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第127回 リスクマネーの提供者

2010年12月1日

事業家精神と長期投資家

一国の経済でも企業でも、将来にわたって成長発展していくには、資本・労働力・技術の3要素を揃えることがカギとされる。日本経済は失われた20年を経験し、未だ停滞から抜け出せていないが、資本・労働力・技術の3要素が欠けていたわけではない。むしろ、バブル前までの日本経済に勢いがあふれていた頃と比べ、なにが問題なのか見つけるのが大変なぐらい。

たとえば、バブルの前も20年後の今も日本は相変わらず世界第2位の経済大国であり、最大の純債権国でもある。工業生産力も国内市場の規模も世界トップクラスをいく。労働力はといえば、失業率が5%台にまで高まり雇用不安が社会問題化しているぐらいだから不足している状態とはほど遠い。

どこに問題があるのか? 政治とか国の政策がピント外れの連続だったから、とかは横へ置こう。言ってみたところで、日本の指導者層の資質がそうそう変りそうもないし、時間がもったいない。どうせ経済の70%ぐらいが生活者の消費や住宅投資と、それを支える企業の生産・供給活動で成り立っているのだ。政治など抜いて、民間の自助努力で経済活性化した方が早い。

日本に欠けているのは、事業家精神とリスク資金の提供である。もっとも、多くの企業がグローバル経済の波に乗り遅れまいと必死に頑張っている。中小企業や町工場は生き残りを賭けて懸命に努力をしている。

しかし、それらの多くは競争から脱落しないよう頑張っている、どちらかというと現状維持の色合いが強い。企業経営には顧客や従業員およびその家族のために守成を心がける責任があるから、潰れないよう努力を重ねるのは当然のこと。それでも、将来の成長発展のためには、進取の気質がもっともっと表に出てきてよい。それが事業家精神である。

これまでになかった新しい価値観を世の中に次から次へと打ち出していくことで経済も社会も発展する。それを推し進めるのが事業家精神あふれる人々であり、いまだ海のものとも山のものともしれない価値観に共感し資金を提供しようとする投資家たちである。進取の気質に富んだ人々と、本格的な長期投資家というリスクマネーの提供者が、日本にもっともっと出てきてよい。

預貯金マネーを長期投資に向けよう

かつて日本では間接金融主体の経済運営を強力に推し進めた。個人の余剰資金はとにかく銀行や生命保険そして郵便局の窓口へ持って来させ、それを企業融資や財政投融資として産業界へ一銭のムダもなくまわさせる仕組みを、日本は完璧なまでに築き上げた。その成果が、日本経済の長期高度成長だった。

間接金融は国内の資金の流れを統制管理するシステムであり、一国の経済が発展段階にある間は抜群の働きをする。しかし、経済がある程度発展すると国内の資金の流れを一元管理するシステムでは対応できなくなる。国内に資本の蓄積も進んだのだから、お金の流れを自由にさせてやらないと危険でもある。

世界第2位の大国経済で、最大の債権国でもある日本で、いまだに間接金融主体というのは異常だというしかない。お金の流れが単純かつ一元化しすぎており、そこへ巨額の資金がたむろすれば80年代後半の土地や株式投機バブルを生むのは必然であった。バブル崩壊後の貸し渋り貸しはがしも、日本経済の現場で銀行預金を企業融資にまわす以外のお金の流れができていないだけのこと。

お金の出し手と取り手とが、それぞれの利益目的が合致したところで握手する直接金融は、国内のお金の流れを多様化させる。いろいろなお金の流れが出てくることで、経済活動に厚みをもたらしてくれる。

成熟経済日本で最も急がれるのは、直接金融でお金の流れを広げてやることだ。とりわけ、個人の預貯金マネーを長期投資に向けてやることだ。どうせ、預貯金に寝かせておいても、年0.01%から0.3%ぐらいの富(利子収入)しか生まない。それよりも、日本経済の活性化に仕向けてやった方がよほど賢い。

個人の資金が、ある程度の時間とリスクを覚悟して経済の現場へ流れ込んでくるようになると、その資金をベースに企業は思い切ったビジネス展開ができる。進取の事業家精神もどんどん出てくるから、日本経済は俄然おもしろくなる。

(2010年11月12日記)

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