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楽天証券ニュース[マーケット情報] | 発行:2009年6月22日 楽天証券株式会社 |
株式 | 週末終値 (6/19終値) |
前週末比 (6/12比) |
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日経平均 | 9,786.26 | -349.56 | -3.45% |
NYダウ | 8,539.73 | -259.53 | -2.95% |
金利・為替 | 週末終値 (6/19終値) |
前週末比 (6/12比) |
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長期金利 | 1.445% | -0.070% | |
ドル/円 | 96.25 | ||
ユーロ/円 | 134.28 |
先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。株価が下がって喜ぶわけではないですが、この段階での日経平均株価10,000円台回復については、前回のレポートでも、緊急レポートでも「違和感あり」と言及すべきと判断されるほどに居心地の悪いものであったため、先週の市場の動きはすんなりと受け止められるものとなりました。前週からのわずか3.45%程度の下落にバリュエーションなど定量的な側面からどんな意味があるのかといえば、ほとんどありません。ただ、10,000円を超えた途端に世間の市場コメントにもいきなり楽観論が増えたように、やはり4桁から5桁への大台代わりは、市場センチメントにとっては大きな意味があるようです。
かたわらで米国市場では、NYダウのマイナス2.95%を筆頭に、S&P500種がマイナス2.33%、ナスダック総合指数がマイナス1.69%の下落と、主要株価指数は揃って下落しています。ちょっと気になりつつあるのは、6月4日に200日移動平均線の上に出たNYダウが、再び15日に200日移動平均線が8,628.1ドルにあるところを引け値が8,612.13ドルとなって下回ってしまい、再び200日移動平均線が上蓋になってしまった可能性があることです。前回申し上げた通り、日経平均株価が10,000円を大きく越えていくためにもNYダウは9,000ドル台に乗って欲しいところであり、その手前での足踏み状態は日本市場の長期的な展望にとっても喜ばしくない話です。
このところ市場の話題となり、また株式市場にとっても目が離せない問題となっていたのが長期金利の急騰ですが、先々週米国長期金利が4.0%の大台に乗せ、日本の長期金利も1.5%台半ばまで上昇した流れから、少し状況は改善してきたようです。米国金利の方は17日には3.578%にまで下落(債券価格は上昇)して週末は3.781%、日本の新発10年国債の利回りも週末1.445%と前週末に比べて0.070%の下落となって終わっています。来週も引き続き米国債の大量入札が行われるため、23、24日に行われる米国米連邦公開市場委員会(FOMC)での長期国債買い入れについての連邦準備理事会(FRB)の“意思表示”が注目を集めるところとなっていますが、バーナンキ議長が微妙な舵取りを見せてくれるものと期待しています。
先週初め15日のNYダウは187ドル安の急落となりましたが、きっかけは上海市場で銅相場が値幅制限いっぱいまで下落したことを嫌気して原油や金属相場が下落、商品関連株に売りが出たことです。銅の最大消費国である中国で供給が需要を上回るとの思惑が銅売りの背景にあり、これを受けて世界的な株安となりました。
「景気回復⇒商品相場上昇」という図式が、ファンド勢を中心に投資家のリスク許容度回復という解説と共に語られてはいますが、実需の裏付けが無いと危ういものだということの証左かもしれません。実際、原油先物の買いポジションを現引きすると“原油”そのものが手に入ります。売りポジションならばその逆で“原油”を引き渡さなければなりません。商品市場の取引は単純に差金決済でロール・オーバーしていく株価指数先物とはちょっと建付けが違っているわけですが、こうしたインフレの兆候となる市場の動きが、昨夏までの単純なマネーゲームの様相とは違ってきているように見えることは、良い流れへの兆候と見ています。
(出典:Bloomberg)
<今週の1枚目のチャートは金価格(ドル/オンス)のこの1年間の日足です。----- この1年間で3度目の1,000ドル挑戦もやはりというか、取り敢えず打ち返されています。>
(出典:Bloomberg)
<今週の2枚目のWTI原油先物中心限月の1年間の日足です。----- 水平線は72ドルを示していますが、需要が追い付かない以上、足踏みしています。>
目下の為替市場、注目材料のひとつは「米国の財政赤字の行方」に違いありません。金融危機に続いて、デトロイトにも資金をつぎ込み、それらを含めて財政赤字を埋めるために「ドルを刷りまくっている」からというのがドル不信の根源にある発想です。ゆえにその財源確保のための国債入札がどうなるかということで債券市場の需給が変わり長期金利が上昇したり、一方、FOMCで国債の買い入れが発表になるかどうかで、長期金利は下がるかもしれないがドルへの信認は低下するという議論に発展したりするわけですが、それだけでは説明がつかない動きが為替市場で始まっているように見ています。その理由は欧州の状態にあります。
米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが18日に発表したところによると、イタリアの金融機関21社が事業環境の「著しい悪化」を理由に格下げになるようです。同社がイタリアで格付けを行っているのは47社におよびますが、そのおおよそ半分に当たる21社の格下げはある意味尋常ではないとも言えます。同社の発表によれば「イタリアの銀行は過去30年で最悪のリセッション(景気後退)に直面している」とのことですが、こうした英語圏以外の状勢はあまり報道されることがありません。故に市場にとって、ユーロ圏の状勢は今回の件はともかくとしても、この先“突然の出来事”になる可能性が多々あると思われます。そしてこれらを微妙に為替市場は織り込みつつあるというのが見立ててです。
日本の株式市場一つとってみても、日経平均株価や東証TOPIXは下落している一方で、東証マザーズ指数やJASDAQ総合指数などは週を通じてプラスの展開となっています。またかねてより注目しているNYダウとナスダック総合指数の本年1月20日(オバマ大統領の就任式)以降のスプレッドは、さらに拡大して19.40%となってナスダックがリードを広げています。大きな全体感としては「市場はデジャブを見ている」というのが引き続きの考え方ですが、決め打ちは避けながら「Touch & Go」で収益を細かく積み重ねていくような方法が有効な状態がもうしばらく続くと考えています。市場間、銘柄間で相当な跛行色がつくと思われます。つまり、アクティブ系のファンドマネジャーの腕の見せどころがそろそろ始まるかも知れないということです。市場全体がリバウンドする時はパッシブ運用などの指数プレイヤーにアクティブ運用は勝てません。ただ、指数の上値が限られ始めたり、重くなったりしてくると、銘柄選択の選球眼が試されます。
今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。
楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。
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