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第115回 ギリシャ問題から日本が学べること

2010年6月1日

日本経済が成長軌道を取り戻さないと

かつてのアルゼンチンや今回のギリシャのように財政運営が破たん状態に陥って、世界の金融市場で債務不履行問題が取り沙汰されだすと大変。格付けは下げられるし、国債は売られて長期金利は急上昇する。

一国の信用力が低下し、まともに資金を調達できなくなるや、その国の経済や国民の生活は大混乱に陥る。無理して紙幣を刷りまくれば、お金の価値が下がりとんでもないインフレを招く。これは第一次世界大戦後のドイツで天文学的にインフレが高進し、マルクが紙クズ同然にまで下がった歴史をみればいい。

ひるがえって日本の公的債務残高は、IMF(国際通貨基金)によると2009年末でGDP(国内総生産)の218%と、先進国でも最悪水準にある。ただ、日本国債の海外保有分は5%ほどでしかない。したがって、世界の金融市場で日本国債を売り込む圧力が突如として高まる懸念はそれほど大きくはない。

個人金融資産も1,456兆円ほどあり、そこから住宅ローンや消費者金融など個人負債301兆円を差し引いても、純金融資産は1,255兆円もある(2009年末、日銀速報)。かりに国の借金は最終的に国民が支払うとなれば、日本政府はまださらに250兆円ぐらいは借金を積み上げられるのかもしれない。

しかし、預貯金および現金の803兆円や、年金や保険に向けられている397兆円で国債をたっぷり購入しており、もうそれほど国は個人マネーを当てこんで借金を膨らます余裕はないともいえる。

日本の財政破たんを懸念するのなら、ムダな予算を削る一方で消費税の引き上げなどで、財政赤字の拡大を抑えることが先決だろう。ただ、それだけではとても間に合わない。

やはり、経済活動を活発化させ成長率を4%ぐらいに高めてやるのが一番。日本のような巨大経済が4%も成長すれば、税収入は大幅に増えるから国の債務残高も急ピッチで減らしていける。成熟経済を活性化させるには、大胆な規制緩和と思い切った所得減税で民間パワーを引き出させるのが最も効果的である。

もうひとつは、株式市場を元気にさせること。いつの株価上昇も資産効果と心理効果を生み、放っておいても個人消費や企業の投資活動は高まっていく。つまり、経済活動全般は驚くほどに活況となる。

民間エネルギーを引き出す施策を金持ち優遇とかいうなかれ。経済活動は、いま動ける人から順に動きだして次々と富を創出していくことで、横へ横へと裾野広がりで活発化していくもの。国全体でみて、新たな富を増やすことなく分配ばかりを求めていては、総貧民化の道を転げ落ちていくだけである。

金利上昇とインフレ到来は、ちょっと頭の片隅に入れておこう

やたらと不安感を煽ることは控えたいが、日本の政治家はどこまで税収額をはるかに超えた放漫財政を続けるつもりなのだろうか? いくら選挙が大事といっても、将来に対して無責任で無節操すぎる。

郵便局や簡保はもちろんのこと、国の政策には唯々諾々と従う日本の金融機関にしても、いまのまま無限に国債を買い続けるわけにもいくまい。金融不安やデフレ現象で個人マネーが預貯金へシフトしているといっても限界がある。どこかで、「もうこれ以上は買えない。むしろ、大量に保有している国債を売却したい」という声が出はじめたら、完全に黄信号である。

あとは日銀に既発国債の買い取りや禁じ手として新発国債を引き受けてもらうことになりかねない。それでなくても、国はどんどん国債発行残高を高めていっており、どう処理していくか政府や日銀にとって難しい問題である。ひとつ間違えると、お金の価値が下がりインフレを招くことにもなりかねない。

今後どのような展開になるのか予測もつかないが、われわれ生活者に降りかかってくる負担はどんなものがあるか、その可能性だけでも洗い出しておこう。第1に、消費税主体に税負担が増えるのは間違いない。いろいろな予算バラ撒きを国におねだりしてきたから、そのツケ払いだ。

第2に、国債の大量発行が続くほど、供給過剰からくる国債の値崩れリスクが増大するのは避けられない。国債を大量保有している金融機関や年金などには、評価損拡大という重荷がのしかかることになる。

第3に、国債価格の下落は長期金利を押し上げることになる。長いこと超低金利が当り前としてきた金融界や産業界にとっては、金利上昇やインフレという想定外の事態に対応せざるを得なくなる。

(2010年5月10日記)

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