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第162回 生活者という株主の重要性

2013年10月16日

機関投資家が大株主?

巨額の資金を預かって運用している機関投資家は、企業経営者にとって大株主であり経営の監視役という受け取られ方が一般的である。

さて、実体はどうだろうか?公的年金と企業年金を全部合わせても、日本株の保有額は30兆円前後でしかない。日本株市場の時価総額で、6%~7%というところ。外国人投資家の30%~40%と比べるべくもない。

なかでも公的年金は日本株を14兆円ほど保有しているが、数年前からずっと売り越してきた。高齢化の進展で、すでに積立てよりも給付の方が多くなっており、公的年金の総資産額は減っていく方向にある。したがって、これからも日本株の保有残高は落としていくことになろう。

銀行や生保はどうか?かつて株式の持ち合いや政策保有を進めていた頃は、彼らは粉うことなく巨大な株主であった。なにしろ、企業や銀行の持ち合いに生保の政策保有を合わせると、東証1部上場銘柄の全発行株数の54%を占めていたのだから。(1988年3月末、大和総研調べ)

バブル崩壊後、持ち合いや政策保有の解消売りが日本株を叩き潰したのは、まだ記憶に新しいところ。日本株の過半を所有していた彼らは、「とにかく株は売れ」の経営判断で、その比率を8%にまで下げた。

さすがに問答無用の日本株売りは一段落したが、彼らはまだまだ売っていく方向にある。なぜなら、企業は資本効率が問われるし、銀行は自己資本規制で、生保はソルベンシーマージンの維持ということで、株式保有は最小限にまで減らさざるを得ないのだから。

投信は相も変わらず営業主体のビジネスで、その時々の人気テーマを追いかけるばかり。昨年末から株価全般が70%~80%近く上昇したのをみて、大慌てで株式投信の新規設定に走っている始末。

こうみてくると、企業の株主として機関投資家がどれほどのものか、その実力度合いがはっきりしよう。たしかに、1社あたりの保有株数は個人投資家よりずっと大きいが、彼らの保有株を全部合わせたところで議決権行使力は大したことないのだ。企業もこの現実を直視する必要がある。

では、誰が日本企業の経営を応援するのか?

日本株の30%~40%が外国人投資家に保有されているといっても、世界経済のグローバル化でそれほど驚くこともない。また、外国人投資家の中には年金など中長期投資を指向しているところもある。

しかし、日々の売買で圧倒的な主役はヘッジファンドなど短期の値ザヤ稼ぎを専らとする連中である。彼らが日本株市場を植民地のごとく好き放題に暴れまくるにまかせたままの現実はいただけない。

まるで、新興国の株式市場と変わらない。いまだ国内に資本の蓄積が進んでいない新興国の株式市場では、先進国の機関投資家が生殺与奪の力を握るのは仕方ない。

ところが、日本は世界最大の純債権国であり、個人の預貯金残高は国内総生産(GDP)の1.7倍にも達する。その日本株市場が外国人投資家に振りまわされ続けているのだ。

それで企業経営は安心できるのだろうか? この10ヵ月間でも、先進国株式市場から大きく出遅れていた日本株市場は、世界中のヘッジファンドにとって恰好の荒稼ぎ舞台となった。

問題は、彼ら短期張りの連中は日経平均株価など指数の先物に、大量の資金を投入してくることだ。個別企業の動向などはまったくの無視で、経済全体のマクロ指標や社会政治ニュースに瞬時反応する。巨額資金を背景に集中投資してくるから、株価やマーケットへの影響力はすさまじいものがある。

めんどうなことに、日本の機関投資家もヘッジファンドに同調した動きをしてしまう。なにしろ、日本株運用の70%~80%を、インデックス運用や指数先物に振り向けているのだから。

これが日本株市場の現実である。企業が長期視野に立った経営を推し進めていこうとする時、一体誰が応援するというのか。やはり、一般生活者だろう。自分たちの日々の生活をモノやサービスの供給で下支えしてくれている企業だ、売上げに貢献すると同時に長期保有株主となって静かに熱く応援するのは当然である。

生活者と企業とは紙の表裏の関係で、ずっと一心同体のはず。だったら、われわれ生活者こそが機関投資家に代わる大株主となって、骨太の応援をしなければならない。

(2013年9月24日記)

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