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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年9月7日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

9月第1週

マーケット概況

株式 週末終値
(9/4終値)
前週末比
(8/28比)
日経平均 10,187.11 -347.03 -3.29%
NYダウ 9,441.27 -102.93 -1.08%
金利・為替 週末終値
(9/4終値)
前週末比
(8/28比)
長期金利 1.330% +0.020%
ドル/円 92.85  
ユーロ/円 132.50  

民主党新政権誕生の市場評価は資産ごとにまちまち

前週の総括

■株式市場はネガティブ評価?!

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。日経平均株価は週明けの前場寄り付きからわずか12分間だけは上昇し、年初来高値更新の前週末対比プラス232.86円となる10,767.00円を付けることが出来ましたが、その後は全く買いが続かず、大引は前週末対比マイナス41.61円となる10,492.53円で取引を終えました。

 その後も週を通じて見せ場は一度もなく、結局週を通じた下落幅はマイナス347.03円となり、少なくとも株式市場は民主党政権誕生をポジティブに受け止めているとは言い難い結果で週を終えました。もとより選挙の前から前回ご案内の通り、株式市場は注目の国政選挙を控えているとは思えないような国外要因に左右される展開が続いていましたが、各種世論調査を含めて大方の予想通りの結果になったことを受けて“サプライズはない”という結果にやはり終わったようです。

■出来高の減少がさらに続いている

 前回も触れましたが株式市場の売買代金の減少が気になります。この先上半期末となる9月に向かって季節のアノマリー的にも商いが減少する傾向にある中、すでに8月中から商いが細り始め、先週においては1兆2千億円台となる日が2営業日にもおよびました。市場全体の動きを表すと考えられているTOPIXで見ると下落率も日経平均株価のそれを上回るマイナス3.46%となっており、この先新政権人事などが見えてくる段階まで、多くの意味で不安の種が燻っているように思われます。

■米国雇用統計には安堵

 市場がそんな警戒感を高めたひとつの背景には4日に発表になった米国の雇用統計があります。このところ米国市場は住宅関連統計、個人消費関連そしてこの雇用状況関連についての経済統計によってアップダウンすることが多くなっていますが、6月の雇用統計が景気回復期待に水を差す結果になって市場が肝を冷やした後、前回発表になった7月分の雇用統計の改善にひとまず安堵感を抱き、今回発表になった8月分によってその継続性を見たいという流れでしたから、市場がそれに神経質になっていたのも致し方ありません。

 結果は失業率こそ前月より0.3ポイント上昇の9.7%となり1983年6月以来の最悪の水準となってしまいましたが、非農業者部門の雇用者数の減少はマイナス21万6,000人に留まり、市場が予想していたマイナス23万人よりも改善した状況で、ひとまず「先月からの傾向は継続」という評価を市場は下したようです。これを受けて週末のNY株式市場ではNYダウが前日比プラス96.66ドルとなる9,441.27ドルで終了、ひとまず週間の下落率は日経平均株価の3分の1となるマイナス1.08%で終了しています。ハイテク株のウェイトが高いNASDAQ総合指数に至ってはわずかにマイナス0.49%の2,018.78ptsと引き続き2,000ptsの大台を維持して終わっています。

■為替市場では円が強い

 一方、日本株式市場が“買い”より“売り”に振れた展開とは裏腹に、円は買われました。その結果、9月3日には一時1ドル91円台にまで入るところがあり、これを受けて外需関連の株式中心に値を下げたという見方もできなくはありません。ただややそう見るにはタイムラグがあり、さらに言えば長期金利を変動させる債券市場の動きは引き続き低位安定となっていますので、為替の変動要因については違う視点を持つべきかもしれません。

 あまり考えたくはないストーリーではありますが、次期首相となるであろう、民主党の鳩山代表の以前書かれた論文が米国内で注目され、日米関係の今後に注目が集まっている事を受けての米国側のひとつの意思表示だとしたら、今後の展開には違った目線での注意が必要になるという意味です。基軸通貨ドルを預かる米国政府にはいろいろなカードがあるということでもあるからです。「強いドルは国益に適う」とクリントン政権時代に主張したルービン元財務長官の人脈に繋がる経済キャビネットを率いるオバマ現政権との日本の新外交政策には引き続き注視していきたいと思います。


(出典:Bloomberg)

<今週のチャートは日経平均株価の1週間の動きです。---- 圧倒的な多数議席獲得で民主党新政権誕生を株式市場がポジティブ評価した時間は月曜日のわずか2時間だけでした。>

今週のポイント

■インテルの上方修正に続き、『Windows 7』法人向け好調な出足

 インテル(INTC)が第3四半期(7-9月期)の売上予測を上方修正し、従来見通し81億〜89億ドルから修正後88億〜92億ドルとした朗報に続き、9月1日よりマイクロソフト(MSFT)の新パソコン用基幹ソフトである『Windows 7』の法人向け販売が出足好調であることが報じられています。日本国内でいえば、先代となる『Windows Vista』の法人による初期導入は18社に留まりましたが、その後継となる『Widows 7』については史上最多となる163社に及ぶとのことです。

 インテルの発表した内容はマイクロプロセッサーとチップセットの需要が予想を上回るというもので、それはすなわちパソコンのハードウェアの足元の需要そのものを意味します。マイクロプロセッサーとチップセットについての詳細は、次回以降の楽天マネーサービスのブログで取り上げようと思いますが、これこそまさにパソコンのマザーボードの需要が高まっている事を示しています。

 そしてWindowsと言えば、パソコンのOS(基幹ソフト)であり、今度こそ、そのリプレイスメント需要がある程度は望めるという兆候が示されたのかもしれません。つまり法人の多くが『Windows Vista』の導入については逡巡し、その前世代である『Windows XP』を延命したがために、半導体、とりわけDRAMメーカーなどは収益的に直撃を受けたわけですが、さすがに旧世代のOSをこれ以上延命することは難しいと多くのCIO達が判断しだしたということになるからです。

 ならば大きな流れとしてはクラウド・コンピューティングなどの動きがあるとしても、まずは本流である現行のクライアント・サーバー型のウィンテル・モデルが動くことでハイテク業界は大きく息が付ける展開になれるのかもしれません。このあたりは大いに注目して見て行きたいところです。

■結論:年度末に政治空白に等しい状態にならないことを願う

 与野党が入れ替わり、政権交代が果たされ、日本の政治に新しい流れが始まるということが決まった翌週の株式市場が下落したということのインプリケーションは案外大きいものかもしれません。民主党の獲得議席が300議席を上回るという予測については、事前の新聞各紙などの世論調査で市場の大勢が予想していたことですので、それが現実となった段階で“噂で買って、事実で売る”という格言通りの流れになっただけだとの見方もできますが、違うことを市場は示唆しているように考えています。

 そのひとつが民主党政権の立ち上がりと実効性ある政策の早期実現可否への不安だと思います。すなわち、政権移行がスムーズかつ順調に進むのかということです。

 昨年11月4日、米国大統領選挙でオバマ大統領の当選が決まってからの市場の流れを思い出せば、政権移行がいかに市場展開に重要な問題であるかということは論をまちません。11月4日の大統領選挙から大統領就任式である翌年1月20日までの約2ヶ月半、時期が時期であったこともあり、現米国民主党政権移行チームの繰り出した手際は極めて鮮やかだったということが出来ます。少なくとも、ガイトナー財務長官などの経済閣僚発表までのタイミングと演出は市場を熟知したチームのそれであったと言えます。

 しかし、それでも一時はガイトナー氏のスキャンダルまがいの話が取り沙汰される局面などもあり、停滞色が出た時期があったのも事実です。それに比し日本の場合、基本的に1955年以降2大政党間での政権交代の経験は細川内閣の時以外はなく、そしてそれも短命に終わりました。今回、新首相誕生までには米国のように時間を掛けません。また連立政権誕生に伴う政策のすり合わせなど、いくつも不安材料があります。そして前述の通り、米国との外交政策などに転換が予想されています。

 こうしたことがいかにスムーズに進んでいくのか、注意深く見守っていきたいと思います。市場は、少なくとも外国人投資家達は前向きな分かりやすい変化を好みます。そして市場は同時に空白期間を嫌います。昨年の米国が「レイムダック現象」と呼ばれて動きが止まったことがそれを証明しています。今一番必要になるのは、そのスピード感と実現性だと思います。

 今週も素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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