだろうと思われます。ただ幸か不幸か、市場が政治に期待している水準は決して高いものとは思われず、恐らく今後の政局がどういう展開になろうとも、極端な悲観材料にはならないだろうと思われます。

■野党との連携に注目

 市場の注目のもうひとつには今後の野党との連携にあります。自民党新幹事長の石原氏と民主党新幹事長の岡田氏とは共に自民党時代の同期当選組。すでに石原幹事長の方からは軽くラブコールが行われているようですが、ここの歩み寄りがあるとすると連立の枠組みの中にある国民新党との関係がどうなるのか、あるいは普天間問題で決裂した社民党との関係がどうなるのかということが注目されます。

 その議題の中心にあるのは「郵政改革法案」です。この問題については国民新党が強硬に押す姿勢(社民党を引き入れ、参議院で否決になっても、衆議院で再可決して法案を通すという主張をしています)を取っていますが、郵政改革法案については株式市場にとってはネガティブ要因です。つまり日本の銀行の競争力が官業により阻害されるということで銀行セクターの売り要因になります。また日本の金融市場自体が国際社会の中で歪なものという評価を受けることで、すでに外資系の進出などを阻害する方向になると評価されています。

 ただ自民党との距離を縮める中で、現状の連立の枠組みに不協和音が出てくるようだと、小沢派との内部抗争も含めて政局の流動化から新たな枠組みへという流れが起きるなど、前向きに期待できるものが出て来るかも知れません。むしろ小さくまとまってしまうよりは、ここは大きくいろいろな問題が流動化した方が、将来の日本の為には朗報になり株式市場もそれを評価していくのではないかと思われます。

■外部要因のプラスとマイナス

 ところで、欧州には引き続き火種があるようですが、ユーロの動きを見ている限りにおいてはあまりまだ深刻にならないでも良い段階かと思います。アイルランドの財政問題や金融危機についてはこのところ再三米国市場の取引時間に話題になっているようですが、ユーロ・ドルの関係を見る限りにおいて、週末はややユーロが売られたとはいうものの1.3ドル台を回復していますので、著しくナーバスな状況は切り抜けたのかも知れません。

 また米国経済の状況も、新規失業保険申請件数など雇用関係の統計には市場予想を上回るものが続いており、市場が悲観し過ぎたほどには悪い状況ではないようです。そしてこれからは中間選挙に向かって、景気回復を強く意識した発言がホワイトハウス界隈からも多く出てくることが期待されることから、このあたりもプラス要因として期待したいと思います。

 ただこの3カ月間以上にわたって放置されてきた普天間問題は解決の糸口さえ見つけられていません。またそうした状況を見計らったように、尖閣諸島問題で中国との緊張も高まっています。そうした中で、岡田外相が幹事長になり、前原前国交相が外相に横滑りすることは外交現場の継続性という点でいかがなものかとも思われます。普天間問題は沖縄における駐留米軍に関わるだけの問題という次元を超えて、遥かに大きな日米関係の根幹に触る大きな問題ですから、中間選挙を控えてオバマ大統領の周辺のテンションが高まれば高まるほど、日本としても慎重に取り扱わなければならない問題となるはずです。にもかかわらず、少なくとも小沢派の考え方は菅首相のそれとはずれているのです。これは明らかにマイナス要因となるでしょう。うまく協議を進めて欲しいものです。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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