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2014年12月30日

第一章 ETFとは?

ETFとは?

ETFはエクスチェンジ・トレーデッド・ファンドの略で、そのまま訳すと「取引所で取引される投信」という意味です。

米国で最初のETFはSPDR S&P500 ETF(ティッカーシンボル:SPY)で、1993年に上場されました。

それ以降、ETFの市場は急拡大を見ており、米国投資会社協会(ICI)によると2014年7月の時点で米国のETFの数は1,375、総資産は1.8兆ドルにのぼっています。

つまりETFは大ヒット商品なのです。

世界のETFの総資産の72%はアメリカにあります。

それは海外ETFに投資することで、巨大で、流動性の高いマーケットに投資できることを意味します。もちろん日本の証券市場にもETFは上場されているわけだけれど、私が海外ETFに投資した方がずっと良いと考える理由は、ここにあります。

大ヒットの背景

ETFはなぜこれほどまでに成功したのでしょうか? それは率直な言い方をすれば「既存の投資商品より、ダントツに優れモノの商品だったから」ということに尽きます。つまり成功すべくして成功したわけです。

どこが「ダントツに優れモノ」なのか?

それではETFのどこが「ダントツに優れモノ」なのかという点を説明します。ポイントは次の5点になります。

  • 購入タイミングが自由
  • フィーが安い
  • 米国の投信税制の不利益を受けない
  • 透明性が高い
  • ポートフォリオを組む際の利便性

これらについては少し言葉を足して説明する必要があるかと思います。

購入タイミングが自由

まず購入タイミングが自由なことですが、このメリットは個人投資家の方々が、わかっているようで、実はあまりわかっていない大事なポイントです。

従来の投資信託の場合、一日が終わって、株式市場が閉まった後で、基準価格というものを計算します。別の言い方をすれば、投資信託の価格は、一日に一回しかつかないのです。

仮にある日、相場を眺めていて、マーケットが急騰したとします。その場合、もし前日の投信価格で投信を購入することが出来るのであれば、これほど美味しい話はないですよね?

でもそれを許すと既にその投信を購入し、保有し続けてきた既存の投資家に不公平になります。

このため日中に投資信託の買い注文を入れた投資家は、その日の引け後に計算される、急騰後の値段で投資信託を買い付けるルールになっています。その場合、日中は自分が買い付ける際の基準価格がわからないままに注文を入れるということから、これを「ブラインド(盲目)方式」と呼びます。

ブラインド方式では、相場が急騰したからといって慌てて注文を出しても、その日、マーケットが上がった後の値段でしか買えないのです。また相場が急落している日に慌てて売り注文を出したとしても、その日、マーケットが下がった後の値段でしか逃げることは出来ません。

こう書くと皆さんは(僕はデイトレーダーじゃない。だからそんな細かいことは関係ない)と思われるかもしれません。しかしブラインド方式は自分の買付値段がわからないままに発注する方法ですからあなたが厳密に買いコストを管理することは不可能なのです。

いまマーケットが日中に1%上がったり、下がったりすることは、日常茶飯事です。するとこれだけで下手をすれば一年間の運用フィーに匹敵するようなコストを被りかねないのです!

その点、ETFは株式と同じで株式市場が開いている間、リアルタイムの値段で購入、売却が出来ます。だから自分の納得のいくピンポイントの値段(指値)ないしは時間(成り行き注文)で取引が出来るのです。本当にコストにシビアな投資家は、ちゃんと指値をして自分の納得の行く値段でETFを買っています。

フィーが安い

ETFは基本、インデックス・ファンドです。インデックス・ファンドは、別名、パッシブ運用と言われる場合もありますが、単に株価指数をなぞるように設計されています。もっと踏み込んだ言い方をすれば、ファンドマネージャーの銘柄選択の腕前は、関係ないのです。

銘柄を選定しないということは企業調査などの手間もかからないわけで、ロー・コストにファンドを運営することが出来ます。

下はファンドのタイプ別の費用比率を比較したグラフです。米国投資会社協会(ICI)の調査では2013年のアクティブ運用の平均費用比率は0.89%でした。

これに対してインデックス・ファンドの平均費用比率は0.12%、そして世界で最もポピュラーなETFで、アメリカの代表的株価指数であるS&P500指数をなぞるように設計されているSPDR S&P500 ETFに至っては、費用比率は僅か0.09%に過ぎません。

次にETFは新規顧客がニュー・マネーでファンドを購入した際、ファンドの資産が増えた分だけそれに呼応する株式を購入するコストが外部化されています。これはむずかしい概念なので、第二章で詳しく説明することにします。

米国の投信税制の不利益を受けない

ETFのもうひとつの優位性は米国の投信税制の不利益を受けない点にあります。

いまファンドがその中に組み入れられている銘柄を売却した場合、それが利益になればキャピタルゲイン課税の対象になります。これはインデックス・ファンドの場合でも例外ではありません。

(でも自分がインデックス・ファンドを解約するまでは、銘柄は売却しないだろう?)

投資家は、そう考えがちです。

しかし、この理解は正しくありません。自分とは何の関係もない他の投資家が、インデックス・ファンドを解約して現金を引き出せば、運用会社は解約に応じるためのキャッシュをこしらえるべく、ファンドで保有している株式の一部を売らなければいけないのです。

若しそのときにキャピタルゲインが発生したら、売らずにずっとファンドを持ち続けた投資家も、キャピタルゲイン税を払わないといけないのです。つまりキャピタルゲイン税を払うことは、そのファンドに投資しているメンバー全員の責任になるのです。

これに対してETFは税法上、普通株と同じ扱いを受けます。つまり自分がそのETFを売却しない限り、キャピタルゲインは発生しないのです。

透明性が高い

ETFの利点は透明性が極めて高い点にあります。ETFは、その仕組み上、毎日、そのETFを構成している銘柄ならびに個々の比重を公表しなければいけません。(これをポートフォリオ・コンポジット・ファイルといいます)

これに対して投資信託は年に2回しか開示が義務付けられていません。もちろん、多くの投信は月次レポートを公表していますが、月末直前に顧客レポートに載るときまりの悪い銘柄を処分するなどのウインドウ・ドレッシング(=ポートフォリオのお化粧)が行われることも多いです。

ETFの場合、毎日、きっちりとポートフォリオが公表されるため、運用は極めて透明です。

ポートフォリオを組む際の利便性

ETFは上で論じたように中身が透明であり、投資家が何に投資しているのかが一目瞭然です。

それに加えて取引所に上場されている関係で、必要な時、自分の考えるタイミングでポジションを立てたり処分したりすることが出来ます。

ETFには株式だけでなくコモディティや債券に投資できるものもあり、銘柄は多岐にわたっています。

これらのことはETFがポートフォリオを組む際に、極めて便利な投資対象であることを示唆しています。

本資料は情報提供を目的としており、投資等の勧誘目的で作成したものではありません。お客様ご自身で投資の最終決定をおこなってください。本資料の内容は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手・編集したものですが、その情報源の確実性まで保証するものではありません。なお、本資料の内容は、予告なしに変更することがあります。

広瀬隆雄

「海外ETFデビュー講座」

このシリーズは(経済の勉強を兼ねて、株式投資に挑戦してみようかな?)と考えている初心者のために書き下ろしました。執筆するにあたり、わかりやすく、すぐに役に立ち、身近に感じられることに特に留意したいと思います。その分、全てを網羅(もうら)できない面があるかも知れませんが、それはご容赦ください。

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外国株式のリスクと費用について

外国株式等の取引にかかるリスク

外国株式等は、株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。また、為替相場の変動等により損失(為替差損)が生じるおそれがあります。上場投資信託(ETF)は連動対象となっている指数や指標等の変動等、上場投資証券(ETN)は連動対象となっている指数や指標等の変動等や発行体となる金融機関の信用力悪化等、上場不動産投資信託証券(REIT)は運用不動産の価格や収益力の変動等により、損失が生じるおそれがあります。

レバレッジ型、インバース型ETF及びETNのお取引にあたっての留意点

上場有価証券等のうち、レバレッジ型、インバース型のETF及びETN(※)のお取引にあたっては、以下の点にご留意ください。

  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNの価額の上昇率・下落率は、2営業日以上の期間の場合、同期間の原指数の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じたものとは通常一致せず、それが長期にわたり継続することにより、期待した投資成果が得られないおそれがあります。
  • 上記の理由から、レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、中長期間的な投資の目的に適合しない場合があります。
  • レバレッジ型、インバース型のETF及びETNは、投資対象物や投資手法により銘柄固有のリスクが存在する場合があります。詳しくは別途銘柄ごとに作成された資料等でご確認いただく、またはコールセンターにてお尋ねください。

※「上場有価証券等」には、特定の指標(以下、「原指数」といいます。)の日々の上昇率・下落率に連動し1日に一度価額が算出される上場投資信託(以下「ETF」といいます。)及び指数連動証券(以下、「ETN」といいます。)が含まれ、ETF及びETNの中には、原指数の日々の上昇率・下落率に一定の倍率を乗じて算出された数値を対象指数とするものがあります。このうち、倍率が+(プラス)1を超えるものを「レバレッジ型」といい、-(マイナス)のもの(マイナス1倍以内のものを含みます)を「インバース型」といいます。

米国株式の信用取引にかかるリスク

米国株式信用取引の対象となっている株式等の株価(価格)の変動等により損失が生じるおそれがあります。米国株式信用取引は差し入れた委託保証金を上回る金額の取引をおこなうことができるため、大きな損失が発生する可能性があります。その損失額は差し入れた委託保証金の額を上回るおそれがあります。また、米国株式信用取引は外貨建てで行う取引であることから、米国株式信用取引による損益は外貨で発生します。そのため、お客様の指示により外貨を円貨に交換する際の為替相場の状況によって為替差損が生じるおそれがあります。

外国株式等の取引にかかる費用

〔現物取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
分類 取引手数料
米国株式 約定代金の0.495%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:22米ドル(税込)
中国株式 約定代金の0.275%(税込)・最低手数料:550円(税込)・上限手数料:5,500円(税込)
アセアン株式 約定代金の1.10%(税込)・最低手数料:550円(税込)・手数料上限なし
※当社が別途指定する銘柄の買付手数料は無料です。
※米国株式の売却時は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。
※中国株式・アセアン株式につきましては、カスタマーサービスセンターのオペレーター取次ぎの場合、通常の取引手数料に2,200円(税込)が追加されます。

〔米国株式信用取引〕
1回のお取引金額で手数料が決まります。
取引手数料
約定代金の0.33%(税込)・最低手数料:0米ドル・上限手数料:16.5米ドル(税込)
※当社が別途指定する銘柄の新規買建または買返済時の取引手数料は無料です。
※売却時(信用取引の場合、新規売建/売返済時)は上記の手数料に加え、別途SEC Fee(米国現地取引所手数料)がかかります。詳しくは当社ウェブページ上でご確認ください。

  • 米国株式信用取引には、上記の売買手数料の他にも各種費用がかかります。詳しくは取引説明書等をご確認ください。
  • 米国株式信用取引をおこなうには、委託保証金の差し入れが必要です。最低委託保証金は当社が指定する30万円相当額、新規建て時に最低必要な委託保証金率は50%、委託保証金最低維持率(追証ライン)が30%です。委託保証金の保証金率が30%未満となった場合、不足額を所定の時限までに当社に差し入れていただき、委託保証金へ振替えていただくか、建玉を決済していただく必要があります。

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