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楽天証券ニュース[マーケット情報] 発行:2009年6月15日 楽天証券株式会社

楽天証券

楽天投信投資顧問 CEO兼最高運用責任者が、1週間のマーケットに鋭く斬り込む! 大島和隆からの手紙

6月第3週

マーケット概況

株式 週末終値
(6/12終値)
前週末比
(6/5比)
日経平均 10,135.82 +367.81 +3.77%
NYダウ 8,799.26 +36.13 +0.41%
金利・為替 週末終値
(6/12終値)
前週末比
(6/5比)
長期金利 1.515% +0.020%
ドル/円 98.42  
ユーロ/円 137.95  

お祭りはまだ続くのか?

前週の総括

■日経平均株価10,000円台回復

 先週の主な市場の動きは上記の表の通りです。先週の最大のトピックスは日経平均株価が取引時間中では木曜日(11日)、終値ベースでは週末金曜日(12日)に大台10,000円を回復したことです。緊急レポートもお送りいたしましたが、市場はある種のお祭り状態の勢いで指数の大台代わり成し遂げました。5桁の日経平均株価を見るのは昨年10月7日以来となりますので、まさに8カ月ぶりの“偉業”達成ということになります。売買代金も週末は先物とオプションの同時SQだったという特殊要因はありますが、この1年間で3番目となる2兆9,562億円にまで膨れ上がりました。第1位は昨年6月13日で4兆405億円、第2位は9月12日の2兆9,747億円で共に先物とオプションの同時SQの日となります。ちなみに12月のSQは14位、年間の平均は1日当たり1兆7,391億円ですから、週末がいかにこの1年間で飛び抜けた結果であるかお解りいただけるかと思います。

■慎重姿勢をいまだ変えられない理由

 日経平均株価の直近終値ベースの安値は3月10日の7,054.98円ですから、この間の単純な上昇率は43.67%にも達します。この10年間で最大の値上がり率となった2005年の年間上昇率は40.61%、ITバブルで沸き立った1999年でさえ37.41%ですから、上昇率からみてもいかにこの3カ月間の戻りが大きいかがお解りいただけるかと思います。いまだ今年の上値目途は11,000円としたままでおりますが、仮に日経平均株価がこの勢いの中で11,000円台を回復するとなると、それはさらにここから12%以上も上乗せとなる55.92%もの上昇率となります。どこまで景気回復期待を市場が織り込もうとし、また投資家のリスク許容度が上昇したかによるのかもしれませんが、少なくともすでにバリュエーションの議論は成り立たない水準を遥かに超えており、私が慎重姿勢を崩せない最大の理由となっています。

■金融危機本家である米国株式市場は上昇していない

 今回の一連の金融危機の発信源ともなった本家米国市場の動向はどうかと言えば、週間を通じたNYダウの上昇率はわずかに0.41%、S&P500種に至ってはさらに下回る0.33%であり、このところ好調なパフォーマンスをあげているNASDAQでさえも0.51%上昇に留まります。ちなみに、東証マザースはNASDAQの10倍以上にあたる先週5.59%も上昇しており、日本経済と米国経済の“デカップリング論”でも唱え切らない限り、“株価指数のお祭り”という認識を超えられないように考えます。

■長期金利、原油価格、CRB指数など

 長期金利の上昇に歯止めが掛らないということは各種報道にもある通りで、G8主要8カ国の財務相会合でもその懸念が取り上げられています。先週は米国債の入札が続きましたが、米国の財政悪化懸念と債券需給の悪化懸念とが重なり11日は10年債利回りが一時4%を超える水準まで上昇しています。また、ほぼ同じタイミングでニューヨーク原油先物相場では米国産標準油種(WTI)7月渡しが高値73.23ドルを付け、翌12日には終値ベースで昨年11月上旬以来の高値となる1バレル=72.04ドルとなりました。これらを受けて、当然と言えば当然なのですが、商品価格の総合的な値動きを示していると考えられるCRB指数も266.17と7カ月ぶりの高値水準まで上昇してきています。

 日本においても新発10年物国債の利回りが11日には1.550%と昨年10月初旬の水準まで上昇、短期金利(無担保コールの翌日物)は引き続き0.10%前後の低水準に抑えられてはいるものの、長期金利の上昇は顕著になりつつあります。この1週間で見る限り、為替水準は大きな変化はありません。


(出典:Bloomberg)

<今週の1枚目のチャートは米国債10年物のこの1週間の利回り推移です。----- 10日に4%ギリギリまで上昇したのち、11日に4.004%と最高値をつけました。終値は3.792%となっています。>


(出典:Bloomberg)

<今週の2枚目のチャートはNYダウのこの1年間の日足です。----- 9,000ドルの水準に水平線を引きましたが、本家がこの水準を取り戻すことが大事かと…。>

今週のポイント

■NYダウに9,000ドルを超えて欲しい

 添付の2枚目のチャートをご覧いただければ一目瞭然ですが、今回のサブプライム・ローン問題に端を発した金融危機、そして世界的な景気減速の流れの本家本元である米国で、その株価指標として最も代表的なNYダウが昨年“秋”の水準をまだ回復していません。また9,000ドルを前に、その上昇率が徐々に低下しカーブが緩やかになってきています。日経平均株価の場合もそうですが、個別銘柄の株価コンポジットである株価指数に特別な意図は無いと思われがちですが、大台代わりにはそれなりに何かがあるものです。このまますんなりとNYダウが9,000ドルを回復してくれるのか、それとも足踏みを続けて何かの悪材料を違った目線で織り込もうとするのか、まずは注目です。

■安心出来るひとつのタイミング目途

 緊急レポートにも書きましたが、現在の日経平均株価の水準をバリュエーションの側面から正当化するのはかなり骨が折れます。それが可能になるひとつのタイミングは4-6月期決算が発表になる7月中旬以降です。すなわち4-6月期の企業収益を見て、1-3月期でやはり企業業績的にはボトムを形成したことが証明されれば、またそれは当然来年2010年4-6月期の収益予想の前提ともなりますので、目線が2011年3月期に飛ばすこともできるようになる可能性があります。これらによって現在の予想PER43.15倍(日経平均株価予想ベース)の次の年度の数字を描き始めるかもしれないからです。

 しかしながら、このタイミングは両刃の剣かも知れません。つまり4-6月期決算の数字が「1-3月期がボトムとなった」ことを証明できないケースです。当然市場は本当のボトムを探すことになります。その際、現状の長期金利の水準や原油価格の水準などは、その足を引っ張る大きな要因になってしまいます。テクニカルな過熱感も問題になってしまうかもしれません。

■結論:市場はデジャブを追い掛けている

 日本の郵政民営化問題がそうであるように、大きな構造改革は一度ではなし得ないのかも知れません。たとえ民主主義国家のそれが選挙の結果として表れた、つまりその時点における国民の総意として示されたものであっても、時間の経過と共に一部の政治家達や既得権益を守ろうとする勢力などのために、揺り戻して、元の形に戻ろうとする「いつか見たデジャブ」を追い掛けるものなのかもしれません。

 今回の金融危機の流れの中で、米国一極集中の経済構造が崩れ、またITバブル崩壊後に始まったクレジット・バブルも崩れ、世界が大きな構造転換をしようとしていることは異論の無いところだと思われますが、今足元の資本市場、株も債券も、そして原油などの商品市場もいったんは「いつか見たデジャブ」をまた追い掛けているように思われます。中国経済や新興国経済が取って代わるというシナリオを描いての新興国市場の株価形成であり、商品価格の動きのようですが、中国経済が4兆元の経済対策で外需無くして内需振興できるのかは疑問が残ります。ロシアの株価が年初の安値から2倍に跳ね上がった原油価格に高い相関をもっていることは明らかです。しかし原油の需要そのものはまだ伸びていません。

 これらを総じて「投資家のリスク許容度が増したから」と言い切ってしまうのは簡単ではありますが、ここははやる気持ちをぐっと抑えておくタイミングだと考えています。「全軍出陣!」と太鼓を叩くよりは、今しばらくは短期の局地戦、ゲリラ戦法で行くべきかと思います。今週のひとつの注目材料は、16日発表の「米国5月の住宅着工件数」です。市場予想を下回るようだと調整モードになる可能性が高いと思われます。

 今週もいろいろなことがあると思われますが、素晴らしい一週間になることを願っています。

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PROFILE

大島和隆

楽天投信投資顧問株式会社 CEO兼最高運用責任者
約20年間にわたり、欧米の企業も自ら訪問調査するファンドマネージャーとして活躍。日本企業を外から見た目線で評価する独自の判断にこだわってきた。
2008年6月、楽天証券経済研究所チーフストラテジストに就任。2009年4月から現職。運用サイドからの投資情報を発信。

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