現在地
ホーム > マーケット情報 > レポート&コメント > 澤上篤人「さわかみ経済教室~中長期の資産形成~」 > 第149回 短期視野の経営や投資に走りすぎ

第149回 短期視野の経営や投資に走りすぎ

2012年8月16日

LIBOR不正操作と金融マンのモラル低下

世界の金融取引の指標となってきたLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)の金利設定で、一部の銀行トレーダー達が自行に有利となるよう、長年にわたって人為的操作を加えてきたなど言語道断である。

透明で公平公正な需給調整と価格決定がマーケットの命である。そのマーケット機能を、なんと根っ子のところで踏みにじってきたわけだ。

金融マンとしてのモラル低下がはなはだしいが、これは当事者達だけの問題ではない。あの金融バブルもそうだったが、世界の金融界全般に巣食っている問題でもある。

世界の銀行はもちろん投資銀行などでも、この30年ほどでオーナーやパートナーシップ経営からサラリーマン経営者化が急速に進んだ。サラリーマン経営者のすべてとはいわないものの、多くが短期的な業績向上とその結果の高額報酬を目指して、節度なきビジネス拡大にひた走っている。

ひと昔前までは、銀行や投資銀行のオーナーが私財を投入して経営にあたっていたから、ビジネス拡大にも自ずと規律や節度というものがあった。ひとつ間違えると、大きな損失を抱え込むことになるから当然であろう。

ところが、サラリーマン経営者にとっては、株主のものである会社の資産を駆使して業容拡大に務めるのが仕事。いってみれば、他人の資金である。かりに、大きな事業リスクを取って会社資産が相当に傷ついたとしても、自分は痛くもかゆくもない。

つまり、他人の資金で表現は悪いがバクチのような経営だって公然とやれるわけだ。バクチが当れば、巨額の報酬を手にできる。逆に、バクチが外れて会社に大損をもたらしたとしても、職を失うだけだ。その直前までに荒稼ぎした私財は無傷で残る。

こういった価値観で銀行や投資銀行が経営されると、どうなるか? どうしても短期の成功狙いに走り、「後は野となれ山となれ」の事業展開が幅を効かすようになる。まさに、一将功成って万骨枯るといった風潮が欧米の金融ビジネスでは経営の主流となっているわけだ。

企業経営も無責任化

米国中心に企業や銀行そして運用会社の間では、有名なビジネススクールでMBAを取得しただけの人達が、経営のプロとして引っ張りだことなっている。そんな連中が、会社の資産つまり他人の資金を好きにつかって、10億円100億円の高収入を得るのが当り前となっている。おかしな話である。

株主の方も、どうかしている。経営のプロとして業績向上に尽力してくれるという期待で雇ったCEO(最高経営責任者)達が、バクチに近いビジネス拡大路線をひた走るのを許すなど、以ての外である。

企業のオーナーとして長期的な成長を期待するのが筋なのに、目先の株価上昇を求めるあまり、業績を高めてくれそうなCEOを取っ替え引っ替え高給で雇っているのだ。CEO達がどれだけ経営のプロかはしらないが、10年20年先を見越した経営は誰もやっていないのが現状だろう。

そういった株主を代表するかのように、年金など機関投資家の方も企業に短期の運用成績向上ばかりを追求する。その結果として、株価を乱高下させるディーリング投資を促進する一方で、長期投資をどんどん片隅へ追いやっている。

結局のところ、誰のプラスとなっているのだろう? 高給を手にすることができる企業や銀行のCEOなど経営幹部、年金の幹部職員そして運用会社のマーケティング担当者たち、あるいは年金コンサルタント会社やヘッドハンティング会社といったところか。

一方、企業トップが目先の利益追求つまりは自分の報酬拡大に走れば走るほど、コスト要因としてたとえば雇用を削り、人件費を圧縮しようとする。そのしわ寄せが一般社員に襲いかかる。

年金運用でも毎年の成績向上を競うあまり、単に運用成績という数字追いかけが主流となっている。運用の本来目的である、経済や人々の生活にどれだけ寄与するかなど、まったく無視である。

このような世界の風潮と、われわれ長期投資家が目指すものと、どちらが生活者にとって有益だろうか?

(2012年7月24日記)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


楽らくサポート

個人確定拠出年金iDeCo

口座をお持ちでない方へ

まずは無料でかんたん

口座開設

口座開設中のお客様

クイック口座開設手続き中のお客様

楽天証券へ資料請求して、今すぐご利用いただけます。

楽天証券資料請求はこちら

今すぐご利用いただけます。

ポートフォリオ一覧を表示

楽天証券にログインしてご利用ください。

楽天証券へログイン

上記より楽天会員にログインしてください。

ポートフォリオ機能とは?

よくあるご質問

お問い合わせランキング

マーケットスピード IIダウンロード

Marketspeedダウンロード

Marketspeed for Macダウンロード

MarketspeedFXダウンロード

投資情報メールサービス「マーケットアロー」

 お友達紹介プログラム

お客様の声をカタチに