現在地
ホーム > マーケット情報 > レポート&コメント > 澤上篤人「さわかみ経済教室~中長期の資産形成~」 > 第118回 成長戦略と長期投資

第118回 成長戦略と長期投資

2010年7月16日

いつも政策が後手にまわりすぎる

ジリ貧を続ける日本経済を活性化させるには、国を挙げての成長戦略が欠かせないという世論が高まってきている。良い傾向である。一刻も早く具体的な施策の実施が望まれる。

いま頃になって成長戦略なんて遅すぎる? まったく同感である。日本の経済政策はバブル崩壊の前も後も、長期視野に立った合理的判断や戦略思考に欠けたパッチワークの連続である。いつもいつも関係者間の利害調整で時間を空費し、その場しのぎの継ぎはぎ細工に追い込まれるばかり。だから、いつまでたっても根元から問題を解決していこうという政策が打ち出されない。

土地や株式投機のバブル熱が燃え盛っていた80年代後半は、「ずいぶんと投機熱が高まってきているが」という認識はあったものの、これといって対策は打ち出されなかった。せいぜい、89年5月に公定歩合をそれまで史上最低水準だった2.50%から3.25%へ引き上げ、そして10月12月にも0.5%分ずつで4.25%へ引き上げたくらい。バブル熱を冷ますにはもっと早く、もっと強力に利上げ政策を断行すべきだった。

ところが、バブルが崩壊した後になってからわざわざ追い打ちをかけるかのように、公定歩合を一挙に6.0%まで引き上げたり、やたら厳しい土地などの取引規制策を導入した。その結果、もう既に下落過程にあった地価や株価は、一挙に叩き潰されるかの如く暴落に次ぐ暴落を重ねた。

遅きに失したばかりでなく、過剰なばかりのバブル潰しは土地と株式の資産価値下落だけでも1,000兆円を越すともいわれた富を日本経済から奪い去った。その後、日本全体が長く苦しむことになる、資産デフレや不良債権問題の種を蒔いてしまったわけだ。

ちなみに、公定歩合の推移を追ってみよう。
1980年3月(9.00%)、80年11月(7.25%)、83年10月(5.00%)、86年3月(4.00%)、86年11月(3.00%)、87年2月(2.50%)、89年5月(3.25%)、90年3月(5.25%)、90年8月(6.00%)、91年11月(5.00%)、92年4月(3.75%)、93年2月(2.50%)、95年4月(1.00%)、95年9月(0.50%)
といった具合である。

過剰な金融緩和がバブルを招き、異常な執念を燃やしたバブル潰しが、日本経済をメチャクチャにしたのがよくわかる。やることなすことが後手にすぎる。政策当局の経済感覚の鈍さには目を覆いたくなる。

国の成長戦略より先を歩んでいこう

バブル崩壊後の経済政策をみるに、不良債権処理に追われていた銀行やバブル企業の救済をすべてに優先させた。後手後手の穴埋めパッチワークに躍起となったものの、経済活動そのものを元気にさせようという政策はほとんど出てこなかった。それが現在まで続く日本経済のジリ貧につながっている。

金融危機後の米国やEU諸国も、やはり銀行救済に公的資金を投入したりしたが、その横でグリーンニューディール政策など新産業を興すべく成長政策も次々と打ち出されている。この政策感覚の違いは大きい。

経済は生きものである。不良債権処理など後向きな問題解決に資金を集中投入するのは、砂地に水が浸み込んでいくように、ほとんど死に金となってしまう。同じお金でも、前向きに活き活きと働いてくれるような方向へ投入してやれば、効果はまったく違ってくる。それが、成長戦略である。

いま日本で必要なのは、民間の力を最大限に引き出させることである。それには、成長戦略という掛け声の下で官業を増やすのではなく、諸規制の緩和や民営化を徹底し、思い切って法人税を引き下げたり長期投資減税策を導入すべきだろう。スピード感や効率意識に欠ける官業を肥大化させるよりも、広く国民の創意工夫と資金を動員するような政策の方向づけが求められる。

われわれ長期投資家からすれば、国の成長戦略あろうがなかろうが、要は民間の経済活力が高まればいいだけのこと。民間がダイナミックに動きだせば、日本経済はいくらでも成長力を取り戻せるのだから。

うまい具合に、個々の企業ベースでみるに自助意識の強いところほど、もう既に動き出している。そこへ、いずれは法人税の大幅カットなどの追い風が吹いてくるのだ。いまのうちにたっぷり買い仕込んでおけば、先行きが大いに楽しみである。

(2010年6月23日記)

本資料は情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。本資料の情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本資料の記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本資料の記載内容は、予告なしに変更することがあります。


楽らくサポート

個人確定拠出年金iDeCo

口座をお持ちでない方へ

まずは無料でかんたん

口座開設

口座開設中のお客様

クイック口座開設手続き中のお客様

楽天証券へ資料請求して、今すぐご利用いただけます。

楽天証券資料請求はこちら

今すぐご利用いただけます。

ポートフォリオ一覧を表示

楽天証券にログインしてご利用ください。

楽天証券へログイン

上記より楽天会員にログインしてください。

ポートフォリオ機能とは?

よくあるご質問

お問い合わせランキング

マーケットスピード IIダウンロード

Marketspeedダウンロード

Marketspeed for Macダウンロード

MarketspeedFXダウンロード

投資情報メールサービス「マーケットアロー」

 お友達紹介プログラム

お客様の声をカタチに