現在地
ホーム > マーケット情報 > レポート&コメント > 澤上篤人「さわかみ経済教室~中長期の資産形成~」 > 第134回 悲しい被災からの教訓を生かそう

第134回 悲しい被災からの教訓を生かそう

2011年4月18日

東北地方太平洋沖地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、被災地の皆様の生活が一日も早く再建されるよう、心から願っております。

これは戦いである

なんとも痛ましい現地の状況が次々と報道されるのをみるに、この悲しい現実をどう乗り越えていくか、ここは勇気をふりしぼって、国民全員が立ち上がるしかない。地震や津波に負けておれるかと、メラメラと闘争心が湧き上がってくる。

いまはともかく被災地の皆様に安全で温かい避難場所を確保することが最優先される。そして、水や食糧それにガソリン・灯油などをどうお届けするかだ。

被災地では、生活基盤の復興を急ぐべく、多くの人々が昼夜を問わず頑張っている。仮設住宅はじめ道路・鉄道・港湾・空港・病院・学校・商店街など、先ずは生活インフラの立て直しだ。緊急予算を含め、相当に大規模な復興予算を組む必要がある。

同時に、東北地方から関東まで広く生産・供給体制に支障が生じてしまったが、その復旧も急がなければならない。こちらは、民間企業の自助努力と各社それぞれの資金調達で頑張ってもらおう。

問題は原子力発電所だろう。なんとか冷却装置を作動させて、炉心や使用済み核燃料の温度を下げることで、これ以上の事態悪化は防ぎたい。放射性物資の飛散など、もっての他である。

これらのすべてが、緊急対応の闘いであり、長期にわたる戦いのはじまりでもある。あらゆる対策を同時進行的にやらなければならないという困難な状況下ながら、きちんとした将来への方向性をもって、復興を果す必要がある。

先進国でこんな被害あっていいのか

表現には十分に注意しなければならないが、日本のような先進国でこれほど悲惨な現実に遭遇するなど、あってはならぬこと。教育も技術力も資金も世界のトップ水準を行く国で、こんな悲劇はもう2度と繰り返したくない。

地震や津波それに台風の恐ろしさは昔からのこと。「今回は想定外の規模だった」で思考停止せず、この痛ましい教訓をもとに住宅や建物の耐震性をどう高め、津波対策をどう講じるかに日本の英知を注ぎ込むべきだろう。

阪神淡路大震災の時もそうだったが、家屋が潰れてしまったり火災に巻き込まれてからでは遅い。地震国日本に住む限りは、建物の耐震性を高めて初期の行動だけでも、落ち着いた対応がとれるようにしておきたい。目指すは、いつ起こるか知れない天変地異に対し、自然の猛威をしなやかに受け流す社会インフラづくりだ。

津波に対しても、港の外縁部に沿って頑固な鉄骨コンクリートの倉庫など一列に並べて、押し寄せる波の圧力を減衰させる。同時に、木造建造物などをできるだけ減らして、それが浮遊物体となって次々と破壊を加速させないようにする。そして住居は高台に配置すれば、津波の被害を相当に抑制できるはず。

台風や大雨で土砂崩れや地すべりに呑み込まれたり、増水した河川に家屋ごとさらわれてしまう危険も、日本では毎年のように発生している。山岳の地形が多く土石流が発生しやすい国土だから仕方ない、ということでは済まされない問題である。

戦後の住宅需要を賄うためと、全国各地の山林に杉やヒノキを植えまくった。日本中の山々がびっしりと杉やヒノキで覆われているのをみるに、当時の植林エネルギーのすさまじさに驚かされる。

もともと日本の山々は多種多様の樹種に恵まれ、根を地下深く下すブナや椎やナラなどが土砂崩れを防いでいた。秋には大量の葉を落とす広葉樹が山の保水力も保っていた。ところが杉やヒノキは根が浅く、長雨が続くと地盤が緩み土砂崩れを起しやすい。

そんな国土に多くの人々が住んでいるのだ。戦後の植林エネルギーと同じくらいのパワーで、日本の山地それも山奥ほど雑木の混栽に戻していく必要がある。

これからの電力供給をどう考えるか

今回もっとも深刻な問題を提起したのは、原子力発電所だろう。想定外の津波で冷却ポンプが動かなくなって、炉心や使用済み核燃料の温度が上がった。最悪な事態は免れると思うが、ひとつ間違えると放射性物質が飛散するエネルギー源だ。そんな原子力発電に、どこまで頼ってよいものだろうか。

たしかに、日本の電力需要の30%は原子力で賄っている。それは、発電コストの安さやCO舀 問題それに石油の中東依存度を下げるといった利点もあって、国や電力業界あげて原子力シフトを強力に推進してきた背景がある。電力会社にとっては、既設の送電網をそのまま活用できるメリットもある。

しかし、原子力のような万が一の危険性を伴う巨大発電システムのもろさは、今回の大震災で露呈した。この際、燃料電池など分散電源の開発普及を一気に進めてもよい。いわゆるスマートグリッド社会を、世界に先駆けて実現してしまうのだ。

もちろん、いますぐに燃料電池などの次世代エネルギーが原子力発電に代わって、日本の電力需要をまるまる賄えるとは思えない。使用済み核燃料や廃棄炉の処理コストを考慮すると話は違ってくるが、単純な発電コストでみれば原子力に勝るものはないのだから。

しかし、今回の大災害で国民は発電コストの優位性などを吹き飛ばすほどに深刻化した巨大システムのもろさ、そして放射性物質という問題に直面した。これを機に、分散型電源の見直しは一気に進むだろう。大型ビルから各家庭まで大小さまざまの燃料電池を設置することで、発電と温水を自前調達できるようになる。どこかのビルで発電障害が発生しても、停電はそのビルだけの問題となる。

地域全体に分散型の発電システムを散りばめ、そこへ電力会社の既存発電所や送電網で補完させれば、もう立派なスマートグリッド社会の出来あがりである。これなら災害に強い。かりに電力会社の発電所にトラブルが発生しても、地域全体では分散電源の強みを発揮して、いくらでも電力を融通し合える。

エネルギー単位あたりの発電効率は燃料電池が抜群に高い。まだ、燃料電池自体の価格が高いこと等、課題はいくつかあるが、そこは日本の誇る科学技術と工業力を集中させればよいだけのこと。

超省エネで世界をリードする

同時に、超のつく省エネも徹底的に推進すべきだろう。たとえば、最近のエアコンは昔のものと比べると、電力消費量が驚くほど少ない。インバーターやヒートポンプの技術を駆使して、さらにさらに省エネを追求するのだ。モーターも同様である。

電力問題の解決は発電所増設だけではない。省エネ機器の導入や節電意識の高まりによって、発電所の建設をいくつか減らすことができる。これも、スマートグリッドの基本コンセプトのはず。

分散型電源が本格普及し、超のつくほどの省エネ機器に買い替えられていくと、電力会社の仕事が減ってしまう? たしかに、これまで送電ビジネスを独占してきた旨味は大幅に減るかもしれない。しかし、電力というエネルギー利用が消えてなくなることはない。分散型電源や省エネを高度に実現した社会インフラづくりの方向で積極投資を重ねて、主導的な立場を築き上げればよい。

地球上人口は増え続けているし、世界中の人々がより豊かな生活を求めて止まない。今後どれだけ世界の電力需要が高まっていくのか想像すらできない。それは、とりもなおさず分散電源などの発電系のみならず、省エネ機器の膨大な需要増加となっていく。そこで日本が先行してしまえば、世界戦略的にどれほど有利かは容易に想像できよう。日本で最大の輸出産業となる可能性すらある。

やはり、政治がしっかりしなければ? それはそうだろうが、のんびり待ってはおれない。民間ベースでも安全に暮らしていける社会の建設を、いくらでも推進できる。日本には技術開発を担当する企業が一杯あって、個人マネーは国内総生産(GDP)の1.7 倍が預貯金と現金に眠っているのだ。そのふたつを、つなぎ合わせるのが長期投資である。

(2011年3月23日記)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


楽らくサポート

個人確定拠出年金iDeCo

口座をお持ちでない方へ

まずは無料でかんたん

口座開設

口座開設中のお客様

クイック口座開設手続き中のお客様

楽天証券へ資料請求して、今すぐご利用いただけます。

楽天証券資料請求はこちら

今すぐご利用いただけます。

ポートフォリオ一覧を表示

楽天証券にログインしてご利用ください。

楽天証券へログイン

上記より楽天会員にログインしてください。

ポートフォリオ機能とは?

よくあるご質問

お問い合わせランキング

マーケットスピード IIダウンロード

Marketspeedダウンロード

Marketspeed for Macダウンロード

MarketspeedFXダウンロード

投資情報メールサービス「マーケットアロー」

 お友達紹介プログラム

お客様の声をカタチに