最近、トルコや中国、南米諸国など新興国経済を取り巻く環境が厳しくなっていると感じる方は少なくないのではないでしょうか?
しかし、長期投資を考えるうえで、成長市場である新興国への投資は重要な投資先の一つと考えられます。なぜ、長期投資において新興国投資が重要なのでしょうか?それは簡単です。新興国は先進国と比べ高い成長が期待できる市場だからです。
経済が成長するということは、その国の価値や魅力が高まるということです。新興国のような高い経済成長が期待される国・地域には、多くの人が投資、つまりお金を振り向ける傾向にあります。その結果、その国の資産価値は上昇し、投資においてもリターン獲得期待が高まります。
また、新興国は豊富な人口を有しており、人口構成も労働人口(経済の中心層)に厚みがある国が少なくありません。経済の成長は、賃金や生活水準の向上をもたらし、その結果モノやサービスの購入(つまり消費の拡大)につながります。そうすると、経済はさらに活発化し、国の経済に好影響を与えます。
しかし、その成長を実感するには時間が必要です。なぜなら、経済は高い成長を遂げていても、短期的には先進国経済や金融政策、その他の状況に左右されやすいためです。
人で例えてみましょう。人は一生の中で成長し続けます。しかし、年齢を重ねるごとに成長のスピードは緩やかになります。一方で、子供の成長は早いものです。毎年体も大きくなり、身につける知識や経験も大人とは比になりません。
しかし、成長の過程ではけがや病気をしたり、困難に当たることで立ち止まることもあります。新興国は子供の成長と一緒で10年後、20年後に振り返ってみると、成長が実感できると思います。
新興国は、IMF(国際通貨基金)等が発表するGDP成長率を見てもお分かりの通り、今後も高い経済成長が期待されています。しかし、その成長の過程ではさまざまな要因で成長が緩やかになったり、いったん止まってしまうこともあります。足元は成長が少し足踏みしている状況かもしれません。
最近の新興国を見てみると、先進国(特に米国)において金利が上昇基調となっていることから、これまで高金利国として投資家の資金を集めていた状況が一転し、新興国から資金が流出傾向となり、新興国株も下落基調になっています。最近注目を集めているトルコでは金利以外にも米国との関係悪化も重なって通貨が大きく下落し、株や債券もマイナスとなっています。
このように新興国投資では、国内要因以外にも海外要因が資産価値に悪影響を及ぼすこともありますが、先ほどご説明した通り、成長する過程ではこのような経験も避けられません。
長期投資では新興国への投資も重要ですが、短期的な動きも考慮した資産運用が必要といえます。つまり、リスクも考慮した資産運用です。
新興国株ファンドを保有/購入しつつ、新興国株ファンドと相性のいいファンドを組み合わせて、「保有資産全体で運用」することを考えてみるのはいかがでしょうか? 今回は、皆様の運用のヒントとして新興国株ファンドと相性のいい資産をご紹介したいと思います。
新興国株ファンドと相性が良い資産クラスは、先進国債券(為替ヘッジあり)だと考えられます。
組み合わせを考える際、重視したいのが異なる値動きの資産を併せ持つことです。そこで注目したいのが「相関係数」です。相関係数とは、簡単にいうとそれぞれの資産の動きの方向を数値化したもので、「1~-1」で表します。相関が高い(1に近い)ほど2つの資産は同じ動きをし、相関が低い(-1に近い)ほど2つの資産は逆の動きをするという感じで、分散投資を考える場合には、相関が低いもの同士を組み合わせると良いとされています。
5年の相関係数を見ると、新興国株と先進国債券(為替ヘッジあり)の5年の相関係数は、「-0.09」とほぼ相関がない(お互いの動きに関係なく動く)と言えます。
また、リスクとリターンにも着目し、組み合わせることで効率的なリターンの獲得が出来るかという点も重要です。過去5年の新興国株のリスク/リターン(年率、円ベース)は、「リスク:15.3%」「リターン:8.4%」でしたが、先進国債券(為替ヘッジあり)のリスク/リターン(年率、円ベース)は、「リスク:2.8%」「リターン:2.1%」でした。仮に新興国株50%、先進国債券(為替ヘッジあり)50%で試算すると、「リスク:7.7%」「リターン:5.5%」となり、新興国株100%と比べ、リターンは若干低下しますが、リスクを大きく引き下げることができ、より効率的なリターンの獲得が可能となります。
長期投資としては、新興国株への投資は適していると考えられることから、次のステップとして、為替変動にも注目しつつ、「保有資産全体で運用」の観点で新興国株と付き合っていくのはいかがでしょうか?
過去5年のパフォーマンスの推移(2013年7月~2018年7月、月次、円ベース)
Bloombergのデータを基に楽天証券作成
新興国株:MSCIエマージング株指数(円ベース)、先進国債券(為替ヘッジあり):バークレイズ・グローバル総合指数(除く日本、円ヘッジ)
下記は、楽天証券の取扱ファンドのうち、先進国債券(為替ヘッジあり)ファンドの一部を紹介するものであり、ファンドの購入を推奨するものではありません。投資に当たっては、ファンドの中身を十分ご理解のうえ、ご投資いただきますようお願いします。
UBS 公益・金融社債ファンド(年1回決算型・為替ヘッジあり)
運用会社 UBSアセット・マネジメント
「UBS公益・金融社債マザーファンド」への投資を通じて、主として世界の公益関連企業および金融機関が発行する債券に投資を行う。マザーファンドを通じた公社債への投資については、原則、購入時において主要格付け機関よりBBB-/Baa3以上の長期格付けが付与された銘柄に投資を行う。実質外貨建資産については、原則、対円でヘッジを行う。
三井住友・公益債券投信(資産成長型)
運用会社 三井住友アセットマネジメント
主として、「DWS 世界公益債券ファンド(適格機関投資家専用)」への投資を通じて、主に電力、ガス、水道等を供給する世界各国の公益企業・公社が発行する債券に投資する。その他の日常生活に密接なサービスを行う企業が発行する債券にも投資する。投資対象は、取得時において原則BBB格相当以上の投資適格債とする。原則として対円での為替ヘッジを行う。
たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>
運用会社 アセットマネジメントOne
「為替フルヘッジ外国債券パッシブ・ファンド・マザーファンド」を通じ、主として海外の公社債に実質的に投資し、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジあり)に連動する投資成果をめざす。実質外貨建資産については、原則として対円での為替フルヘッジを行う。
楽天証券分類「先進国債券(広域・高格付)-為替ヘッジ有り」のうち、ファンドスコア(3年)で5ないしは4のスコアのファンドから抽出
また、インデックスファンドは、同分類のうち純資産総額が最も多いファンドを抽出
投資信託は、商品によりその投資対象や投資方針、買付手数料等の費用が異なりますので、当該商品の目論見書、契約締結前交付書面等をよくお読みになり、内容について十分にご理解いただくよう、お願いいたします。
各商品は、銘柄ごとに設定された買付又は換金手数料(最大税込4.40%)およびファンドの管理費用(含む信託報酬)等の諸経費をご負担いただく場合があります。また、一部の投資信託には、原則として換金できない期間(クローズド期間)が設けられている場合があります。
買付・換金手数料、ファンドの管理費用(含む信託報酬)、信託財産留保額以外にお客様にご負担いただく「その他の費用・手数料等」には、信託財産にかかる監査報酬、信託財産にかかる租税、信託事務の処理に関する諸費用、組入有価証券の売買委託手数料、外貨建資産の保管等に要する費用、受託会社の立替えた立替金の利息等がありますが、詳細につきましては「目論見書」で必ずご確認いただきますようお願いいたします。
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