Vol.2 USハイ・イールド債券ファンドの次の一手

1.USハイ・イールド債券ファンドの足元の状況

「魅力的な利回りで、高い分配金を受け取れる」、「個人では投資が難しいが投資信託なら投資が出来る」ことなどで人気となった、USハイ・イールド債券ファンド。US REITファンドと同様に投資を行っている方は多いのではないでしょうか。

USハイ・イールド債券は、格付けがBB+以下と低い格付けが付与されている米ドル建ての社債のことで、格付けが低い分、金利が高い債券です。米国では多くの企業が発行していますが、日本国内では、低格付けの債券はほとんどないため、日本の投資家は投資信託を通じて主に米国企業が発行する米ドル建てのハイ・イールド債券に投資を行っています。USハイ・イールド債券は、債券であるため発行体(債券の発行企業)がデフォルト(債務不履行)にならなければ、元本が戻ってきます。しかし、債券といえども満期までの期間は価格は変動します。

USハイ・イールド債券は、格付けの高い債券と比べ景気や企業業績の影響を受けやすく、株式に近い値動きとなります。米国を中心に景気や企業業績は良好なため、USハイ・イールド債券の投資環境としては悪くないかも知れません。しかし、思ったほど基準価額が上昇しなかったり、分配金が下がっていると思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

要因としては、多くのUSハイ・イールド債券ファンドは為替ヘッジを行わないタイプのものなので、為替変動の影響を受けます。2018年は円高の影響で、基準価額が下落しています。また、市場予想を下回る経済指標や企業業績などの発表があると想定以上に価格が変動する場合もあります。分配金に関しては、過去と比べ金利水準が低いため低水準となっています。

そこで、本来の投資目的を改めて振り返ってみて、USハイ・イールド債券ファンドを保有/購入しつつ、USハイ・イールド債券ファンドと相性のいいファンドを組み合わせて、「保有資産全体で運用」することを考えてみるのはいかがでしょうか? 今回は、皆様の運用のヒントとしてUSハイ・イールド債券ファンドと相性のいい資産をご紹介したいと思います。

2.USハイ・イールド債券ファンドと組み合わせるならこんな資産

USハイ・イールド債券ファンドと相性が良い資産クラスは、国内債券を組み合わせたバランスファンドだと考えられます。

組み合わせを考える際、重視したいのが異なる値動きの資産を併せ持つことです。そこで注目したいのが「相関係数」です。相関係数とは、簡単にいうとそれぞれの資産の動きの方向を数値化したもので、「1~-1」で表します。相関が高い(1に近い)ほど2つの資産は同じ動きをし、相関が低い(-1に近い)ほど2つの資産は逆の動きをするという感じで、分散投資を考える場合には、相関が低いもの同士を組み合わせると良いとされています。

USハイ・イールド債券と国内債券の5年の相関係数は、「-0.46」といわゆる逆相関(逆の動きをする傾向が強い)の関係にあります。しかし、国内債券は低金利環境かつ日本銀行が金利を実質的にコントロールしていることから、リターンを得にくい資産といえます。そこで、国内債券に加え、国内株式などリターンを生み出しやすい資産を組み入れている、国内資産中心のバランスファンドと組み合わせることで、為替変動リスクを低減しつつ、値動きを安定させるポートフォリオの構築が可能となります。

また、リスクとリターンにも着目し、組み合わせることでリスクの低減および効率的なリターンの獲得が出来るかという点も重要です。過去5年のUSハイ・イールド債券のリスク/リターン(年率、円ベース)は、「リスク:10.3%」「リターン:7.2%」でしたが、仮にUSハイ・イールド債券50%、バランスファンド50%で試算すると、「リスク:6.6%」「リターン:4.8%」となり、リターンは下がりますが、リスクも大きく下げることができ、値動きを安定させつつより効率的なリターンの獲得が可能となります。

USハイ・イールド債券の投資妙味は依然あると考えられることから、次のステップとして、「長期投資」の観点でUSハイ・イールド債券ファンドと付き合っていくのはいかがでしょうか?

  • バランスファンドは国内債券70%、国内株式30%で簡易的に計算。

過去5年のパフォーマンスの推移(2013年4月~2018年4月、月次、円ベース)

Bloombergのデータを基に楽天証券作成
USハイ・イールド債券:BofA メリルリンチ米国ハイイールド・マスターIIインデックス
国内債券:野村BPI総合
国内株式:TOPIX(東証株価指数)(配当込み)

  • 全て円ベース
  • 上記は過去の実績を基に作成したものであり、将来のパフォーマンス等を保証するものではありません。市場動向等によっては上記のようにならない場合もあります。

3.組み合わせファンドの一例

下記は、楽天証券の取扱ファンドのうち、バランスファンドの一部を紹介するものであり、ファンドの購入を推奨するものではありません。投資に当たっては、ファンドの中身を十分ご理解のうえ、ご投資いただきますようお願いします。

東京海上・円資産バランスファンド(年1回決算型) 運用会社 東京海上アセットマネジメント

主に複数のマザーファンドを通じて、国内の複数の資産(債券、株式、REIT)に分散投資する。各資産への配分比率は、日本債券70%、日本株式15%、日本REIT15%を基本とするが、基準価額の変動リスクが大きくなった場合には、同リスクを年率3%程度に抑制することを目標として、株式とREITの資産配分比率を引き下げ、その部分は短期金融資産等により運用する。

注文 積立

ハイパーバランスオープン 運用会社 アセットマネジメントOne

「ハイパーバランスオープンマザーファンド」への投資を通じ、日本の株式及び公社債に投資。公社債への投資は景気・金利動向等を勘案。株式はファンダメンタル指標等をもとに、企業の成長性、収益性等を勘案して銘柄選定。実質組入比率は、それぞれ40%程度。市況環境、ファンドの資金動向などに応じ、機動的・弾力的に調整を行う。先物・オプション取引などを適宜活用する。

注文 積立

アセット・ナビゲーション・ファンド(株式20) 運用会社 日興アセットマネジメント

主として、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券に各々投資するマザーファンドへ投資する。マザーファンドへの投資比率を調整し、実質組入比率は、株式20%、債券等80%とする。外貨建資産については、一部為替ヘッジを行う。

注文 積立

楽天証券分類「バランス(可変配分)-為替ヘッジ有り 」、「バランス(固定配分・低リスク)-為替リスク低減」のうち、ファンドスコア3年で「5つ星」のファンドから抽出(毎月分配型を除く)

  • 上記は2018年5月8日時点の情報を基に作成しております。

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