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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2010年9月13日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第2週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/10終値)
前週末比
(9/3比)
日経平均 9,239.17 +125.04 +1.37%
NYダウ 10,462.77 +14.84 +0.14%
金利・為替 週末終値
(9/10終値)
前週末比
(9/3比)
長期金利 1.150% +0.005%
ドル/円 84.15  
ユーロ/円 106.69  

民主党代表選、それまでよりも、その後が問題だ

前週の総括

■日米10年債の金利差が救世主

 この一週間の市場の動きは上記の表の通りです。総じて振り返ると、結局為替の動向が株式市場の動向をも一週間動かし続けたという感じです。この一週間5営業日の日経平均株価の日中足の運びとドル円為替の推移とを対比させると明らかになりますが、週初84円台半ばまで売られる為替とともに一時9,300円台も回復する場面が見られましたが、週央に再び83円台前半にまで再び円高が進むと株価は下落、一時9,000円の大台も割込む場面も見られました。為替は9月8日の昼過ぎには15年振りの最高値となる83.35円をつけています。

 その後為替は週末にかけて徐々にドルが買い戻されて84円台を維持するようになりますが、株式市場の方もそれに歩調を合わせて上昇、週の高値を更新することはできませんでしたが対前週末比+125.04円となる9,239.17円で取引を終えました。米国株式市場の上昇がNYダウで前週末対比+0.14%の上昇、S&P500種でも+0.46%の上昇に留まるなか、比較的健闘した方だと思われます。

 為替の動きの背景にあるのは日米10年債の金利差です。このところの為替市場は日米の金利差に非常に相関の高い動きをしていますが、9月7日には過去1年以上を振り返って最低となる1.4594%にまで金利差が縮小する場面があり、結局これが、円が対ドルで15年振りの高値を付ける引き金となり、その後週末に向かって1.6417%にまで拡大するとドルがやや買い戻し優勢になったという流れです。為替市場の動きには政府関係者の口先介入の影響も無かったとは言い切れませんが、実際にはこの金利差の推移がほとんど全ての為替の動きを説明しています。


(出典:Bloomberg.)

<米国10年債のこの一週間の利回り推移です。-----------------------週明けはレイバー・デーで市場はお休みでしたが、その後は2.56%台まで金利が低下、その後ベージュブックなどの内容を受けて週末にかけて2.81%台まで回復しています。>

■米国経済の回復期待が市場を支える

 前週は日本の債券市場がいわゆる「小沢ショック」(財政拡大路線を標榜する小沢前幹事長の民主党代表選立候補を受けての債券市場の動揺)により10年債利回りを上昇させたことが円高の背景になりましたが、今週は前週来の米国マクロ経済の回復期待が米国10年債利回りの上昇を後押し、これにより金利差が週央、いったん2009年4月以来の低水準を記録しながらも拡大に向かったことが功を奏しました。週間新規失業保険申請件数と米貿易赤字が市場予想以上に改善したことなどが挙げられますが、米国経済指標が改善したというよりは、市場が悲観しているほどには悪くないというのが実際のところ見ることができます。

 その一方で、予想通りオバマ政権からは中間選挙を意識した追加の景気対策が順次発表されることが明らかになりました。その第一弾として向こう6年間でインフラ関連の公共投資に500億ドルを投じるというものが発表になり、また国内での研究開発に対する税制優遇の恒久化なども併せて発表されました。その規模については否定的な見方も市場にあることは事実ですが、財政に余裕のない米国政府の状況を鑑みれば将来の国家財政を無視したバラまき政策より遥かに妥当な判断であり、何より結果としてはやはりこれらを受けて過度の米国経済の先行き見通しに対する悲観論が後退した事実は認識しておくべきです。この結果、長期金利が持ち直す中で日米金利差が縮小傾向から拡大傾向へ転じ、そして為替も円高からやや円安水準に戻しました。

■欧州の金融不安が再燃し、ユーロは売られる

 一方、これに反した動きとなったのがユーロです。週明けの『The Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)誌』が8日「Tests Missed Debt at EU Lenders」と題して7月にEU(欧州連合)が実施した金融機関のストレステストの結果について"一部の銀行が南欧などの債務国の国債保有高を過少申告していた"と報じたことが火付け役になっています。ストレステストの内容についてはかねてから市場は疑義を持っており、代表的な金融紙がこの問題を報じたことが話題となっています。

 またバーゼル銀行監督委員会が2018年を目途に適用しようとしている新しい自己資本規制の導入が、日本の金融機関以上に欧州の金融機関に対して足かせになるのではないかということが欧州の金融不安に対して拍車を掛ける流れとなっています。アイルランドの財政赤字の対GDP(国内総生産)比率が従来予測の11%台から20%台に拡大するという懸念も再浮上しており、ユーロが売られる理由が再び増えつつあります。


(出典:Bloomberg.)

<ユーロの対円での1年分日足です。-----------------------8月24日に付けた最高値からいったん戻りかけましたが再び低迷しています。>

今週のポイント

■民主党代表選の結果に注目

 今週の最大の注目はやはり民主党の代表選、すなわち日本のこれから総理大臣を決める選挙の結果です。国民による直接選挙制度を導入していない日本の政治制度では、政権与党の党首が首相になることが自然の流れ(それを分離するという話もありますが、どっちの権力が上になるのか? 院政のようなものになるのか? など問題点が多く現実的とは思えません)である以上、通常は民主党の代表選で選出される党首が次期日本の首相となります。もし小沢前幹事長が選ばれれば、また首相が交代することになり、その段階での解散総選挙が無ければ自民党政権時代に野党として民主党が批判してきた事態と何ら変わらない日本の政治体制が維持されることになります。もしそうなれば、外国人投資家から見た日本の政治に対する根本的な不信感は払拭することができず、まずこの意味では「ジャパン・パッシング(日本素通り)」の流れを止めることはできないだろうと思われます。

 ただ、だからと言って菅首相が再任されれば安心かと言えば、そうとも言えないのも事実です。職業柄、市場関係者との意見交換は常にしていますが、財政拡大論者として債券市場がいわゆる「小沢ショック」を演じたこととは裏腹に、小沢氏の積極財政による景気刺激が無ければ経済は回復しないという論を展開している人も多いのも事実だからです。中長期的な日本の財政事情(公的債務の対GDP比率は世界最高で最も悪い)を危惧し改善することを志向するよりも、目先の対策が大事だという内容に聞こえますが、そう考えている人が多くいることも事実ではあります。

■代表選終了後にも注目

 代表選終了後の動向にも注目が集まる、というより、むしろ肝心なのは代表選終了後の政局展開こそ最重要だと考えます。まずひとつ目は2大政党政治と期待されて始まった民主党政権が、果たしてこの党を2分した流れの後に素直に挙党一致で一枚岩になれるかどうかという問題です。「人間は感情の動物だ」とはよく言われる話ですが、今回の一連の代表選に絡む程度の舌戦は、政治家にしてみれば“何ら感情を縺れさすことのない政治議論だった”とでも言うつもりなのでしょうか? 現在の閣僚の多くは菅首相の支持に回っていますし、相当明確に小沢批判をこの間繰り広げて来ています。代表が変われば、当然新人事が発表されるのでしょうが、そうなると多くの山積された難題解決の継続性が維持されなくなるリスクは高まります。なぜなら政治主導を標榜し、官僚による実質支配を否定しているのが民主党の基本だからです。各省庁の大臣交代には来年度予算審議などを前に行政の空白が生じる恐れがあるということです。

 また根本的な問題として、捻じれ国会の対策が今後どういう流れになるのかということも注目されます。連立の組み替え、大連立があるのかどうかなども含めて、今後の流れには大いに注目したいと思います。ただこれらにより政治空白が生じることもやはり危惧しないとならない問題です。仮に、代表選の結果を見て解散総選挙に繋がるようなことがあれば(可能性はほとんどないと思います)、本来的には日本の現状の閉塞感にとって最良の策だと思いますが、一時的に政治空白が生じることは否めません。いずれにしても、14日の2時から行われる民主党の党大会の結果については注目が集まりますが、問題はその後の状況こそ最重要課題だと考えます。今は正直、議論百出、この国が何処に向かうのか、極めて読み難い状況です。市場の低迷振りはここからきているのですから。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

※ 楽天投資塾!運用会社の“生の声"(楽天投信投資顧問公式ブログ)
http://plaza.rakuten.co.jp/toushintoushi/

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