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第103回 しつこいようだが、やはり長期投資だ

2009年12月1日

やってみよう、そのうちわかる

ずっと長期投資の重要性を訴えてきたが、もっともっと声を大にする必要がある。その声も、日本中あちこちでコダマして、日本社会を変えてしまうぐらいの広がりをもってもらいたいものだ。

日本全体の元気なさとダラシない経済的ジリ貧をみるに、もう政治だけに頼ってはいられない。民間でも動けるところから自助自立の行動に移ろう。そして、一刻も早くこの体たらくから脱出しようではないか。そのように勉強会などで訴えると、参加されている方々のほとんどが即座に同意してくれる。

ところが次の瞬間、いろいろな反応が戻ってくる。一部の方々からは、「たしかに、そう思って長期投資をやっている。これからも頑張るよ」「もう、ずいぶんと買った。お金があればもっともっと買いたいのだが」と、すでに動き出した人らしい骨太の声を聞かせてもらえる。

しかし、「なんとかしなければと、毎日の生活を頑張っている。それでも、勤め先の経営が不振で給料も減らされた」とか、「一人の日本人としてやれることは、なんでもやっていきたい。ただ、なにをどうやれば良いのか」といった声が多いのも事実。あるいは、「長期投資をすれば良いといわれるのでしょうが、本当にそれで日本経済は活性化するの」と、逆に質問される。

これは無理もない。日本には本格的な長期投資のモデルがないから、民間とりわけ個人が長期の投資に踏み切ると、どれだけすごい威力があるのかイメージすら湧かない。そうはいうものの、「このままジリ貧を続けてはおれない、なんとかしなければ」で、いずれ長期投資が一般化してくる。そうなったら、「なんだ、そういうことだったのか」とみな理解するはず。

日本経済低迷の根っこの問題

どこの国の経済も、人々の毎日の生活をベースにして動いている。日本はもの作りの国だ、輸出立国だと昔からいわれているが、輸出のGDP(国内総生産)に占める比率は10%ちょっとでしかない。一方、個人消費は実に60%を超すウェイトを誇っているのだ。

輸出でも個人消費でも設備投資関連でも、事業主体となっているのは企業である。企業は資本を集めたり資金を借り入れたりして、ビジネスを拡大し雇用を創出している。どの企業も業容拡大を図れば、それなりに資金が必要となる。その資金を潤沢に供給して日本経済の高度成長を推進してきたのが、かつての大蔵省を元締めとした間接金融システムである。

あまりの成功を収めたが故に間接金融システム万能論で突っ走った結果が、80年代後半の土地や株式投機バブル発生であり、90年代に入ってからの銀行不良債権問題による信用機能マヒである。日本経済の現場にお金がまわらない。金融は経済の潤滑油であり、お金がまわらなければ企業活動も停滞せざるを得ない。

ここに、日本経済が長期低迷に陥っている根っこの問題がある。銀行などの融資による信用供与を主体とした経済体制は磐石に整備した一方、直接金融による資金の流れがおそろしくぜい弱なまま経済大国となってしまった。そのため、バブルが崩壊して銀行が不良債権問題で身動きがとれなくなるや否や、日本経済の現場にお金が流れ込まなくなり、企業活動が鈍り経済全般が失速してしまったわけだ。

もし、お金の出し手(個人が中心)と取り手(企業など)が握手するだけで資金が流れる、つまり投資を主体とした直接金融が発達していれば、日本経済はバブル崩壊後19年も低迷しなくて済んだはず。なにしろ、日本はバブル前も現在も相変らず世界第2位の経済大国であり、最大の債権国なのだから。お金さえ経済の現場にまわってくれば、日本の産業界はいくらでも元気を取り戻せる。

そこで直接金融となるわけだが、要は個人個人が「貯蓄から投資へ」を実行すること。預貯金で安全確実にの現状から、一歩でも長期投資に踏み込んでくれれば十分。それが民間版の景気対策となり、結果的に国民の所得増加につながる。日本経済の新しい発展拡大の図式をつくり出すことができるのだ。

個人マネーの威力

個人の預貯金と現金だけで796兆円と、GDPの1.6倍にもあたる資金が眠っている。(09年6月末、日銀速報)こんな国は、世界のどこにも存在しない。年0.1%~0.2%の利息収入しか期待できないのに預貯金に預け放しなんて、世界からみれば「なんとも、もったいない」話である。

個人の預貯金マネー796兆円は世界最大の眠れる資源といえる。その10%を投資にまわすだけでも、日本経済を瞬時に10%以上は成長させてしまう。そういってもピンと来ないかもしれないが、とんでもない力を発揮するのは間違いない。

正確にいうと、796兆円の10%にあたる79兆円を投資にまわすとなれば、その分の資金が銀行や郵便局から引き出されることになる。日本経済のどこかでそれなりに働いている79兆円を引き揚げるわけだから、それを投資にまわしたところで日本経済全体では差し引きゼロである。

ところが、経済は生きものであって、同じ資金でも投入の方法と方向そしてタイミングによっては、経済効果は大きな違いとなる。たとえば、銀行預金は預貸率が70%台にまで下がっており、30%近くの資金が企業融資以外のところへ行っている。つまり、昔のように産業資金として経済の現場へ流れていっていないのだ。郵便局に預けてある資金の大半は国債購入に当てられ、結果として多くが財政融資資金として役人の天下り先ともなっている独立行政法人などに向っている。

それらの資金がムダ金とか死に金になっているとまではいわずとも、日本経済の活性化にどれだけ貢献しているかは大いに疑問が残る。すくなくとも資金流通のスピードは明らかに鈍い。一方、投資とは将来を築いていくためにお金を投入することであるから、お金が活きてくる。というか、どう投入すればお金が活き活きと頑張ってくれるか、いろいろ考え工夫をこらすことが投資の本来の姿である。

だから、「とにかく、やってみよう。やっていると、そのうちわかってくる」と、繰り返し長期投資の良さを説いているわけだ。

わかってくると、経済も社会もどんどん生活者ベースとなる

個人マネーで現金・預貯金に眠っている796兆円の10%でも長期投資に向ってくれたら、これはすごいことになる。「日本経済はこんなにも元気になれるのか」と、みな信じられない顔をしながらも明るくなる。

と同時に、国や政治を当てにしなくとも経済は動くのだという当り前のことを実感する。経済なんて、人々の飲んだり食ったり着たりの生活が集ったものであり、それを支える企業活動と勤労があって成り立っているだけのこと。国の役割は、大きなルールを決めたり交通整理をしてやるぐらいなもの。

それが、いつの間にか国が経済活動の主役となってしまい、国にビジネスちょうだい式の産業構造が一般化してしまった。族議員などに頼りながら予算ぶんどり合戦を繰り広げることで事業拡大を図るゾンビ企業が、あちこちで池の鯉のようにパクパクしている。

笑えてくるのは、国の予算バラ撒きをみなが頼りにしているものの、そのツケはいずれ税金などで支払っていかなければならないのに、その点はできるだけ考えないようにしていること。ただただ、「国のテコ入れなかりせば、日本経済は立ち行かない」と思考停止してしまっているのだ。

いずれは「貯蓄から投資へ」がもっと一般化し、長期投資のすごさを国民の多くが実感してくるだろう。その時は、もう他力本願的な国頼みはどの企業もしなくなる。事業家あるいは産業人としても恥ずかしいし、税金で食っているだけのようなゾンビ企業は生活者消費者から捨てられていく。

投資する主体が個人ひとりひとりだから、当然のことながら生活者消費者の目線で、応援する企業と見捨てる企業とを選別するようになる。すると、日本経済も社会もいまの状況では想像できないほど違ってくる。一人ひとりが「どんな社会を築いていきたいのか」を百人百様にイメージして投資することで、産業構造がどんどん生活者寄りに変っていく。

国や役人が予算投入と同時にあれこれ方向づけすると、経済も社会もワンパターン押し付け型となってしまう。ところが、生活者投資家がそれぞれ自由に将来への思いを広げて長期投資していくことで、出来上がってくる経済や社会が多様化する。

それが成熟経済の真の姿である。蓄積された個人マネーを思う存分に投入して、経済をどんどん活性化させる。同時に、思い描く社会を自由自在に築いていく。すばらしいと思わないか。

(2009年11月9日記)

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